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88話 騒がしくなったので実家に帰ります

荷物まとめて実家に帰る話です!

理由はだいたいわかってると思います。

 アイザック戦以来、龍の周囲に王の護剣が居るようになった。

 その理由は龍の存在を脅かす輩から守るためだ。

 龍はあの時に盛大に『魔王ルシフェルの血筋の帰還』を伝えてしまった。

 故に王の護剣が護衛のために動き出すのは必然だ。


「龍様、今日はどちらに?」


 そして今日はアヴェルとキースが付き添っている。

 しかし、他の二人も遠くから護衛している。

 魔術師であれば遠距離からの暗殺も難なく行えるからだ。


「土産を買おうかなと」


「土産ですか」


 まあ、何かと騒がしくなりそうだから我が家に帰りたい。

 それに門下生の皆にも渡したいから早めにな。

 さて、後は手続きを済まして校門を出るだけだけど…。


「…どう考えてもマスコミが待ち構えているよな」


「待ち構えてますね」


「待ち構えていますな!蹴散らしましょうか?」


「いや、大丈夫だ。引き返す」


 土足で他人のプライベート空間に入ってくるなハイエナめ。

 何を訊ねようとも俺は無視を突き通すぞ!

 金目当てなら他の取材をしに行きなさい!


「…あ!皇帝陛下!一言!一言だけでもお願いします!」

 

 自由に動けないからさっさと帰れ。

 それに俺はまだ皇帝じゃない。


 龍は方向転換して校舎の方に戻っていった。

 フィアナが適当に校舎内で遊ぶと言っていたからだ。


「龍っちだ!」


「買い物に行くんじゃなかったの?」


「校門前にマスコミが居たので引き返した」


「確かに龍ってああいうの苦手っぽいよね」


 苦手というよりかは対応したくないからだ。

 しかし、この三人以外は誰も見当たらないな。

 あの件で坊ちゃん、嬢ちゃんの迎えが急に速まったからな。

 …エレノアはこの状況を機として、だらしない表情で寝ている。

 先週までの賑やかさが嘘のようにゴーストタウン化している。

 学園内の店で土産を買わなかったのはこれが原因だ。

 店も生徒の帰省とともにシャッターを下ろしたからな!

 おそらく、シアン先輩は資料を整理したりしてるのだろう。

 この場で屯ってないシエラは自室で寝てるな。


「こう見ると龍ってやっぱり次期皇帝なんだなと実感するなぁ」


「…龍!?こんにちは~。えっと今日もカッコいいね!」


 寝起き早々に変なことを口に出すな。

 素直に褒め言葉として受けとっておくけど。


「やっぱり王の護剣が付き添ってるんだ。…キース・オウガ!?」


「どうした?いきなり叫んで」


「キース・オウガってクラウスさんを襲って殺しかけた犯罪者よ!」


「マジで!?初耳なんだけど!」


 四人は目を丸くして大男のキースを見る。

 代理皇帝クラウスは五王家の当主であり魔王だ。

 それなのに彼は処刑されずにあろう事か龍の護衛をしている。

 言い換えると元犯罪者が次期皇帝の護衛をしている。

 これを異常と呼ばずに何と呼べばよい。


「小生は愛国主義者なのでな!偽の皇帝が玉座の間にいるのは耐えられなかったのだ!だから殺そうとした!」


「彼は誰よりもルシフェル大帝国のことを考えております。そのため帝国に仇なす賊を成敗してきました。そしてある日、クラウス様を襲った時にその愛国心と度胸、力や能力を見極めて最初の王の護剣のメンバーに加えました」


 国を守るために何でもする。

 それは皇帝のためなら何でもすると言っても等しい。

 だからアヴェルはキースを王の護剣に加えたんだろうな。

 そういえば最後の一人はいつ出てくるんだ?


「今は危険じゃないんだよな?」


「もし、何かしたら私が止めますよ」


「何かする時は御身に何かあった時だな!」


 これって俺も気をつけないといけないパターンか!?


「そういえば聞き忘れていたことがある。どうやって日本に帰省したらいいんだ?」


「あるぞ!ここユルグレイト王国から少し離れた所にあるルシフェル大帝国の飛び地に異世界転移魔法が使える場所がある!」


 どっから沸いて出てきたこの学園長。

 それは置いといて。


「本当ですか?」


「ああ、後でクラウスさんに連絡しておこう」


「お願いします!」


 何とかこれで夏休みが終わるまで避難できる。

 土産は…いつの間にかアヴェルが消えている。

 俺が外を出歩けないから買いに行ってくれたのか。


「龍、帰るの?」


「まあ、こんな感じだからな」


「…だったら皆で日本に行きましょう!」


 何かを察したのかエレノアが『日本に行く』という提案を出す。

 そしてジェイスと同様に何処からかもう一人、会話に参加者が現れる。


「良いね。シエラ、賛成」

  

「おはようシエラ。遅いお目覚めで」


「…ん?おはよう龍」


 このドラゴニュート、己の起床時刻を全く気にしようとしていない!!

 もうすぐ正午、お天道様が真上にやって来るぞ!


「別に俺はいいけど…。学園長の意見を聞きたいです」


「問題はないだろう」


「じゃあ、私がフィアナの見張りとして付き添うからお父さんは留守番ね」


 更に資料の整理を終えたシアンも会話に参加する。

 だがジェイスは高らかな声を上げてこう言った。


「ハッハッハ!!何を言うんだシアン。お前には風紀委員会を総動員させた後始末があるだろ?それに夏休み中に他の国に行って入学試験するからお前はこっちの付き添いだ!」


「うっ…。それを忘れてた」


 じゃあ、シアン先輩と学園長は留守番と。

 …すると誰がフィアナを見張るんだよ?

 多分、確定で俺かエレノアだな。


「参加者はフィアナ、エレノア、アリス、シエラ、王の護剣か」


「おっと!俺様達の存在を忘れてないか?」


「レイも行くか?」


「もちろんよ」


「待て待て!俺様を無視するな!」


「しょうがないからエイジも来い」


 これで実家に帰る準備ができた!

 後は戻ってくるまでにこの騒動が収まるといいんだけど。

 

次回!とりあえず汽車でルシフェル大帝国の飛び地まで行きます!

ゆらゆら揺られながらホノボノとした話ですよ(*´∀`*)

それではまた次の話で!

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