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89話 皇帝専用列車の旅

とりあえず列車に乗ります!

龍専用の列車にです

 例の件でマスコミが騒ぎ立てたので日本に帰省する事にした。

 帰省なのだが俺の実家はこことは違う世界に存在している。

 そのため異世界転移術式が使えるルシフェル大帝国の飛び地に向かうことになった。

 次にそこへの移動手段なんだが決を採る前に転移の館の利用は反対された。

 当然だが経験した俺も反対したぞ。

 となると飛空艇か列車という選択肢しか残ってない。

 だが、それらに乗れば一般人との接触は免れない。

 そこでアヴェルが皇帝専用列車を帝国から手配してくれた。

 ちなみに高位の幻術で一般車両に変えているそうだ。

 

「さすがは皇帝専用列車だけあってデカいな。何両編成なんだ?」


「十二両編成です。三両目が娯楽スペース、四両目が食堂、五と六両が客室、七と十両目が護衛や使用人の部屋で八と九両目が龍様の御部屋です。十一両目に医療スペースが完備されており、最後尾の十二両目が荷物部屋です。また、二両目には列車の動力源である魔術回路が設置されています」


 龍の隣にはユルグレイト王国で人気の土産物を持ったアヴェルが立っている。

 そのせいで護衛ではなく荷物持ちにしか見えない。

 

「別に一部屋でいいんだけど」


「威厳的な問題です」


「そういえばアヴェルは日本に来れるのか?他の三人はそれなりに大丈夫そうだけどアヴェルは見た目が鳥だし」


 アヴェルには人にはないが鳥類にはある嘴が付いている。

 そのため初見で彼を『人族だ!』という奴はいないと断言できる。

 だからアヴェルだけ飛び地でお別れになるのか気になっていた。


「一応、人族にも化けることができます。龍様の家の門下生と同じ原理です」

  

「門下生と同じ原理?」


「あの方々は人族に化けてる妖怪です。人族は在籍していませんよ」


 そんなこと初めて知ったんだけど。

 道理で年齢を重ねても見た目が変わっていない筈だ。

 長年の違和感が思いも寄らないことで解決したな。


「じゃあ、ハイエナに気づかれないうちに出るか」


「畏まりました」


 列車は俺が乗るとすぐに発車した。

 それと乗車したのは俺とアヴェルたけだ。

 他の者は途中の駅で乗車するように指示されている。

 幻術で普通の列車に見せるにしろ『停車しない列車』や『誰も乗車しない列車』は列車として異常すぎる。

 そのため各駅に協力を要請して停車できるようにして客としてフィアナ達を拾うことにした。

 仮に無関係の人が乗車してきそうになったらアヴェルが駅に居る客を纏めて数秒間だけ気絶させるらしい。

 ちなみに到着までは五日ほどかかるそうだ。

 そしてフィアナ達は『列車の中を探検する』と言って一両日の方に行った。

 しかし、俺はとっくに見回っているので自室で寛いでいる。

 そういえばお腹がすいてきたなぁ。


「龍様、昼食のお時間になりましたがどうなされますか?」


「もちろん、食う」


 俺の空腹にも気づくとは王の護剣するには勿体ない逸材だな。

 王の護剣になる前のアヴェルって何をしていたんだろう?

 ゴブリードの分家だがクラウスさんの執事でもしていたのかな?


「では、食堂車に移動してください」


「その前に探検しているあいつらに伝えないと」


「既に確認済みです。しかし、昼食は既に駅の方で召し上がられていたようです」


「マジかよ。転移の館を利用した直後なのに通せるのか」


 確かに転移の館を移動手段として利用しないと決めたが各駅に向かうまでは別だ。

 それなら『そのまま飛び地に向かえばよい』という案も出そうだが距離の問題がここで生じる。

 転移酔いは距離が長ければ長くなるほど大きくなってしまう。

 要するに飛び地まで転移したら耐え難い嘔吐や追加の頭痛とめまいが襲いかかるのだ。

 そのため各駅への移動手段として転移の館を利用した。

 だが転移酔いするほどの距離ではないので嘔吐はしていない。

 それでも吐き気を催すことには変わらない。

 龍はその事について驚いているのだ。


「うわっ、行ったことないけど高級レストランの雰囲気が漂っている」


「寝台列車の食堂車なんて何処もこんなものですよ」


「アヴェルは乗車したことがあるのか?」


「はい。ユルグレイト王国に仕事で訪れる際に」


 ああ、旧医療塔に置いてある物の整備とかクラウスさんの付き添いで?

 それにゴブリード家の分家だし旅行とかでも乗ってそう。

 そういえばアヴェルは列車に乗車してから俺のそばを離れていないな。


「龍様、冷めないうちに召し上がりましょう」


「何だ自分のも頼んでいたのか」


「ハハハ。正直に申し上げますと先ほどから腹の虫がうるさくてうるさくて」


「護衛に集中できなかったと?」


「いえ、いつ鳴るのか心配しておりました」


 腹は減ってもアヴェルは優秀ってことか。

 さて、異世界の高級料理ってどんな味がするのかな?

 道場付きの家に住んでたからって勘違いするなよ。

 俺の世界で高級料理なんてモノは食べてない。

 俺は次期皇帝だが庶民舌だ。

 

次回は三日ほど飛ばした四日目からスタートします!

そんで事故ってもまらいます!

列車の魔術回路の故障ですね。

それではまた次の話しで!


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