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52話 創造VS未来視 決着

リュカVS龍 決着!(o゜∀゜)=○)´3`)∴


 龍は臆することなく炎の竜巻(ファイヤートルネード)に突っ込んでいく。

 何故なら百十六年間を片時も離れず共に過ごしてきた相棒を信じているからだ。


『耐えろ小僧!』 


 耐えてるさ。

 皮膚が爛れるし目が火傷で開かない。

 でも、これぐらいやらなきゃアリスは救えない!

 俺は弱い!

 だから無茶は百も承知!

 命を懸けて彼女を守る!


 そして龍は突破した。


「バカな!?俺の魔法を無傷で突破しただと!?」


「今度こそこれでおしまいだ!」


 俺は個力で大剣を創ってリュカを斬らぬように腹で全力で叩いた。


「他のやり方を考えて見たくなくても見えちまう世界を少しでもいいから変えてみろ!やり方がわからないのなら悩んで悩んで悩んで生き抜け!人間は常に悩んで生きてんだよ!テメェが人間ならそれができる筈だ!ただ喚くだけの獣に成り下がるな!」


 俺は倒れたリュカにそう言うと力が抜けて個力が解除され元の人の姿に戻ってしまった。

 もちろん、創造(クリエイト)で創った物も消えている。

 見た目は 何ともないが内側は既に音を上げている。


「…龍っちのバカ」


「ヒドいなぁ。三回ほど死にかけたんだぞ」


「ボクって居ていいんだよね…」


「拳骨、落としてやろうか?」


「うんうん、大丈夫だよ。龍っちありがとう」


 アリスはこぼれ落ちる涙を拭き取りながら満面の笑みを浮かべた。

 それに対して俺は『礼を言われるほどじゃねぇよ』と言おうとした。

 だが唐突にアリスが叫ぶように言葉は放ち俺を戦場に連れ戻す。


「龍っち!後ろ!」


「ありがたい説教なんていらねぇんだよ!」


 気絶してなかったのかよ!

 マズいこのままじゃ本当に死ぬ!


 俺が己の死を察したその時、頭上から全身黒い鎧で身を覆った男が降ってきた。


「そこまでだ。貪狼騎士団の副団長よ。それ以上やると貴様が死ぬぞ」


 誰だこいつ?

 でも、敵でも味方でもないことはわかる。


「何でテメェが出てくる!テメェの出番はもっと後だろ!」

 

 おそらく、貪狼騎士団のメンバーじゃない。

 そしてリュカのこの口調、貪狼騎士団と繋がりのある組織の上層部の人間だ。


「貴様の団長に言われてな。まったく何故、奴はこの様な使えない駒を副団長にした。傲慢の塊だろ」


 それは言えている。


「…ちっ、団長命令なら仕方がねぇな。確か龍だよな?」


「そうだが…」


「覚えたぞ。今度こそは手加減せずに殺す。覚悟しておけ」


 戯れ言のように聞こえるが本気だろうな。

 そう言い残すとリュカはユルグレイト王国を去った。


「…あんたは敵か」


「敵か味方、答えるのなら敵だ。しかし敵として合間見えないことを祈っている。そしてもっと強くなれ。それぐらいの力ではこれからの戦いからは生きては帰れぬ」


 そして黒鎧の男も去っていった。

 黒鎧の男が去った後、数分遅れてシアン先輩が騎士団を連れて駆けつけてきた。

 どうやら避難してきたスラム街の住人に火の手が上がっていた事を聞いてたらしい。

 幸か不幸かリュカの放った炎の竜巻(ファイヤートルネード)がいい狼煙になったようだ。


「龍!」


「リュカは逃げましたよ」


「逃げた先はわかるか!」


「王都の外に向かった筈です」


「本部に通達しろ!奴を決して逃がすな!」


 シアンが連れてきた騎士団は龍からの報告を聞くとリュカの追跡を始めた。


「終わったの?」


「ああ、終わった。だから二度と『死にたい』とか言うなよ」


 ああ、疲れた。

 魔族化はあんまりするものではないな。


「龍、魔族の力を使った理由を訊きましょうか!」


「何でわかるんですか!?」


「闇属性の魔力が辺りに充満してるからよ!」


 その後、俺は俺の正体を知っている関係者に止むを得なく魔族化した事を伝えアリスにも俺の素姓を全て教えた。

 そしてリュカは傷を負いながらも騎士団の追跡を逃れたらしい。


 一方、その頃、貪狼騎士団本拠地では、 


「団長、只今、戻りました」


「ご苦労だったな。何か面白いことでも見つけたのか?」


「ええ、ちょっと気になる奴を」


「…言ってみろ」


「はっ!」


 アジトに戻るとリュカは自分が体験した事を全て団長に話した。

 それにより何かに感づいたのか団長は次の行動を始める。

 この事件は貪狼騎士団が織りなす大事件のほんの僅かな予兆。

 それでも大きな爪痕を残した序章である。

 




第四章は残り一話で終わります!

おそらく第五章のヒロインがラストです!

それではまた次の話で!

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