1-9 知的生命体の起源同一説
迷惑な宇宙人の侵略兵器を撃退してから数日後。
ガイアコアから嬉しい報告があった。
観察の結果、宇宙人の地球侵略の発生確率が低下したらしい。
それは、宇宙人との共存の可能性が高まったということだ
おかげで今日も安アパートの一室で、俺は美少女エルフのディードと一緒に夕ご飯を食べている。
「レイジ。知的生命体の起源同一説というのはご存じでしょうか?」
「えっ? なんだって?」
「異星人である私たちが、同じ食事を食べて『美味しい』と感じるのは、不思議だと思いませんか?」
遥か彼方の星に自然発生した生命がこんなにも似通っている。
進化と自然淘汰された結果の偶然。と言うには不自然過ぎる。
「言われてみたら、不思議だな」
「銀河に点在するゲートと呼ばれる超空間跳躍ポイントは、はるか過去に存在した超文明が設置したというのが我々の定説です。未開発航路遠征団は、ゲートをたどって超文明の痕跡を探すのことが目的の一つなのです」
「その過去の超文明の生き残りが、俺たちの起源と言うことか?」
「遺伝子レベルでも、ほとんど違いは無いそうですよ」
「はるか過去に存在した超文明か。地球にも何か痕跡があるのかな?」
「今のところ、とくに何かが見つかったとは聞いていません。本格的な調査はこれから実施されるようですよ」
「なるほど。未開発航路遠征団の仕事はロマンがあるな。地球人を採用してくれないかな」
「レイジは、未開発航路遠征団の仕事に興味が? 地球が正式に銀河帝国に加入すれば、採用資格を得ることができますよ」
「地球人の意思統一すらできないのに。銀河帝国への加入は、しばらくかかりそうだな」
「あとは、個人的に採用資格を得る方法がありますよ」
「えっ、そんな方法があるの?」
「はい。私、レイジとだったら資産共有手続きをしてもいいですよ」
ディードは、わざわざ俺の隣に移動して、俺の手を握った。
俺に対して、ディードの防護フィールドは作動しない。
「えっ? それって、どういう意味?」
「あっ、あれ? と、とにかく、未開発航路遠征団の採用資格が欲しかったら、いつでも言って下さいね。すぐに手続きしてあげますよ」
「あ、うん。ありがとうございます?」
ディードがすごい見つめてくるんだけど。
俺、なにか間違えました?
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第一章 覚醒編・おわり