プロローグ 2
この部屋をあらかた調べ終わって僕は状況を整理する。
まずここは何かの研究所…だと思うけど、なぜだか職員の人は一人も見当たらない。
次にこの部屋には「所長室」と書いてある扉…そして何も書いていない扉があった。何も書いていない扉の先にはシャッターが下りてしまっていたけれど非常口があった。あそこの鍵を見つければここから出られるんだとおもう。
そしてもう一つまだ探索していない場所。始め僕が目覚めた部屋…あそこにもう一つ黒い扉があった。
「あそこに行ってみよう」
僕はソファから立ち上がり、元の部屋に戻る。
「ここだよね」
扉を見上げると第1実験室と書かれていた。
~第1実験室~
扉を開けるとそこには目を疑う光景があった。
「何だこれ…」
そこにはこれまでと同じような真っ白い部屋とロッカー。それにロッカーに飛び散っている赤黒い血…そしてその血をたどると、机にもたれかかり息絶えている一人の人物がいる。
「………」
その人に近付くと白衣を着ている。そしてその名札には『夜桜 愛斗』と書かれていた。
そのそばには大きな鏡があった。
「傷口は銃で腹部を貫かれているような…そんな感じ。でも左腕の手首に縫い目のようなものがある」
僕はそばの大きな鏡に目を移す。
「これが僕…」
鏡には青い瞳、灰色のような茶色のような…そんな髪色の青年が映っていた。
「っ!?」
鏡を見ていたその時、頭に激痛が走った。頭が割れそうなぐらい強い痛みが僕をおそう。
「ハァ…ハァ…」
「よかった…実験は成功したみたい」
思わず鏡にもたれかかっている時、そんな言葉が聞こえてきた。
「誰…?」
頭を押さえながら鏡を見上げる。すると自分の瞳が片方赤色に代わっていた。