79話 独りぼっち
アイザックは一人で戦うが龍は友と共に戦います!
「最果ての領域発動!!」
フィアナは最果ての領域で跳躍力を強化して高く跳びアイザックを殴る。
摩擦が起きないと斬撃は不可能だが打撃なら摩擦を起こす必要がないのでダメージを当てれるのだ。
(骨が折れる常識、衝撃が伝わる常識を消す!)
「骨折や衝撃も無効化することができるがダメージ自体は無効化できないようだな。エレノア! 打撃系の武器はないか!」
「あります!五代目剣聖よ!そなたの武器を我に貸したまえ!出でよ!崩滅拳タイタン!これで殴ります!」
エレノアは崩滅拳タイタンを装備する。
御大層な名前に反して手袋サイズのガントレットである。
だが攻撃力は裏切らない。
生半可な作りをしている盾など衝撃波だけで破壊できる。
「確かにダメージは無効化できねぇよ。…だけど忘れてねぇよな!!駒共!出番だ!こいつらの相手をしろ!」
「シュトルツ騎士王国の国民!?騎士団が足止めしてる筈じゃ!」
フィアナの言う通りシュトルツ騎士王国の国民は騎士団が相手をしている。
それが何の前触れもなくいきなり現れた。
国民の中に転移能力を持つ個力使いがいるのか!?
「簡単なことだ。距離の常識を変えた。こいつらが居た場所とここはたった一メートルってな。一週間に一度しか使えない取って置きだ」
やってくれたな。
四人に対してアイザックと際限なく現れる国民…。
騎士団が到着するまで持ち堪えられるのか?
不可能だ!それに学園へ一直線に来るとは限らない!
創造で纏めて相手しようにも扱い方の慣れがまだ…。
「龍、ここは私達に任せてアイザックを止めてください」
「バカを言うな!この人数を三人で対処できる訳ないだろ!」
「大丈夫、私は女学園最強よ。負ける要素が何処にもないわ」
「いやいや、負ける要素しか見当たらないでしょこれは。安心しなさい龍!あなたは既にこの状況を打破している!」
そういえばこの人の存在を忘れていたな。
自分が所属しているところのリーダーなのに。
「風紀委員会だと!?」
「ええ、風紀委員会ですけど何か!学園の治安維持は風紀委員会の管轄内!文句を言われる筋合いはないわ!」
「シアン!これなら任せられるでしょ龍!」
「当然だ!気楽に戦えられる!国民の方は任せましたよ先輩!」
流れが元に戻った!
持つべきは友ってこういうことなんだ。
それに対してあいつは、
「雑魚が増えたところで戦況が変わるものか!!こっちは何十万人も居るんだぞ!それにアケノさえ殺せば後はどうでもいいんだよ!」
独りぼっちだ。
例え洗脳しても一人には変わりない。
ただ自分の居場所を勝手に作ってるだけ。
「じゃあ、俺様達は龍を手伝うぜ!」
「レイ!エイジ!」
「僕達はお邪魔虫かな?それとあの日みたいに共闘する?」
「後者に決まってんだろ!」
これほど頼もしい奴らはいない!
閉ざされた活路がやっと見えた!
ならば後は皆で勝利するだけだ!
「何ですか!?何ですか!?後から後からぞろぞろと!!気持ち悪いんですけど!!」
「お前にはわからねぇだろな。これがお前が失ったモノ、そして俺が得たモノだ。吹き飛べ!」
龍は暴風を創りアイザックを体育館から遠ざける。
そしてエイジ、レイと自分を風に乗せてそこまで運んだ。
「本気で行くぞ!」
「おう!」
「出し惜しみなしでいくわよ!」
エイジとレイは同時に個力を発動させる。
「神出鬼没発動!!」
「盤上の支配者発動!!」
「アイザック君、僕を捕まえられるかしら?」
レイは空気に溶け込むようにその場から消えた。
「ようこそ!俺様が支配する盤上の世界に!」
二人の個力を目の当たりしたアイザックは少し後退りする。
そして龍は少し悩んだ後、眼帯を外した。
「世の理に叛逆せし神の魔眼発動!!これより全ての理をねじ曲げる!」
…二人みたいにカッコよく言ってみたがやっぱし恥ずかしいな。
アイザックと龍の違いは信頼できる友がいるかいないかの違いです!
それではまた次の話で!




