目覚め
目が覚めると、見知らぬ人達が、私を心配そうに見つめていた。
何か言っているようだったけど、まだはっきりしていない意識に再び瞼が重たくなる。
(あーだめだ、まだ眠い。もう一度、寝かせて...)上手く頭が回らず再び、意識を手放した。
次に目が覚めると、赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。
私が目覚めた事に気付いた、メイド服をきた女性が赤ん坊を抱えて私のそばにやってきた。
「奥様、おはようございます。お加減いかがでしょうか。」
何を言っているのかわからず、戸惑っていた私に不思議そうな顔をしながら、赤ん坊を渡してきた。
「奥様が昨日、お産みになった、可愛らしい、女の子ですよ。名前はワーリス・チェリ・エリザベート様。
しきたり通り、大旦那様のお決めになったお名前でございます。」
(ワーリス・チェリ・エリザベート…ワーリス…
どこかでその名前を聞いた気が…)
アホズラを晒している私に何かを察したかのように彼女は声を潜め、「旦那様はまだこちらにいらしておりません。」と報告してくれた。
とりあえず、曖昧に微笑んでいると、扉がノックされた。
返事をすると、初老の男性が入ってきて「奥様、これから王様へご挨拶を。」
すかさず、そばにいたメイドが「ですが、奥様は今目覚めたばかりです。」
反論するメイドを一瞥した初老の男性は「いいですか、これは決定事項です。急ぎ支度を。」
それだけ言い残すと踵を返して帰っていった。
不満顔のメイドを窘めながら、支度をしてもらい、この国の王様と対面することになった。