63話 洞窟探検
夏に洞窟に行くとかなり涼しいですよ!
けっこう快適です!(*^▽^*)
何故、真夏の洞窟はこんなにも涼しいのだろう。
最高!天然のクーラーのようだ!
学園にないかな涼しい洞窟。
「龍様、涼しそうにしてますね」
「そうだな。だが俺達は気を引き締めて行くぞ」
「当たり前よ。この方は我々の帝国の未来を担う御方なんだから」
「そういえばウルミナ殿は独特な魔力を帯びていますね。どういった家柄の出身なんですか?」
何かジェイスが俺を無視して二人と話している。
まあ、別にいいけど少し意識をそっちに向けますか。
「研究者として気になるんですか?」
「ええ」
「良いですよ。隠すつもりもないですし。私はかなり特殊な家の出で帝国では呪われた家と呼ばれていました」
「魔族ですし呪いは良いものでは?」
確かに呪いって何か俺達と縁がありそうな言葉だと思うんだがな。
「…まあ、そうなんですけどね。私の祖先は瘴気が立ち込める暗い森の中に住んでいたんです。そしてある日、一人の魔族に出会った」
いや、魔族なんだから魔族と出会うのは当たり前なのでは?
それじゃあ祖先が魔族じゃなかった言い方だな。
「私の血のほとんどはダークエルフの血なんです。だから呪われた家、魔族とダークエルフという普通ではありえない組み合わせだから」
なるほど差別的な意味合いで呪われた家ね。
…何処に行っても感情を持つ生物がやることは同じだな。
「別に良いんじゃねぇの」
口を開いたのは先ほどまで耳を傾けていた龍である。
自分の部下が落ち込んでいるのを察して堪らず発したのだ。
「どういうことですか龍様?」
「その普通ってのはそいつらの思想での普通なんだよな。だったら別に良いだろ。むしろ誇るべきだと思う。だってダークエルフの血を引く魔族なんてほとんどいないと思うからな」
「…そんなこと言われたの初めてです。己の血筋は誇るべきか…。前向きな気持ちになれましたありがとうございます」
景色は飽きないが本当に長いなこの洞窟。
少しだけ厚着してきたが肌寒くなってきた。
後、片隅に置く程度で気になっていた事だが入ってから魔物を一匹も見かけない。
学園長の話と違っているぞ、どうなってんだ?
「なあ学園長、まだ着かないのか?」
「後もう少しだ」
「あのすみません。自分の家については訊かないんですか?」
「ヘイスはウィディア家じゃない。説明不要でしょ」
ウルミナさんの言う通りだ。
エレノアに色々と聞かされたから知っている。
それと自分でも多少は調べてみたから今更のことだ。
「いや、良くないですよ!何で自分には訊かないんですか!?」
「そう言われましてもここに居る全員がヘイス殿の家については熟知してますからなぁ」
「確かにそうですけど…」
そんな話をしているうちに龍達は細い道ややや狭い空間を通り抜けて奥行きがありそうな空間の一歩手前に到着した。
他の空間とは違ってクリスタルが壁から多く生えている。
「学園長あの先にクリスタルローズが?」
「その通りだ。…だが何かが潜んでいるぞこの先。アルファス洞窟で魔物を一匹も見かけないのははっきり言って異常だ」
「…ウルミナ、先行するぞ」
「了解、ジェイス様は龍様のそはから離れないでください」
王の護剣の二人は武器を構えて先行する。
そしてジェイスは龍を庇うように傍らに立つ。
先ほどまでの遠足気分から戦闘が始まる雰囲気に突入した。
「何か居るんですか?」
「確実に何か居ます。アルファス洞窟は魔素が充満しており多種多様な魔物が発生し生息しています。しかし、その魔物が一匹も見当たらない」
「その何かから身を守るために隠れているのでしょう。絶対に前に出ないでください」
おお、何かを採りに行った時にやるボスバトルが発生した。
ファンタジーあるあるだな。
たいていは序盤か中盤にあるヤツだ。
「つまり、強い魔物がこの先に居ると」
「故に我々が先行いたします」
どんな魔物と会えるのか楽しみだな。
もしかしてドラゴンだったりして。
ドラゴンは大型、中型、小型を問わずこの世界では凶暴な存在として認識されている。
そんなドラゴンが居るなど異世界人なら考えたくもないが龍の願いは叶ってしまうのであった。
要は堂々とこの先の空間に居たのだ。
次回、ドラゴンVS王の護剣!
シエラを除くとドラゴンは初めての登場かな?
それではまた次の話で!




