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74話 とある国の王子の悲劇的妄想

主人公の出番なしです!

今回の章のラスボス登場します!

 ユルグレイト王国から北西の方角にとある王国がある。

 今、その王国はある問題に直面している。

 それは第三王子のことだ。

 第三王子はある犯罪シンジケートに所属していたことが判明した。

 もちろん、国は大騒ぎになり国民が城に押しかける始末。

 さて、この王国はどういった方向に行くのやら。


「ああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 城の地下牢獄から狂ったような叫び声が聞こえてきた。

 地下牢獄の入口には騎士が必ず二人、交代制で配置されている。


「また叫んでいるな」


 この者が叫ぶのは珍しくないようだ。


「そうだな。こっちまでおかしくなりそうだ」  


「何を思ってあんなバカげたことをしたのか」


「考えてもムダだ。元から狂ってんだよ」


「おい、誰かに聞かれたらどうするんだ?」


 隣の騎士は周りを確認しながら小声で忠告する。

 仮にも王族、不敬罪として斬られる恐れがあるからだ。


「聞かれてもチクられねぇよ。この国はもう終わってるからな」


 地下牢獄からの叫び声は止んだ。

 地下牢獄にはこの国の第三王子が入れられている。

 罪は犯罪シンジケートに所属していた罪、国家転覆罪、殺人未遂である。


「何でエリートの俺がこんな目に遭わないといけないんだ。これも全部、あの魔族が悪い。あのハーフエルフだっておとなしく従ってたら…。でも、大丈夫だ。もう少し後もう少しであの御方が来る。あの御方が来れば…」


 もう、おわかりだろう。

 投獄されているのは龍とレイに企みを暴かれ倒されたアイザック・シュトルツである。

 そう、この国は誇り高き騎士王国、シュトルツ騎士王国だ。

 そして今、最も危うい崩れかけの積み木のような国である。


「絶対に殺してやる!!待ってろよ!ノボル・アケノオォォォォォォォォォォォォ!!」


 そしてまたアイザックは叫んだ。


「また叫んだ」


「こりゃあまた陛下が落ち込むな。…止まれ。ここは関係者以外立ち入り禁止だ」


 騎士達が門番をしてると黒い布で身を覆った男が近づいてきた。

 見られたくないのか顔を隠していて不気味という言葉が似合う。

 大男という訳でもなく街中に居そうな普通の体型をしている。


「ちょっと訊きたいことがあってね。アイザック・シュトルツが投獄されている牢獄はここであってるかな?」


「革命軍の者か?悪いが捕らえさせてもらう」


 この王国にはアイザック投獄後から革命軍らしき組織が確認されている。

 そのため騎士達は立場上の関係で仕方がなくこういった事にも警戒をしている。

 しかし、本当は革命軍の一人や二人ぐらい通したいほどだ。


「あってるようだね。じゃあ、僕は関係者だ」


「関係者?そういえば城門の騎士はどうした!」


 シュトルツ城に入城するには必ず城門を通る必要がある。

 だが、そこは厳重な警備体制を敷いており、万が一そこを突破しても中庭の騎士に捕らえられてしまう。

 つまり、この男はその全て突破してきたのだ。


「蹴散らしてきた」


 男は鞘に収めてある剣を取り出す。

 そしてそこに彫られていた紋章を見て二人の騎士は後退りする。


「…貪狼騎士団」


「団長様だよ」


 戦いの結果は言うまでもなく貪狼騎士団団長の勝利で終わった。

 地下牢獄までの警備が完全に突破されたのだ。


「アイザック君!どうしたのかな?」 


「…団長」


「何か果たしたい目的があるんでしょ?君の居場所は貪狼騎士団だ。何でも言ってごらん。最大限の手助けしてあげる」


 団長は腰を落としてアイザックと目線をあわせる。

 目線を合わせることにより、アイザックに対等な関係であると示しているのだ。

 いや、対等な関係というよりも親に与えられた玩具で遊んでいるように見えるのは気のせいだろうか?


「俺はノボル・アケノという魔族を殺したいです」


「リュカが言っていた子だね。出してあげるよ。頑張ってね」


 団長は檻を斬ってアイザックを解放した。


「ありがたき幸せ」


「でも、駒が必要だよね」


「まさか他の団員を?」


「いや、彼らは別の地にいるからねぇ。これを使って」


 貪狼騎士団団長は懐から小さな角笛のような物を取り出してアイザックに渡した。

 それを受け取ったアイザックの手は震えている。


「これは…。いいんですか!?」


「言ったはずだよ。最大限の手助けをすると」


「必ずや我が野望を成就さけます!」


 解き放たれたアイザックは意気揚々と牢獄の外に出て団長が耳を塞いでるのを確認するとその角笛を吹いた。

 また、吹き終えると城下に降り立つと身なりを整えて鼻歌を交えて出かける。

 狂人の行き着く先はユルグレイト王国なり。


「頑張ってね。愚かで傲慢で誰からもこの世界からもそして神にも愛されなかった哀れな哀れな僕の傀儡人形君。その野望が崩れるさまを特等席で見物しなきゃ」


 この男、アイザックと対等な関係であると全く思っていない。  男の中ではアイザックは単なる暇つぶしをするための傀儡人形。

 要するにただアイザックを掌の上で弄ばしてるだけ。

 この日、シュトルツ騎士王国から老若男女とわず多くの武装した軍勢がユルグレイト王国に向かって行進しているが目撃された。

というわけで龍にはアイザックと戦ってもらいます!

前より強くなって戻ってきますよ!

それではまた次の話で!

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