56話 鉄塔の少女
さてさて、最終ヒロインとの物語の始まり始まり
皆は髪長姫、ラプンツェルを知っているか?
彼の有名なグリム兄弟が編纂したグリム童話の中にある有名な作品だ。
大雑把に説明するとゴーテルという魔女により塔に入れられた少女ラプンツェルとその子に恋した王子様が最終的に結ばれるというお話である。
ま、気になったのなら原作を読んでみてくれ。
さて、話を戻すとしよう。
龍はレイとエイジと植物園を訪れた。
理由は龍が気になったユルグレイト学園七不思議の植物園の鉄塔を見るためである。
だが二人は秘境エリアに来ると自分が観賞したい花の方へと真っ先に向かっていき龍は取り残される。
気にはするがトラブルに巻き込まれたくない龍は『鉄塔に入らない』と誓うが数分で破り鉄塔内に入ってまう。
そして塔と少女というグリム童話のラプンツェルのような組み合わせの少女と出会ってしまった。
しかし、龍が出会った銀髪の少女はラプンツェルのような鉄塔に居る立場ではあるが全く違う運命を辿っている人物だ。
そして龍は少女の運命を大きく変えていく。
まるでラプンツェルと出会った王子様のように。
「ごめん。ここって君の部屋なのか?」
「うん、ここはシエラの部屋」
「普通は寮で寝泊まりする筈じゃ」
「…学園長に頼んでシエラが入った」
自分の意思でこんな辺鄙な場所にある鉄塔入ったのか?
よっぽどの理由がない限りおかしいぞ。
もしかして虐められているとか。
龍がシエラの方に近づこうとしたらシエラはそれを拒絶するかのように止める。
「ダメ!それ以上、近づかないで!」
「どうして?」
「あなたを傷つけてしまう」
傷つけるって魔法の類か?
そういえばさり気なく言ったがこの状況に学園長が絡んでるのは意外だな。
「あれ?龍、何処に行ったの?」
「俺様は知らねぇ」
二人とも俺を探しているようだ。
何も言わずに鉄塔に入ったからな。
そもそもシエラっていう子の部屋だから早々に去らないと。
「連れが探してるから戻るわ。邪魔して悪かったな」
「待って!名前、訊いてない」
「ノボル・アケノ、また会おうなシエラ」
自分の名前を告げると龍は早足で階段を降りていった。
「名前なんて訊いても…。シエラは記憶から消えるのに」
だがその言葉に反して少女は机の表面を彫り始めた。
刻んだの龍の名前、それも木屑が出るほど深く。
そして閉じきった扉を見て少女は哀しげに溜め息をついた。
「居た居た。さっきまで何処に居たのよ?」
「…綺麗な花を見ていた。てか、エイジは?」
「食人花と遊んでるわ」
レイが指差した方を見るとエイジが食人花という花に食われていた。
ああ、あれって遊んでるんだぁ。
でも、おかしいなぁ。
俺の認識ではあれって食われてるって言うんだぜ。
というかエイジ、食人花を叩いてるし。
それにどう考えても食べる人花って書くよな?
…ああ、そういうことかぁ。
「…いやいや!遊んでねぇよ!食われてるぞ!」
「助けてくれ~!」
その後、龍とレイにより食人花の溶解液でベタベタになったエイジは無事に救出された。
なお、制服が少しだけ溶けていたようです。
次回は学園長のところに行き尋問します!
それではまた次の話で!




