58話 笑顔を取り戻すために
久々にフィアナを登場させます(´-ω-`)
学園長にシエラについて訊いた後、寮に戻ってフィアナと食堂夕飯を食べている。
シエラが前にゼロ・コントロール状態になった原因は両親の死、そして今回の原因は最後の肉親であった姉の死だ。
しかもその死にシエラが直接関与しているらしい。
そうそう、シエラは一年B組に所属している。
前々から気になっていた一年B組、最後の個力使いである。
要するにフィアナとエレノアはシエラの事を知っているのだ。
ああ、俺は知らんぞ。
ゼロ・コントロール状態になったのは入学式を終えてから三週間後だそうだ。
なのであの植物園もつい最近できた筈なのに皆の認識では前からあるという認識になっている。
認識改変すらできるとは恐ろしいな。
「龍…龍!!」
「悪い。考え事してた」
「どうせまたヤバいことに首を突っ込もうとしてるんでしょ」
流石にフィアナにはバレるか。
「偶にはあたしやエレノアを頼ってもいいんだよ」
フィアナに頼ったら拳で解決しそうだから怖いな。
正直に言うと一番、頼りやすいのはシアン先輩だ。
…シアン先輩ねぇ。
「なあ、例えばの話なんだが」
「どうしたの急に」
「シアン先輩が病気で亡くなったらフィアナはどうする?」
「えっ!?お姉ちゃん亡くなるの!?」
フィアナは音が出るくらい両手を机に当てて立ち上がった。
ビックリしたなぁ。
周りの奴らがこっちを見てるぞ。
「例えばの話だ!」
「例えばね。ああ、良かった~。…やっぱり泣き崩れるし絶望して立ち直れなくなるかな。多分、龍の声も聞こえなくなると思う。それに例えでも本当でも起きてほしくないな」
フィアナも考える事は同じか。
シエラから直接、花の名前を訊こうと思ったが心を塞いでるから不可能に近い筈だ。
ああ、精神観測者もあるしどうやって訊き出すかなぁ…。
「という訳でその例えを出したから龍のジェラート貰うね」
「ちょっ!」
フィアナは龍の隙をついてジェラートを強奪する。
また、強奪されて戸惑う龍に小悪魔的な笑顔を見せてジェラートを口に運んだ。
「もう、遅いです~」
「俺の食後のデザートが…」
「美味しい!」
そして龍はこんな質問をした過去の自分を殴りたいと思ったのであった。
「で、龍は今日、昼から何をしてたの?」
「レイとエイジと遊んでた」
「げっ!?」
今さっき何か汚物について訊いたような声を出したぞ。
これは絶対にエイジが関係してるな。
「エイジってまさかエイジ・ソレイユ!?」
ほらね。
「そうだけど、どうした急に」
「あれはダメ!あのチャラ男だけは絶対にダメ!何か精神的に受け付けないの!」
エイジよ植物園で女子の事を色々と語っていたがお前、精神的に嫌われているぞ。
「龍、エイジは女子にふられた回数で学園一位なの」
そりゃあ女子から嫌われるよ!
それにあいつも俺らと同じ一年だよな!?
なのに学園一位とかどんだけ告ってんだ!
「しかも三十回」
「よくメンタル保つな。ちなみにフィアナには?」
「来たから腹パンして追い返した」
「冗談だろ、あれを耐えたのか…」
その時、龍は精神と体が丈夫なエイジがある生き物に思えた。
エイジってゴキブリみたいだな。
さてゴキブリのような精神と体を持つエイジに恋人はできるのか!?
それではまた次の話で!




