50話 創造VS未来視①
龍VSリュカ!
果たして龍は貪狼騎士団、副団長のリュカに勝てるのか!?
①なのでまだ続きます!
「戦う前に訊いとくあんた、未来を見ることができる個力使いだろ」
「何故、そう思う?」
「騎士団達の魔法や俺の手榴弾を回避する事はそれなりの鍛練を積めばできるかもな。でも、アリスの空間歩行者は瞬間移動だ。だから常人には回避できねぇんだよ」
これを解くためのヒントはそこら辺に転がっていた。
では何故、騎士団達はその事に気づかなかったのか?
答えは至ってシンプル『未来視は当たり前』或いは『魔法を使えば避けれる』という概念を持っているからだ。
でも俺は異世界から来たためこの事に気づけた。
初めて役に立ったように思えるな。
「…まったく目障りなガキだな。そうだ俺は個力、未来視の保持者だ!」
正直言って当たってほしくなかった。
攻撃が当たらないんじゃ確実に俺は不利だ。
「龍っち無理だよ。ボクを置いて逃げて」
「アリスを置いて逃げたら親父おろかシアン先輩にまで殴られるから無理だな!とりあえずそこで見ておけ!俺がこいつを倒すところを!」
ずぶ濡れになりながらも龍はアリスに笑顔を向ける。
「格が違うんだよ!俺を倒す!?俺は無敗だ!だからそんなことできるわけねぇだろ!」
「無敗?無敗だったら団長の筈だが?」
「あの方と俺を比べるな!」
「だったら今ここでテメェの無敗伝説を破ってやる!」
リュカは炎の塊を龍に飛ばし龍は水を出してそれを鎮火する。
「あめぇ!」
だがそれにより起きた水蒸気を利用されて斬られた。
これも計算の内か。
全ての行動を先読みされる。
つまり、創造で創る物が全てあいつにはわかるってことか。
「ならこれで!」
龍は路地裏という地形を利用して鋭くとがった岩を作りリュカを攻撃するがリュカは壁を蹴って上に逃げる。
「見えてるぞ」
「じゃあこれもか!」
そして龍は逃げた先に氷塊を出す。
「当たり前だ」
が、リュカに砕かれた。
「これなら避けられねえだろ!」
「防げば問題ない!」
次に龍は雷で攻撃する。
しかしこれもまた、
「大地の盾!」
ある程度の雷属性の攻撃を防ぐ大地の盾で防がれた。
「例え不規則で移動する攻撃をしても魔法で防げば問題はない」
くっそ!八方塞がりかよ!
どうすればいいんだ!
未来を見ることができる奴にどうやって立ち向かえば!
正直言って逃げたい!
けどアリスを守ると決めた!
それにここで逃げたら一生、俺はこいつに勝てない!
『小僧、よい解決策があるぞ』
魔眼の意思!?
リュカにどう立ち向かおうと考えていた龍に突如、理に叛逆せし神の魔眼が心に語りかけてきた。
「何か解決策があるのか!」
「あぁ?」
『黙って聞け小僧、我の声は貴様にしか聞こえん』
そうなのか。
だったら交わしながら聞くから教えろ!
『小僧、我を疑わぬのか?』
疑う?そりゃあ少しは疑うけどよお前は百十六年間、俺を見てきたんだろ。
だったら信じるよ。
俺と百十六年間の人生を歩み続けてくれた相棒を!
『そうかなら答えろ!未来視はどんな能力だ!』
これから起こる未来の出来事が見れる。
『その通りだ!だが先の出来事が見れてもそれが回避できなければ意味がない!』
だからそれができねぇから悩んでんだろ!
『なら回避できない攻撃をすればよい。奴は人族、獣人のようにバカげた動きができない。そして身体強化系の魔法を発動させる余裕がない!なんせ奴は未来を見るために全神経を集中させているならな!』
個力ってそんなリスクがあるのか?
『バカを言え!貴様の創造は範囲、生成数の限度があるだろ!個力には必ずリスクが付き物だ!』
でも俺だって人族だ!
『小僧、自分の本当の種族を忘れたのか?』
本当の種族?
…ああ、思い出しました!
まさかあれをするのか?
龍の言うあれとはアイザックを倒したあの暴走状態のことである。
しかし、その暴走を止めた肝心のアヴェルはルシフェル大帝国に先日のアイザックの一件の報告をしに行っている。
つまり、龍を止めることができる可能性を持つ者がこの国に居ないのだ。
それを恐れて龍は警戒しているのである。
『前のようにはならん。十パーセントだけ覚醒させる』
よくわからんがやってくれ!
『しかし、良いのか?十パーセントとは言えど魔族の姿には多少は寄ってしまう。そうなると貴様の正体は後ろの小娘、リュカという奴にも露見する。それでもいいのか?』
…別に後悔はねぇよ。
俺の秘密が守られる事により誰かが亡くなるのなら俺は秘密を明かしてでもそいつを守る。
だから後悔はしない!
俺は自分の運命から逃げない!
俺は魔王ルシフェルの孫、ノボル・インフェルノだ!
こんなことで臆したりはしない!
『気に入った!小僧、己の心臓に刀を突き刺せ!後は我が調整する!』
おう!
…って刀を心臓に突き刺す!?
『死にはしない』
ならいいんだけど。
「決着を付けるぞ!リュカ・オルディア!」
「はぁ!?何言ってんだテメェ!俺の未来視を破る打開策があるのか!」
龍はゆっくりと自分の心臓の前に刀を持っていき突き刺した。
刀は龍の背中から突き出て刀身から血が滴り落ちる。
「何やってんだ?自爆したぞ!」
『自爆ではない!魔族は自分の死が近くなるとその身に宿る力を最大限まで発揮できるという性質を持っている!それを応用して小僧を一時的に十パーセントだけ覚醒させるのだ!暴れてこい小僧!』
龍は心臓から刀を抜いた。
するとその身から闇が吹き出し龍を包み込んだ。
この瞬間、ノボル・インフェルノは魔族として一時的十パーセント覚醒したのだった。
次回は龍が一時覚醒します!
今回は魔眼がサポートするので暴走しません!
それではまた次の話で!




