学園生活
入學式の日の朝
娘を見送り、せっせと公務を終えると私は新しく手に入れた携帯電話型の魔道具を手にした。
魔力を流し込み起動させると夥しい量の通知が鳴り響いた。
暫く鳴りやむのを待った私は内容の確認を行った。
当然送られてきたメッセージの数々は梨花からのものばかりで、スクロールして履歴のはじめの方の内容を確認すると一文字ずつだったり、誤字のままの文章。
まるで初めて携帯電話を手にした子供の時を思い出し私は微笑ましく感じてつい笑みをこぼしていた。
私は梨花に正確にメッセージを送るため、これまでに書きまとめた文章を見返していた。
カナディアが編入してくるとなぜか王子との対立するという関係が出来上がってしまう事、
學園祭の準備期間に何者かにチェリが呼び出され、カナディアが怪我をし、全てをチェリのせいにされてしまう事。
そしてもちろん一番大切な話。
チェリの死に関してあまりにも重たく文章のみで語らうのは躊躇われた。
帰省の時期を変えることでなんとかするとして、學園内での出来事は私にはどうすることも出来ない。
私は小さく息を整え、一息にメッセージを打ち込み終えるとそのまま送信した。
頭を入れ替えるように、窓の外に視線を移した。
そこにはひらりひらりと綺麗なピンク色の花が舞い踊っていた。
魔力が落ち着いた事を確かめると、私はVi〇aの電源を点けた。
丁度、式が終わったようでクローバと並んで歩いているところだった。
その後も大きな事件も無く、あまりに平和過ぎる學園生活は過ぎていた。
梨花からの話によると、チェリとクローバのあまりに自然な仲の良さから主従関係のような明確な上下関係というより、學園に通う平民生徒から憧れの視線を送られているとかなんとか。
セレモニーでの一件以来王子と会う機会こそ無かったが、王子との関係も良好とのことだった。
梨花曰く少し不思議なのが、ザーラがよくアランの近くにいることらしい。
ザーラと言うのはフルネーム「ザーラ・トパー・ムー」の事である。
彼はアランと幼馴染でこの国の大臣の息子である。
キッチリした双子の弟「ブーラ・ガーネッツ・ムー」と真反対の性格で、彼自身は極めて自由人。
そんな彼がアランと行動を共にしていると言うのは梨花には少し引っかかるらしい。
なんでも、ベアーズ・リーンのプレイ中なかなかこの2人が同じ画角に、入っているスチルは無いそうだ。
そんな情報を梨花から貰いつつ、チェリたちの日々は過ぎた。
王立ブルネット學園
この學園では、平民も王族を含む貴族も同じ教室で授業を受けている学生であり、扱いに差異があってはならない。
初界生と上界生の二学年あり、初界生では様々なことを幅広く学び、上界生では専門的な事を学ぶ事ができる。
學園では授業以外も様々なことに積極的に取り組み学ぶことを期待されている。
今日、本作のヒロインであるカナディア・テンプルが編入してくる。
私は覚悟を決めると、Vi〇aを立ち上げた。
すると丁度、カナディアが先生に促され挨拶している所だった。
「今日からこの學園で皆と学ぶ事になった、カナディア・テンプルです。これからよろしくお願いします。」
平民らしく明るく元気な挨拶。教室がざわついたが、「ようこそ、王立ブルネット學園へ、明るく元気の良い挨拶じゃないか、これから共に学ぼうではないか。」王子のこの一言に一瞬で教室の空気が変った。
なんとかその場は王子の一声でおさめられたが、なぜザワついたのか理解できない彼女はそれからというのも同じ行動を度々繰り返し、その度に王子たち攻略予定者に助けてもらうを繰り返していたのでした。
当然この行動に納得しないしないのがご令嬢たち。
婚約者のいるご子息に対するはしたない行動の数々にチェリの周囲のご令嬢たちはご立腹だった。
サロンでお茶をする際も話題に上がるのは専らカナディアの事。
チェリやクローバが肯定も否定もしないのを良いことにあることないこと彼女たちは話していた。
事前に梨花に話していたのが好転したのか、前のように校舎裏での事件が起こることなく學園内は學園祭の時期に突入しようとしていた。




