表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
作られた悪役令嬢  作者: 白羽鳥(扇つくも)
学園祭準備編
101/111

動き出した事態

 一通り盛り上がった後で本題に入るのは照れ臭いが。あたしはリューネたちが焼却炉から拾ってきたという物をアステル様に手渡した。片方がネジ、反対側が円の形に曲がっている――リングボルトだ。


「……やっぱり」

「それだけで何か分かるんですか?」

「ああ、犯人――いや、協力者だな。彼らが何を燃やして、隠そうとしていたのか」


 燃やすって……金属のネジが燃えるわけがない。まさか鎧を着ていた仲間を? いやいや、怖い事想像するなあたし。


「協力者はそんなに要らないんだよ。いくら神官長の目が見えないからって、大勢でドタドタ動いていたらさすがに気付かれるだろう? 鎧が倒れる音しか聞いていないのなら、せいぜい二、三人ってところだろう」


 実際はそれだけしかいなかった? そして、少人数であの出来事を可能にする鍵が、リングボルト……


「うーん、あたしには分かりません! 教えてくださいよ」

「ハハ、まあ種明かしはお楽しみに取っておいてよ。もう少し検証もしたいし……どうせなら、一気に決着をつけたい」


 肩に手を置き、声色を低くしたアステル様にドキリとする。あたしの婚約者には、テセウス殿下ぐらいの美貌なんて要らなかった。彼はずっと一人で苦しんできて、明るく振る舞っていても内に暗い感情も秘めた、あたしたちと同じ人間だ。


(決着……アステル様を取り巻く問題全てに決着、か)


 それが必ずしも現実の状況だけではない事を、あたしはもう知っていた。


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 あたしは、アステル様の部屋の前に立っていた。

 唐突だけど、今の状況は分かる……これは、夢だ。今日は久しぶりにラク様の実験に付き合ったから。つまり、トドキ草の煮汁を口にしたという事だ。


(あれを飲んだ日から、あたしはこの不思議な夢を見るようになった)


 試しにノブを押したり引いたりしても開かない。が、何故かあたしはこの部屋の主に呼ばれているような気がした。


 コン、コン


 無理に開ける事をやめ、ノックをするとあっさり開く。

 そこには、想像していた通りの人物がいた。椅子に腰かけ眠っている金髪の美丈夫と、彼の膝に座りしな垂れかかっている銀髪の美女。男性はテセウス様そっくりだが……


「アステル、様」


 呼びかけても反応がなく、瞼は固く閉じられたままだ。銀髪美女はクスッと笑うと彼の首に腕を回した。


「あーあ、バレちゃったのね。彼、あなたにだけは知られたくなかったのに」

「誰なんですか、あなた」

「よぉく知っているはずよ。この国の者なら、それこそ生まれた時から」


 そう言われて思い浮かぶのは、一人しかいない。アステル様が赤ん坊の時に契約を結んだという、この国が崇拝する神とも悪魔とも呼ばれている――


「対面するのは初めてになるのかしら? アタシは『アモレア』、よろしくね。本来なら会える者も限られているのだけど、面白い偶然が重なったものね」


 そう言って女神アモレアは、眠ったままのアステル様の顔を愛しげに撫で回した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ