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95話 お父様!

六人とも龍の父親とは初対面なので自己紹介をします!

ちなみに王の護剣とは面識があります!

まあ、龍の異世界転校の手続きとかで。


 異世界から帰省した俺はとりあえず親父に事情を話して皆を家に招待した。

 そして今は俺が何でこうなったのかを親父に訊かれたり、逆に俺が勝手に異世界に送り込んだことや今まで隠していたことを訊いたりして壮絶な口喧嘩になっている。

 それに対して皆は盛大に歓迎されている。

 アヴェル達に至っては門下生と直ぐに打ち解けた。

 まあ、『異世界から同族が来たぞ!』と盛り上がってるのだ。

 

「まあ、そういうことだ。お前にかけた老化止めの魔法はあっちの世界からの連絡で解いた。要する人として育てるのには頃合いってことよ」


 長々と口喧嘩していた親子はようやく落ち着きを取り戻した。

 

「別にそれはわかったけどさ何で早く言ってくれなかったんだ?」


「母さんが心配性だからかな」


「そういえば母さんは何処に?」


「隣の山に氏神様を祀っている社があるだろ?あそこに住んでんだよ。普通に過ごしていると様々な影響を与えかねないからな」


 ああ、あの社に居るのか

 鳥居が家の近くまで来てるのは階段が参道の一部だからという理由がある。

 途中で家の方と社の方とで分かれている。

 親父から一カ月に一回は拝みに行けって言われていた。

 なるほど、母さんに俺の顔と成長を見せるためだったのか。

 …でも、この流れでは。


「母さん、神様なの?」


「一応、鬼神だ。でも、書物に載ってないけどな。後で母さんのとこに行くぞ」


 それでもスゴいんだけど。


「さて、お前が連れてきた友達を紹介してくれ」


「了解」


 龍は隣の部屋で待たせていたフィアナ達をこっちの部屋に連れてきた。


「右からジェイスさんの娘のフィアナ、ユルグレイト王家のエレノア、元気しか取り柄のないアリス、ルシフェル大帝国領アルファスの領主の娘のシエラ、俺の異世界での初めての男の友達のレイ、あとオマケのエイジ」


「ちょっと待て!何で俺だけオマケ扱いされてんだ!」


「だってお前、テーブルゲームが強いのとチャラいのしか取り柄ねぇだろ」


 一応、これでも皆の特徴をわかるよう説明したんだ。

 けどエイジだけは何にも出てこなかった。

 何でだろうな?アイザックの時のへっぴり腰が原因か?


「そりゃあ、そうかもしれねぇけど」


「初めまして!フィアナ・ケイスフォルンです!龍とはクラスメートで相部屋です」


「事情はジェイスさんから報告されている。迷惑をかけたな。龍は変なとこに気を配れないからそこんとこは多目に見てやってくれ。龍のことを頼む」


「はい!」


 いや、親父よ言ってること全部、真逆だぞ。

 俺を頼む?こっちはフィアナの親父から頼まれてるよ!


「次はボクがいきます!アリス・フラメル!龍と一緒に風紀委員をやってます!」


 元気なのは良いことだがそういう場じゃない!

 もっと落ち着いて言ってくれ。


「ほう、龍は風紀委員会に所属してるのか。龍はよく無茶をするから見張っていてくれ」


 それ俺の立場な。

 アリスは俺が見張ってないとどっかに行くぞ。


「了解!」


「シエラ、シエラ・フェリアスよろしく。…それと龍は命の恩人」


「龍は異世界に行っても変わらないな。相当のムチャをしただろう。龍に何か遭った時は力になってくれ」


 それだけの文脈で俺がシエラに何をしたのか理解できたのか。

 さすが大人数の門下生を束ねるだけはある。

 

「うん、努力する」


「レイ・フィースベルです。龍君は親友兼特ダネの関係です」


 レイってそんなこと考えてたの!?


「知っての通り龍はこっちの世界の者だ。おそらく、そちらの世界では多くの困難に出会うと思う。その時は支えてやってくれると嬉しい」


「もちろんよ」


 今更だけど親父が真面目に人の話を聞いて真面目に返答してる!

 門下生達も障子の隙間から口を開けて見てるぞ。

 多分、半数の奴らは嫉妬してるな。

 あいつらま真面に親父と話し合いしたことがなく、しょっちゅう俺に相談してきたし。

 

「エイジ・ソレイユです!龍とはマブダチやってます!止める気は絶対にありません!あの世でも続けます!」


「君に関しては少し、自重という言葉を覚えた方がいい。その性格ではいつか不幸な目に遭うぞ。まあ、私が言いたいのはとりあえずチャラい奴は嫌いだ」


 エイジだけ何の感謝の言葉もなく一刀両断された!


「何で俺様だけ扱い酷いの!?」


 普段からの行いのせいじゃね?

 一応、フォローをしてやるか。


「こう見えても優しくて頼りがいのある奴だから性格は気にしないでくれ」


「努力してやる」


 そういえば親父って戦前生まれの人!

 真新しいものを不信に思っていても仕方ない!

 そして俺も戦前生まれ…だからか?


「最後はエレノアだな」


「お初にお目にかかります。私はユルグレイト王国、第一王女のエレノア・ユルグレイトと申します。龍君には私、そして我が王国の窮地を救っていただきました。感謝の念が堪えません」


 待て待て待て待てえぇい!

 何かエレノアらしいけどエレノアじゃない!

 ユルグレイト王国代表みたいな気分で来てるんですけどこのハーフエルフ!

 一人だけ覚悟が違う!


「私は継承権一位ですので龍君とは国王の立場になっても長いお付き合いになると思います。ユルグレイト王国一丸となってルシフェル大帝国の新皇帝を支えていきますのでこれからも末永くよろしく御願いたしますお父様」


 エレノア以外の者は全員が何が起こったのかわからないような顔になっている。

 まるで鳩に豆鉄砲を食らわせたかのように。

 エレノアの行動は王女としては正解だがこの場では色々とおかしいのだ。

 この場は和気藹々と自己紹介をする場である。

 だが、いきなり堅苦しく真面目に自己紹介されると当然こうなる。

 それはまるで遊びを単なる遊びとは捉えずにガチでやりにきているプレイヤーのようだ。

 龍の思っている通り、覚悟が違う。


「やけに堅苦しい自己紹介だけど龍、これがお前のガールフレンドか?お父さんは正直、反応に困るのだがいい子に出会えたな」


「フレンドはあってるけど!ガールは違う!それとエレノア!もっと砕けた感じで自己紹介しろ!皆が引いてるぞ!」

 

「いえ、私はいつも通りの自己紹介をしたんですけど何か問題でも?」


 エレノアは真面目な顔で返答したが本当は茹でられたタコのように熱くなっている。

 一度、我に返って考え直すと多少、結婚のご報告のようにも捉えれることに気づいたのだ。


「問題大有りだ!貴族や王族以外での自己紹介の仕方を学べ!」


 エレノアってこんな奴だったか?

 確かに多少は真面目な雰囲気を醸し出していたがこれは少し違う感じがする。

 まあ、とりあえずは今度、他の国の王族とか貴族と会う時はこの自己紹介を参考にしよっと。

次回は…まだ未定ですσ(^◇^;)

龍の母親に会いに行く回か、多少の交流をする回か悩んでます。

それではまた次の話で!

多分、交流回になりますね。

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