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98話 アヴェル

タイトルを登場人物の名前にするのもしかして初めてかな?

戦闘系以外で。

今回はとりあえずアヴェルが無双する話です。

 試合開始の合図と同時に喜平さんはアヴェルに体当たりを仕掛けた筈だったのだが俺達の後ろで倒れている。

 何が起こったのか全くわからない。

 投げられたのか?

 よく見てみるとアヴェルの足元には亀裂が入っている。

 そして天井からは屋根を構成していた木屑がパラパラと落下してきている。

 何が起きたのか理解したが俺は天井を見上げた。


「…投げたのはあってるが天井に投げたのか」


 天井には喜平さんほどの大きさの穴が空いていた。

 まさに一撃必殺、アヴェルは一度の攻撃で喜平さんを倒した。


「失礼、勢いが余って天井に穴を開けてしまいました」


 酒井喜平の敗北に気づいた門下生達はアヴェルの強さに驚き騒ぎ始める。


「…酒井が一撃で倒された」 


「おい、あんなのがあっちの世界にいるのかよ!」


「これなら龍を」


「ふざけるな。…こんな化け物に龍を任せられるかぁ!!」


 言ったのは投げ飛ばされた喜平だ。

 まず交流試合を申し込んだのは喜平本人である。

 喜平は龍が小さい頃からずっとそばで見守っていた。

 翔龍が忙しい時は保育園まで迎えに行ったり、他の門下生を連れて遊びに行くほど龍のことを息子同然に可愛がっていた。

 だから喜平は維持でも立ち上がるのだ。

 例え骨が折れようと五体の一部が欠けようとも喜平は立ち向かうだろう。

 自慢の息子を守るためならば。

 

 喜平は立ち上がって再び攻撃を仕掛けた。

 しかし、アヴェルは振り返らない。


「御安心を、私は決して龍様を裏切りません。この命に代えても守り抜いてみせます。例え我が身が砕け散っても!!」


 無防備なアヴェルの背中に拳が迫る。

 並みの魔族ならば直撃は免れないだろう。

 だがアヴェルは直撃の瞬間に反転して交わす。

 そして即座に喜平の背中に手を当てて床に押さえ付けた。


「そこまで。お前らこれでわかったか??こいつらは龍を守るために集まった精鋭だ。生半可な連中ではない。…罰として道場を直しておくこと。壁は一面取り替えて天井は作り直せ。資材は下から運んでこい。待たせたな。向かうぞ」


 翔龍は門下生に道場の修復するように指示する。

 そして待機させていたフィアナ達を呼び出す。

 一同は当初の目的地を果たすために神社に向かった。


「さて、これから儂の嫁、つまりお前の母ちゃんに会いに行くのだが幻滅するなよ」


「何で?」


「見たらわかる」


「ってか何で階段を下りてんだ?神社に行くのなら遠回りだ」


 今から下まで降りるとかなりの遠回りになる。

 降りてまた上まで登るからだ。

 要するに意味のない行動ってことだな。


「結界を通るために別のルートで行くんだよ」


 この家、結界とか張ってあるの?

 何か身の回りの全てに疑念を抱いてしまいそう。

 門下生に人間が居なかったしさ。


「龍のお母さんってどんな人なんですか?」


「髪は白色で角を生やしておる。目は龍と同じ金眼じゃな。まあ、何と言うか良い意味で子供のまま成長した子供思いのお母さんだよ」


「ああ、俺の目の色って母さんの遺伝なんだ」


 白黒写真だったから色とかはわからなかった。

 母さんの遺伝子、強すぎだろ。


「そんで鬼神」


「今なんて?」


「鬼神、鬼の上位種、根幹は妖怪鬼ではあるが実態はほぼ神に等しい」


「え?龍って神様の子供なの?」


 …シエラ、そんな首を傾げてこっちを見ても困るんだけど。

 俺も自分の出生を知ったのは一ヶ月ぐらい前だ。

 それに母さんが鬼の神とか初めて聞いたし。


「実際どうなんだ?」


「五分五分だな。とある集落で祀られていたのは確かだ。だが『神』として先天的或いは後天的に成ったのかは不明」


「先天的と後天的な神ですか?」


「先天的なのは誕生した瞬間から神、要するに純正の神、そうなると堕ちたる純正な神となるな」


 堕天使的なあれかな?

 元は神界に住んでいたけど、何か悪さして神から鬼になったってことか?

 ヤンチャしてたんだな、うちの母さんは。


「後天的なのには長年に渡り祀られてきて神化したという事になるな。儂は後者だと考えている」


「その理由は?」


「出会った当時の奴の言動から元神だと認めたくないからだ。神の片鱗を微塵も感じなかったわ。今の現状をその時の儂に見せたら、発狂するな」


 ああ、確かにそれは元神だと認めたくないな。

 大方、集落に伝わる伝承と上手く紐付けされたのだろう。

 ってか昔の親父を発狂させるとか何してたんだよ。

 …もしかして『幻滅するなよ』って言ってたのは、これが原因か?


「さて、ここから行くぞ。昔の参道を通る」


「昔の参道?」


「不法侵入する馬鹿共に興味本位で通られんように隠してあるがな」


 そう言うと親父は壁に近づいて隠し扉を開けた。

 え?こんなの昔からあったの?

 それってガキの頃に落書きしてた壁だぞ。


「ほれ、行くぞ」


 改めて思うけどうちって忍者屋敷みたいだな。

次回は龍のお母さんがついに登場!

お母さんというよりかはお姉さん的なイメージのキャラです。

だって魔族で見た目はかなり若いし。

それではまた次の話で!

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