久方ぶりの再会
あたしを加えた王子様御一行は、学園祭で賑わう校舎の中をずんずん突っ切っていく。久しぶりに目にする組み合わせに、すれ違う人たちはぎょっとしていた。
ようやく立ち止まった先で待っていたのは、かつての実家デミコ ロナル公爵家の面々だった。ジュリアンの婚約者オペラ様もいる。今日は学園祭なので家族も構内に入れるのだ。
「これはこれは、王太子殿下……本日は我が息子ジュリアンに案内役を仰せつかった事、誠に光栄に存じます」
「能書きはいい。そんな事より、久方ぶりの親子再会に何か言う事はないのか」
ご機嫌取りをする義父をすげなくいなし、あたしを前面に押し出すテセウス殿下。ジュリアンはともかく、リジーとして過ごすようになってから公爵家の両親と会うのは初めてになる。相変わらずお父様は威圧的だし、お母様はお人形を抱きしめてあたしを見ようともしない。けれど、あんなにも恐ろしく見えていた二人を見ても、何とも思わない自分がいた。
(もう彼らとは、他人なのだわ。今のあたしはボーデン男爵家に家族がいて、アステル様という婚約者がいる)
そして彼らにとっても、それは同じようだった。
「はて、何の事か分かりかねますな。我が家族はここにいる者たちのみ……ああ、後にラク=ハイド様も養子として」
「まあいい、これからお前たちにも面白いショーを見せてやるから、ぜひとも同席してもらいたい。ジュリアン、案内しろ」
ラク様の養子入りの件を切り出そうとするも遮られ、眉間に皺が寄るもお父様はすぐに承知し、ジュリアンに合図を送った。
ぞろぞろと移動する集団の中、あたしは隣のテセウス殿下から軽口を叩かれる。
「ついに家族からも見放されたか……ここまですっぱり切り捨てられると、いっそ哀れだな」
「はあ……」
情報がだいぶ古い。殿下はまだあたしが公爵家の意向で動いているとお考えなのかしら……ジュリアンがあんなにも他人アピールしてたのにね。そっと窺いみると、目が合った義弟から睨まれてしまった。
「ところで本日は、ラク様はご同行ではないのでしょうか?」
「お前がいるのに同席させるわけないだろう。……まあ、今日はクラブの実演のために別行動だ。美しい心とやらをお持ちのお前の婚約者殿も一緒なのが甚だ心配だが、心強い友人がついていてくれるからな」
何を心配しているのか知りませんけど、その心強い友人はここにいるんですが。
(まあ、あたしもラク様に嫉妬していたから、殿下の事を笑えないか)
こっそり溜息を吐いた頃、一行はあたしたちが所属している実験クラブの展示室へ到着した。




