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60話 無口なドラゴニュート

シエラの種族はドラゴニュートです! 


 シエラの所に行くようになってから三日が経過した。

 今更だが世間はもう夏休み…ではない!

 ユルグレイト学園の夏休みは八月十日から始める!

 そんで終わりは九月の最後の日である。

 夏休みが遅い理由は遠くから来た坊ちゃん嬢ちゃんの迎えをこの日までに来させるからだ。

 ま、今日から授業は昼まで、ちなみに今日は七月二十六日。

 そんで俺も日本に戻ろうと考えている。

 だからシエラの件を早く済ませないといけない。

 シエラのためにもな。

 てか、


「暑い!」


「龍、うるさい」


 何だこの鉄塔は!

 周辺の熱気が溜まって暑苦しい!

 温度は変わらないんじゃなかったのか!


「しょうがない。冷房設備が壊れてるから温度調節は無理」


「というかシエラは涼しそうだな」


「学園長に聞いてないの?シエラの種族」


「…聞いてないな」


 シエラの種族?普通に人族かな?

 変わった見た目はしてないしな。


「ドラゴニュート」


「ドラゴニュート?」


「いわゆる竜人」


 おお、竜人なんだ。

 …あれ?竜人はリザードマンじゃないのか?

 

「リザードマンじゃなくて」


「あの胡散臭いトカゲと一緒にしないで。ドラゴニュートは正真正銘、竜の血を引く半竜。リザードマンは普通のトカゲ」


 そうなのか、てっきりどっちも同じもんかと思ってた。

 言っちゃ悪いがトカゲとドラゴンって何の違いがあるんだ?


「じゃあ、けっこう名高い貴族なのか?」


「一応」


 この学園て平民はいないのか?

 恋達が懐かしくなってきた。

 

「恋って誰?」


「…幼なじみ」


「そうなんだ」


 ああ、暑すぎて頭に血が上ってきた…。

 逆上せてしまう前にさっさと直してくれ~!

 …蒸し焼きなってしまう。

 そうだ!


「個力、創造(クリエイト)発動!」


「何これ?」


「扇風機と俺の居た田舎で使ってた非常用電源」

 

 龍はプラグを同時に創った非常用電源のコンセントに刺して電源を入れた。


「風が出てきた!」


「…ワレワレハウチュウジンダ」


「何やってんの?」


「扇風機あるある」


「ふーん。…ワレワレハドラゴニュートダ」


 シエラは龍の真似をした。

 そして照れくさかったのか少し頬を染める。


「…恥ずかしい」


「じゃあやるなよ」


「うるさい」


 でも、涼しいだけで温度は変わってないんだよなぁ。

 体感ではなく気持ちで変えてみるか。


「ちょっと出かける。楽しみに待ってろ」


 龍は植物園から出るとショッピングエリアにやってきた。

 実は意外にも彼は下校の際に度々、寄っている。


「アイスクリームを二個ください」


「はいよ」


 アイスクリームを食えば気分は涼しくなるだろう。

 冷たいものだしシエラも喜ぶだろう。 


「あっ!龍~!」


 この声は…。


「よう、エレノア」


 それとシアン先輩も。

 一緒に見回りでもしているのかな?


「何を買ったの?」


「アイスクリーム」


「はいよ。アイスクリーム二個で二百フェルね」


 さて代金も払ったし後はクーラーボックスを創ってと。


「フィアナにあげるの?」


「フィアナのじゃない」


「フィアナは確かお父さんに説教されてるよ」


 毎度のように怒られるとかフィアナらしいな。

 何をしたのかすげぇ気になるがそれは置いといてシエラが待ってるからさっそと戻りますか。


「じゃあ私の?」


「それも違う。急いでるからまたな!」


 龍はクーラーボックスを肩に掛けて再び植物園に戻った。


「まさか彼女ができたとか!?そうなのシアン!」


「あの鈍感男に彼女ができると思ってるの?」


「そうだよね~」

 

 一方、植物園の鉄塔、 


「何か無性に腹立たしくなってきた」


「アイスクリーム、美味しい」

シエラはアイスクリームのように冷たくて仲良くなると甘えてくるそんな性格です!

それではまた次の話で!

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