小咄其の弐拾九 『続々・正義の味方』
「怪獣だー!」
月形半平太は叫び声に振り向くと、そこには小山のような怪獣が立ちはだかっていた。静かな街に唐突に現れた怪獣に逃げ惑う人々。絶体絶命である!
…と、そこにまた唐突に銀色の巨人が立ち塞がった。ライオンのような髪型に細い目が輝く。
「あ、あれは…」
どこかで見たような、と、半平太が思ったとき。
ずばしゅ。
あっという間に巨人は怪光線で怪獣を粉砕してしまった。タメも威嚇も戦闘もない。一発で終わりである。子供が見たら不満だろうし大人が見てもカネカエセ状態だ。だが巨人は満足げに頷き、何か演説を始めた。
「なんかジュワジュワ言ってるけど」
そう言えば、よく政権放送でお見掛けする人そっくりの話しっぷりだ。
「あれは『この怪獣は大量破壊兵器を隠していた、だから先制攻撃をした』と言っておるのだ」
これまた唐突に半平太の隣に銀色に輝く男が現れた。
「ぅわ! あんた誰?」
「私が銀河うるとら組々長ソフィーなのだ」
なのだと言われてもそうですかとしか答えようもない。
「あの巨人…あれ、超スーパーうるとらマン? どう見ても元総理のコイズミ…」
「わははは、あまり気にするな」
ソフィーはニコニコである。
「でも今の選挙じゃ叩かれてるぜ? 正義の味方って嘘つきにはなれないんじゃ…」
「彼等政治家は嘘つきではない。と言うより嘘をついている自覚がない。嘘をつく時の罪悪感が正義と悪のバロメーターになるのだが、彼等政治家にはそれが微塵もないのだ。行ってもいない大学だって平気で首席卒業だ。逆に大きな嘘ほど『政治的手腕が高い』と賞賛されるらしいぞ」
よほど、適任者が見つかったのが嬉しいらしい。まだジョワジョワ言ってる巨人の言葉をソフィーはさらに通訳した。
「君も超スーパーうるとらマンの兄弟にならないか? 正義のためにいろんなところで戦うのだ。なに派遣する先は非戦闘区域で怪獣も出ない…」
「・・・う そ だ」
<おしまい。>




