76話 戦慄のユルグレイト王国
前日譚的な回です。
エレノアはシュトルツ騎士王国軍の進軍を父親であるアレックス王に伝えるため実家のユルグレイト城に帰っていた。
そして今、起きている事を跪いて説明する。
実父だが国王なので公の前では実の娘でも跪かなければならない。
「…わかった」
「ありがとうございます」
「…早急に国内全域に通達しろ!シュトルツ騎士王国軍がユルグレイト王国に進軍中!城下以外に在住する者は近くの屯所に避難せよ!城下に在住する貴族はユルグレイト城に!それ以外の者はユルグレイト学園に直ちに避難しろ!それと全騎士団に召集をかけろ!」
「はっ!!」
これは早馬等の手段によりユルグレイト王国全域に通達された。
当然、王国中は小規模のパニック状態に陥る。
数時間後、龍も風紀委員として駐車場の警備員のように避難誘導をしてる。
「まだ到達には時間がありますのでゆっくりと身支度を済ませてください!」
後、二十四時間あるのに今から避難誘導する必要あるのか?
まあ、早めにやった方が得策だしな。
てか、アリスに関しては俺の後ろで寝てるしこんな非常時の時になにしてんだよ。
「起きろアリス!」
「…うん?もう、終わったの?」
「まだ終わってねぇよ。ボランティアが来るまでやるんだよ。ひたすら誘導灯を学園方面に振るという謎の作業をお前もするんだよ」
「龍っち、怒ってる?」
察しろ…口調で察しろやド天然バカが。
俺なんてルシフェル大帝国からの援軍を要請するためにユルグレイト城に行かないといけないんだぞ。
絶対、アイザックの顔面に一発、お見舞いしてやる…。
(めんどくさいから空間歩行で逃げよっと)
「逃げたらサボってた分までシアン先輩に報告する」
「げっ!?…ボクに代わってくれるかなぁ」
シアン先輩の名を出されるとアリスでも動くよな。
名前だけで問題児すら抑えつけるとは恐れ入った。
そもそも問題児を風紀委員に迎えるのはどうかと思うぞ。
アリスも避難誘導に参加して暫く経った頃、避難を終えたボランティアに代わってもらい龍はユルグレイト城に向かった。
「龍君、来てくれたか」
「はい、何をしたらいいのですか?」
「とりあえず電話でクラウス殿に事の顛末を伝えてください」
「わかりました」
少し形は違うけどこの世界にも電話ってあるんだな。
魔力のネットワークもあるんだから当たり前か。
電話のルールは同じだな。
「御電話、代わりました。ノボル・アケノです」
『龍様、何の御用ですか?』
「実は…」
そして龍はクラウスに事の顛末を伝える。
『わかりました。最低でも三日はかかりますので御了承ください』
「それとアイザック以外は無抵抗の国民です。傷を負わせないよう無力化してください」
『ええ、もちろんです。刃のない武器で戦います。それではまた後ほど』
堅苦しい宣言もなく意外にも普通に終わったな。
何かもっと色々と話して後に書類を渡されるのかと思っていたがそうでもなかった。
「これでお終いですか?」
「…はい、ありがとうございます。我々も刃のない武器で戦います」
「お願いします」
さて、俺はどうしようかな?
アリスはサボってた分もやってるし俺はやることもうないんだよなぁ。
…帰ってゴロゴロするか。
少しはリラックスしたい。
毎度おなじみ時間を吹っ飛ばします!
ということでシュトルツ騎士王国軍到達します!
それではまた次の話で!




