59話 変わりだしたシエラの日常
…特になしσ(^◇^;)
日課のように窓辺から花を見ようとしていたシエラだが今この場の状況に脳が追いつけなく唖然としている。
その理由は、
「よう!シエラ!」
昨日、鉄塔に侵入してきて自分の事を忘れたと思っていた少年が居るからだ。
それも偶然ではなく自発的に来たのか笑みを浮かべている。
理解不能な光景に戸惑わず知っていたかのように。
「龍?」
「おお!俺の名前、覚えてくれたのか!」
「うん、忘れないように刻んだから…。違う!何でシエラを覚えているの!?」
「俺、記憶力がいいから!大方、シエラの事は学園長に訊いた!」
っていうのは嘘なんだけどね。
魔眼の事を言ったら色々と詮索されそうだから。
おっと、あんまし次にする会話以外の思考はしないでおこう。
「…けど別に来てほしくなかった」
「俺は別にやる事ないし『クラスメートに会いたい』と思い来ただけだ」
「え?龍って女の子!?」
「いや、女子じゃない。男の方は席がねぇからって女学園に入れられた。創造発動」
俺は椅子を創ってそこに座った。
やっぱこういう時に便利だなこの力。
「龍って個力使いなんだ」
「そう。んでツヴァイ、もう一つはよくわからない個力です」
『よくわからないとは失礼な』
いいからお前は黙っとれ。
もしも会話を読まれたらどうするんだ?
お前の力で記憶を維持しているのがバレるだろ。
『それもそうだな』
「大丈夫?ボーッとしてるよ」
「考え事だ。それにしても何もないな」
置いてあるのは日用品のみ。
本は置いてあるが少数。
趣味に使用されるであろう裁縫道具や絵の具等は一切ない。
言っちゃ悪いが殺風景だな。
「…普段から何しているんだ?」
「窓から花を見てる。…それとたまに転送装置から本が送られてくる」
なるほど本が少数なのは借り物だからか。
というか転送装置だと?
「あれ。料理もそこから来る」
シエラは部屋の隅に置いてある円形の機械を指差した。
二つで一組の魔導具で距離指定と大きさの指定はあるが魔石のエネルギーが尽きない限りは使える。
尽きたとしても電池を変えるように魔石が変えれば再び使用できる。
「おお、心を読んだのか!」
「うん、そう。気持ち悪くないの?」
「別に気持ち悪くねぇよ」
個性的でいいと思うし役に立ちそうだからな。
(…本当にそう思っている。正直な人)
「…トランプでもしないか?」
「いいけどトランプがない」
「俺の創造で創る!ほらよ」
俺は創造でトランプを創った。
多少、キングの顔がおかしくなったがこれはこれで面白い。
「これで商売とかできる?」
「無理無理、時間経過で消えるし、集中しなければ長く維持できないからな。さあ、ババ抜きでもするか!」
俺とシエラはババ抜きをすることになった。
だが俺は肝心なことを忘れていた。
左の取れ…左の取れ…。
「…シエラの勝ち」
シエラの個力、精神観測者を。
これがあったら無敵だろ!
「ババあるところ丸わかり」
「次は七並べだ!」
そしてまたもや。
「シエラの勝ち」
出す手順が読まれてるから思うように進まねぇ!
というかゲームに関しては分が悪すぎる!
「シエラさん、フェアプレイっていう言葉知りませんか?」
「知らない」
何なのこの子、手加減してくれないんだけど。
もう、六時前かそろそろ閉館だな
やっべ!フィアナから理不尽な怒りが飛んでくる!
「閉館時間が迫ってきてるからそろそろ帰るわ」
「…また来る?」
「ああ、今日のように風紀委員の仕事がなかったらな」
「…そうなんだ」
「じゃあな」
龍は閉館前に寮に戻っていった。
「…変な奴」
まあ、こんな感じで今回はおそらくバトルなしのほのぼの系でいきます。
それではまた次の話で!




