表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
作られた悪役令嬢  作者: 白羽鳥(扇つくも)
学園祭開催編
103/111

呼び出し

お待たせいたしました。最終章になります。

 ポン、ポンと青空に白い花火が打ち上がる。

 今日は待ちに待った学園祭。馬車から誰の手も借りずに降りたあたしは、さっさと一人で歩くドロン様の後に続き、校門前で待ち構えるその人にカーテシーをした。


「お久しぶりでございます。この度は学園祭の視察にお誘いいただき、光栄の至りでございます」

「ふん、相変わらずつまらない女だ」


 そう言って蔑むような目を向けてくるのは、元婚約者であるテセウス殿下だった。


 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 話は前日まで遡る。

 エミィが学園長からの伝言を言付かっており、それを聞いたあたしは訝しく思いながらも人目を避けて学園長宅に赴いた。


 そこではなんと、アステル様までもが呼び出されていた。


「あなたがたは婚約者同士……早めに情報を共有し、連携を図るべきだと判断いたしました」

「ご協力感謝します、学園長」


 礼を言うアステル様に、学園長は王家の印が入った封筒を差し出した。


「テセウス殿下から『エリザベス』様に、明日の学園祭視察に同行せよとのご命令です。拒否すれば王家に叛心有りと見なすと」

「無茶苦茶だ。陛下もこれをお許しになるなど、一体何を考えているのか……」


 最近はリジーとして付き合っていたため感覚が薄れていたが、あの御方の強引なやり口を改めて思い出させられる。アステル様も呆れていた。


「ラク様はどうされたのでしょう? いつもなら『エリザベス』が彼女に近付く事すら危険視するはず」

「それなら恐らく、実験クラブの発表のために同行できないからだと思う」


 あたしも部員なんですけどね……リジーとしてだけど。


 学園祭の視察か……去年既に疎まれていたあたしは殿下たちとは別行動だったけれど、まさか婚約破棄後に参加させられる事になるとは。


「どうしましょうか?」

「予定に変更はない。むしろ、明日はできるだけラク様に目を向けさせないようにしてくれるとありがたい」


 囮作戦か。

 リジー=ボーデンの学園生活では、幻の『エリザベス』が囮だった。

 今度は本当に、あたし自身がエリザベスに戻るのだ。


「ごめん……きっと君が危険な目に遭う事は分かっているのに」


 表情は変わらないが、声色から己の無力さに苛まれているのが窺える。ああ、そんなシュンとされたら……


「いいえ、今回の作戦は絶対に成功させなければなりません。このお役目、必ず達成させてみせますから、アステル様はラク様をどうか頼みます」


 そしてその夜は学園長宅に泊まり、翌日――



「遅い!! エリザベス=デミコ ロナルはまだか!!」


 迎えに来たのは、側近のドロン様だった。朝から大声を上げたりして、ご迷惑だわ。


「支度はできております、ライラプス伯爵子息。それと、勘当されておりますのでわたくしはもう――」

「そんな事はどうでもいい! さっさと馬車に乗れ、殿下をお待たせするな!」


 乱暴な手つきで腕を掴み、あたしを馬車に押し込むドロン様。殿下に影響されているのか、元々そうなのか……分かりやすい人だけど、リューネには似合わないなとつくづく思う。


 こうしてあたしは、引きずられるように殿下の前まで連れて行かれたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ