1-8 宇宙人の侵略兵器
俺たちは、悲惨な未来を回避するため、宇宙人の侵略兵器を破壊せずに無力化しなければならない。
「えぇっ、こんなミッション無理だよ! ど、どうしたらいいの!?」
リリカが涙目で悲鳴をあげている。
だが、ガイアコアのサポートAIは優秀だ。
「リリカ、大丈夫だ。ガイアコアとリンクして、すでに五つは対策を考えてある」
「ほ、本当に? パパ、すごいじゃない!」
それに、侵略兵器の装甲を貫けるだけの威力がある武装は、地球環境に悪影響があるのであまり使用したくない。
「とりあえず作戦その一、説得だ。侵略兵器の操縦者とコンタクトを取ろう。ガイアコア、進展状況を報告してくれ」
『目標の通信プロトコルの解析を完了。宇宙人の言語で双方向通信が可能です』
「ありがとう。通信開け。『侵略兵器の操縦者、聞こえるか? 返事をしてくれ!』」
『だ、誰だ? 私を連れ戻しに来たのか!』
思っていたよりも若い、男の声がした。
『俺たちは、地球の環境保護団体だ』
『えっ? 環境保護団体? 地球の?』
『君が防疫検査を実施せずに地球降下したことは把握している。速やかに宇宙船に帰還して検査を受けろ』
『どうしてみんな私の邪魔をするんだ。私はただ、惑星の上で死にたいだけなのに』
『未知の病原菌ウィルスが蔓延したら、迷惑だって言ってんだろ! ちゃんと治療してから来い!』
『検査を受けたら拘束されるに決まっている。どうせ病気で死ぬんだ。こうなったら力づくで!』
侵略兵器が加速した。
あいつ、俺たちを振り切るつもりか?
「うわ、最低」
「完全に自暴自棄になってるな」
まぁ、気持ちはわからないでもない。
「仕方ない。作戦その二、拘束して連れ戻すぞ!」
ガイアコア・ホーネットを加速させる。
侵略兵器は、巨大な翼を使った曲芸飛行と、重力制御を併用して縦横無尽に飛び回る。
だが、ガイアコア・ホーネットは、未来予測を使用した最適ルートを飛行して追従する。
「捕まえた!」
侵略兵器の背中に接触した瞬間。
侵略兵器が宙返りをして、その長い尾でガイアコア・ホーネットを叩き落とした。
海中に沈むガイアコア・ホーネット。
やられた!
意外とやるな、あの操縦者。
さすがにあの挙動は、予測できなかった。
「損害微小! 影響無し。パパ、すぐに動けるよ!」
よし、機体に損傷は無いようだ。
「侵略兵器の追跡を再開する!」
ガイアコア・ホーネットは、素早く海中から飛び出した。
「リリカ、あいつ、どこに行った?」
「侵略兵器を発見! 真上だよ!」
見上げると、侵略兵器は、顎を大きく開いた。
その口内は、莫大なエネルギー量を秘めた青白い光が点滅していた。
「パパ、避けて! 荷電竜子砲が来るよ!」
えっ? 荷電竜子砲!?
なんだか分からないがヤバそうだ!
次の瞬間。
侵略兵器の口内から、青白い光が海上に向かって放たれた。
急激に加熱された海水が、爆発的な勢いで湯けむりと一緒に天高く水しぶきを上げている。
あれは、水蒸気爆発だな。
太平洋上で良かったぜ。
ガイアコア・ホーネットは、咄嗟に時空航行能力によって侵略兵器の背後に移動していた。
侵略兵器は、俺たちを完全に見失っている。
今度こそ、確実に捕まえた。
ガイアコア・ホーネットは、その見た目のとおりに鋭い針を持っている。
侵略兵器の背中に取り付いて、スズメバチの針を打ち込んだ。
針から注入された液体は、宇宙人の侵略兵器すら掌握可能な微細機械の集合体だ。
ガイアコアのサポートAIが進展状況を報告する。
『目標の制御系を掌握中です』
侵略兵器は、しばらく暴れていたが、やがて大人しくなった。
『掌握を完了。ご命令をどうぞ?』
「ご苦労さま。迷惑なドラゴンは、自宅に帰ってもらえ」
『了解。対象の帰還プロセスを実行します。最大加速で大気圏を突破……宇宙人の宇宙船に着艦を確認。今回のミッションを完了しました』
「パパ、お疲れ。とってもかっこ良かったよ」
「ありがとう、リリカ。ガイアコア、俺たちも帰還しよう」
俺たちは、時空航行能力によって、地球環境保護事業団の格納庫に一瞬で帰還した。