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心強い味方

「アステル様……? え、ロラン様は、あの」


 戸惑いながらアステル様とロラン様を見比べていると、いきなりロラン様に頭を下げられた。


「申し訳ありません、エリザベス嬢! ドロンたちも居りましたので、このような回りくどいやり方でお呼びするしかなくて」

「わわっ! えっ、ロラン様はアステル様とお知り合いだったのですか……」


 慌てて周囲を見渡すが、ここは個室なので三人以外は誰もいない。けれど、あまり大声を出すのもまずいのではないか。そう思ったあたしに、アステル様はテーブルの傍らに置かれていた香炉のようなものを指差す。


「この部屋には図書室ほどではないが、周囲に声を拡散させない魔法がかけられているので心配はいらない。ロランの事は、君が仲が良いと聞いていたので、僕の方から声をかけたんだ」


 ロラン様を見ると、すっかり恐縮してしまっている。今まであまり人と関わろうとしてこなかったアステル様が、いつの間にかこのような繋がりを持つようになるなんて……


「ディアンジュール伯爵から話は伺いました。大変辛い思いをされたのですね……王家に仕える身ゆえ、殿下に関しては申し上げませんが、私に協力できる事があればと」


 うん、気持ちは嬉しいけど、それは滅多に口にしない方がいい。……それはともかく。


「ロラン様、顔を上げてください。あたしはただのリジーですから、これまで通りでいいんですよ」

「は……いや、分かった。そういうわけだから、俺にできる事ならフォローしていくから、改めてよろしくな」


 そう言って笑顔を見せるロラン様に、ホッと息を吐く。味方が増えるのはありがたい。特にリューネと一緒にいる時は、ロラン様とも行動を共にする事が多いので、事情を知っていてもらえると気が楽だ。



 あたしはそれから、アステル様にラク様から聞いた話を報告した。彼が注目したのは、鎧の騎士による襲撃事件が本当にあった事だった。


「てっきりテセウス殿下によるでっち上げだと踏んでいたんだが。利用したのは確かだろうけど、どうやら事件の裏には、別の誰かによる思惑が絡んでいるみたいだな」


 別の誰か……と言っても、夜の神殿に忍び込める者となると限られてくる。可能性が高いのは神殿側が逆らえない王家の関係者だけど、いまいち動機が分からないのよね。客人として迎え入れている異世界人に、怪我を負わせる可能性を考えると。


(だから動機という点では、殿下の婚約者だったあたしが一番疑わしいというのは分かる)


 あの時、あたしは何をしていたっけ? 確か殿下がラク様を寵愛しているという学園の噂を耳にしたお義母様に、物凄く詰られていた頃だ。王妃教育に使われる大量の書物と共に部屋に閉じ込め、全て読み終えるまで出てくるなと言い渡された事も――


(そう言えば、襲撃時刻がちょうどその頃だったのよね。部屋で一晩中書物を読んでいた、なんてアリバイにもならないから、あたしは冤罪を晴らせなかった……)


 嫌な事を思い出し、気分が沈んでいると、個室のドアが開きスイーツを載せたワゴンが運ばれてくる。ロラン様が気を利かせて呼んできてくれたみたい。


「他の客と一緒に選ぶわけにはいかないだろ? 不便だけど、残ったら俺が食うよ」

「ありがとう」


 暗い気分も、甘いものを食べれば和らぐ。リューネとの付き合いで知った事だ。

 アステル様も――とお勧めしようとした時、考え込んでいた彼は不意に顔を上げて言った。


「リジー、明日の礼拝でラク嬢と二人きりになる機会があれば、僕も付き添っていい?」



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