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王太子殿下の小夜曲   作者: 緑谷めい


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17/24

17 留学生(学園5年生~17歳~)

 




 春が来て、マーガレット様は学園を卒業された。

 そして、卒業式の翌月には、マース様と結婚式を挙げられたのである。私もバルド様と共に招待され、式と披露パーティーに出席した。

 ウェディングドレス姿のマーガレット様は神々しいばかりの美しさだった。マース様の隣で本当に幸せそうに笑っていらっしゃるマーガレット様。そんなマーガレット様の輝くような笑顔を見て嬉しくて、でも同時に、大好きなマーガレット様が何だか遠くへ行ってしまうような気がして少し寂しくて、私は涙が止まらなかった。



 その翌週、いつものように王宮で語らう私とバルド様。

「はぁ~。素敵な結婚式でしたわね~」

「俺たちの式はもっと盛大にやるぞ」

「マーガレット様、本当にお綺麗でしたわ~」

「フローラの方が可愛い」

「ウェディングドレスもよく似合っていらして」

「お前にはもっと豪勢なドレスを用意するからな」

「バルド様。私がどんなに豪勢なドレスを着ても、マーガレット様の美しさの足元にも及びませんわよ」

「フローラ、何を言ってるんだ。お前が一番可愛いに決まってるだろ。マーガレットなんか比べものになるか」

 そんなことを本気でおっしゃるのは、世界広しといえども、きっとバルド様だけである。バルド様の目には一体どんなフィルターがかかっているのだろう?



 バルド様と私は学園の5年生になり、共に17歳になった。

 バルド様はますます男っぽく、逞しくなられている。

「バルド様は精悍なお顔立ちで男らしくて素敵ですわね~。子供の頃はただ怖いお顔だと思っておりましたけど」

「お前、子供の頃そんな風に思ってたのか?」

「今はとっても格好良いと思っておりますのよ」

「ふんっ!」

 そっぽを向くバルド様。でも口元が緩んでいらっしゃいますわ。ふふふ。

「……フローラは子供の頃からずっと可愛い」

 まさかの返しである。負けましたわ。



 私たちが5年生になって3ヵ月が過ぎた頃、クラスに留学生がやって来た。なんと隣国の王子様である。第4王子のフレデリク殿下。銀髪翠眼の爽やか系イケメンだ。

 フレデリク王子の席は何故か私の隣になった。めんどくさいなー。イケメン王子とか、どうせ我が儘なんでしょ? 私にフレデリク王子の面倒見ろっていうことですの? 担任めー!

 フレデリク王子は席に着くなり、隣の席の私に向かってこう言った。

「バルド殿下の婚約者なんだろ? それにしては随分平凡な顔のご令嬢だね」

 へぇ~、おもしろい男。退屈せずに済みそうね。


「フローラ・クラインと申します。フレデリク殿下、よろしくお願い致します」

「王太子の婚約者がこの程度の容姿の女だなんて、この国は豊かだと聞いていたけど大したことなさそうだな」

 私の容姿と国の豊かさに何の因果関係があるんですの? このバカチンが!

「おほほ。フレデリク殿下は私達と同じ17歳ではございませんの? 5歳男児レベルの物言いをなさいますのね」

「何だと!?」

 イケメンが睨む。ふん、こちとら10歳の頃からバルド様の鋭い目つきに付き合っているのだ。そんな可愛いおメメで睨んだって、ちっとも怖くありませんわよ!

 こうして、フレデリク王子と私は、初日から険悪な関係となった。


 翌日の休み時間。

「おい、お前。次の授業、教科書を見せろ!」

「教科書をお忘れになったのですか? それにしても、それが人にものを頼む態度ですの?」

「俺は王子だぞ!」

「第4王子なんて王位継承順位何位ですのよ。調子に乗ってると何処にも婿入りできませんわよ。17歳にもなって、まだ婚約者がいらっしゃらないんですってね」

「う、うるさい! 俺はモテるんだ。女なんていくらでも寄って来る」

「あらあら、自分から殿方に擦り寄ってくるような女に婿入りなさるおつもり? やっすい王子様だこと。ほほほほほ」

「くっ、お前、どんだけ性格悪いんだ」

「女神のように優しいと(バルド様には)言われますが、何か?」

「ウソをつくな!!」


「フローラ!」

 バルド様が私の席にやって来た。

「何、楽しそうに話してるんだ? 随分フレデリク王子と仲良くなったんだな」

「だ、誰がこんな女と!」

 フレデリク王子の言葉を無視する私。

「そうなんです、バルド様。私、フレデリク殿下ととてもお話が合いますの」

「フローラ!」

 いきなり私を抱きしめるバルド様。言っておくが、ここは教室である。

「他の男と話が合うなんて! やめてくれ! 耐えられない!」

「もうバルド様ったら。ただ普通に楽しくお話ししているだけですわ」

「イヤだ! フローラ!」

 鋭いけれど熱い目で私を見つめるバルド様。バルド様が私の髪にキスしようとした、その時、

「殿下! クラインさん! そこまでです! 皆も席に着く!」

 と、いつものように絶妙なタイミングで担任が教室に入って来た。


 フレデリク王子は一人あっけにとられていた。暫くして我に返ったのか、

「お、お前、今のは何なんだ? なぜ担任もクラスメイトも誰も驚かない? お前、バルド殿下といつもああなのか?」

 と、私に問うた。

「何か、おかしな事でもございました?」

 しれっと言ってやる。

「お、おかしいだろ! 教室であんな……なんて”ハレンチ”なんだ!」

 「ハレンチ」ときたもんだ。

「私とバルド様は婚約者ですのよ。あのくらい普通のことでございましょう?」

「教室であんな事するのが普通なワケあるかー?!」

 真っ赤になって怒っちゃって面白いわ~。意外と純情ですの? 茹でダコならぬ茹でイケメンね。笑える。 

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