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小咄其の拾弐 『ネットカフェにて』

 とあるネットカフェの一室。


先月会社をリストラされた加藤半平太(仮名)は、今日も不満のありったけをネットの巨大掲示板に書き込みまくっていた。

「うおおお、みんな格差社会が、政治が国が、オレ以外の全ての馬鹿共が悪いんだーっ!」

エキサイトした彼は壁をガンガン蹴り、コップを投げつけ、雄叫びをあげる。


「そうだそうだ」

「もっと言ってやれ」

「ははは」

「アンタ神だよ」

「世の悪どもに、制裁を!」


ネットに書き込めば、すぐにレスがつく。ネカフェの外では何も言えず、言っても無視されるだけの半平太だったが、ネットの世界では誰もが彼の信者であり、崇拝者であり、太鼓持ちであった。たまに批判者も混ざってはいたが。


そして…

「これから…人を襲う!」

思い余ってそう掲示板に書き込んでしまった。途端に掲示板は大炎上となった。


「犯罪者、ハケーン」

「いいぞ〜!」

「予告キタ━━━━(゜∀゜)━━━━」

「やれやれ」

「通報シマスタ」

「氏ねよ」


騒ぎ、煽り立てる他の書き込み。その時、

「俺もやる。」

唐突にもう一人、犯行予告をする者があった。

「手始めに今いる店の客をやる。」

同志ができたことに勇気付けられ、半平太もそれに呼応した。机を打ち鳴らし、また掲示板に書き込んだ。

「おお、やれやれ!」

すぐにレスがつく。


「すぐにやる。さっきから隣の客が壁を蹴ったり叫んだり、超ウゼェ。手始めにそいつを血祭りにする」



                                   <おしまい。>



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