61話 思い出の花
まあ、タイトル通り思い出の花がわかります。
最悪にも冷房設備は直らず明日を迎えた。
おい、ジェイスよ学校の設備はちゃんと確認しなさい。
しかし、ざっと確認はしてみたが魔法や他の魔導具で補ったのか草花には影響が出てないそうだ。
そして風紀委員の仕事で遅れたが問題なく鉄塔に行けた
だが猛暑のせいかシエラが干からびている。
単に気だるいだけで熱中症ではなさそうだ。
「無事か~」
「扇風機…創ったまま置いてって…」
おっと蒸し風呂状態だったからか元気がない。
仕方がない、昨夜に閃いた事をやるとしますか。
「疲れるがやるとするか。ドラゴニュートって冬眠とかしないよな?」
「ドラゴニュートはそんな柔な…存在じゃ…ない…」
一日で干物になっている天下のドラゴンさんが何を言ってんだ?
「まあ、しないのなら良しとするか」
魔眼、昨夜に閃いた事をやるぞ。
という訳で創造のサポートを頼む。
『了解した』
「創造発動!」
創造を発動させると龍の周りに粉雪が舞い散る。
「雪?」
「広がれ」
そして粉雪は部屋中に広がっていき温度を下げた。
「終わった~。ちょっとは涼しくなっだろ?」
「…ありがとう」
雪というより凝縮させた氷塊なんだよな。
それを部屋中に飛ばして砕いて温度を下げたってことだ。
…これでかき氷とか作れるかな?
何か体に悪そうだから止めとこ。
「龍の目的ってシエラのゼロ・コントロール状態を治すことでしょ?」
こんだけ関わってたら勘づかれるのも時間の問題だったか。
このまま隠し通すのも可能なんだが素直に打ち明けよう。
それにシエラの信頼を落とす事態になりかねない。
「そうだ」
「そのためにいつもシエラの所に来るんでしょ?」
「まあ、初めはそのつもりだった。でも、日が経つにつれシエラのことを知って面白い奴だなって思うようになった。だからさこいつと学園生活を送れたらどれほど楽しいだろうなって考えてたら居ても立ってもいれなくなって毎日、行くようになった。それにクラスの皆にも会わせたいしな」
(嘘なんてついていない。心を覗いたからわかる)
龍は嘘偽りのない真実を述べた。
真っ直ぐシエラの目を見て迷うことなく。
それで言う決心がついたのかシエラは少し黙って口を開ける。
「クリスタルローズ」
「もしかして」
「思い出の花。お父さんとお母さんが亡くなって、ショックでゼロ・コントロール状態なったの。その時にお姉ちゃんが一緒に見に行こうって誘ってくれた。…とても綺麗だった。水晶の中心に群生する宝石のような花」
同じくシエラも龍の言葉に応えるように花の名を告げる。
そしてシエラを救う方法を知った龍は立ち上がって扉へと向かう。
だが扉を引く前にシエラの方を振り向きこう誓った。
「その約束は絶対に果たすから!…まあ、大船に乗ったつもりで待っててくれ!」
「うん。楽しみに待ってる」
目的の花の名を聞くことができたぞ。
だが花の名前を知っている事から、その花は植物園に生えていないのだろう。
…誓ったからには必ず見つけてシエラを救ってみせる。
ってな訳で魔眼、クリスタルローズって何処に群生しているんだ?
『クリスタルローズが群生している所は一カ所。アルファス洞窟だ。だがアルファス洞窟はユルグレイト王国からかなり離れた地にあるぞ。どうやって行くつもりだ?』
…当てなら一つある。
まあ、無理だったら強引にでも行ってやるよ。
そのまま龍は寮に戻ることなく学園長の所に行きシエラの思い出の花がクリスタルローズということを伝えた。
また、その情報に納得したのか真剣な表情を浮かべる。
「アルファス洞窟か…。確かにありえるな」
「心当たりがあるんですか?」
「シエラはアルファス洞窟があるクリメリア地方出身だ。一応、彼女の屋敷がクリメリア地方にあって私が管理している」
「じゃあ、今すぐ行きましょう!」
「今からだと三日はかかるぞ。それにクリスタルローズは滅多に咲かない。植物園にあるダイヤモンドローズは錬金術で咲かせるがクリスタルローズは不可能なんだ」
ダイヤモンドの方が咲きやすいってどういう事だよ!?
炭素を強引に圧縮したら出来そうだがどうやって花になるんだ?
「…まあ、安心したまえ明日、日帰りで行くぞ」
「…日帰り?」
「転移装置を使うんだ。かなり金がかかるがな」
ああ、そういえばこの世界って何でもありのファンタジー世界だったな。
この世界に来て約一ヶ月になるが まだ自覚を持てていない。
はっきり言って夢の世界に居るような気分である。
それはさて置き俺は明日、学園長とクリメリア地方に行くことになった。
次回はクリメリア地方に行っちゃいます!
龍とジェイスはクリスタルローズを見つけることができるのか⁉
それではまた次の話で!




