小咄其の拾七 『心霊写真』
「この前の合コンの時の写真な、やっぱおかしいわ。ここ、どー見ても人の顔。しかもごっつぅニランどるし」
大学生の鬼形百太郎は震える手で写真を取り出した。合コンの会場で数人の友人のなか、自分の肩のところに浮かぶ白いもやを指差す。昔から鬼形はそういう体質…というか、写真を撮られれば心霊写真らしきものになることが多かった。カメラでも、デジカメでも。いつしかカメラを遠ざけるようになり、たまに撮られる集合写真でも、気難しい、青ざめた顔で写っているものばかりであった。
「なに言うてんねん、こんなんナニか反射しとるだけやん。よくある見ぃ間ぁ違いっ」
悪友は笑い飛ばした。
「だいたい自分、そない陰々滅々としとったら柳もユーレイに見えるでホンマ」
「そ、そうかな〜気のせいかなあ?」
他の友人も言う。
「せやせや、笑って見直してみぃ、みな楽しそーにしとるし!」
「う、うんうん」
鬼形もだんだんその気になってきた。
「そ、そやなー、気にし過ぎやなー。わは、わは、ははは」
写真の中では悪友たちは笑っている。神経質そうに見えた鬼形百太郎の顔も今度は笑って見える。他のみんな楽しそうだ。
「やっぱ見間違いや。あは、あはは! ほなみんな、今夜も合コン、行くで〜!」
気の早いやっちゃな、と皆に突っ込まれながら、鬼形は写真をまた見直した。
鬼形のとなりのもやも、明らかに人の顔で『にやり』と笑っっていた。
<おしまい。>