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38話 例の事件の後始末

いつも通り、風紀委員会に顔を出しに行きますが緊急会議が開かれることになりました!

 授業も終わり風紀委員会室にやってきたんだが…。


「誰も居ねぇ~」


 普段なら扉を開けるとシアン先輩が真面目な顔で書類整理をしているが居ない

 欠席って話は聞いてないし何処に行ったんだ?


「やっぱりここに居た」


「こんにちは」


 ああ、単純に俺らのクラスの方が早く授業が終わっただけか。


「『こんにちは』じゃない。今すぐ生徒会室に行くよ」


「何で?」


「緊急会議よ!」


 そんな訳で緊急会議を行うため校舎の隣にある生徒会室用の別館にやってきました。

 生徒会室用の別館は木造建築で二階建てだ。

 何かと駆り出されるから校舎外に建てられたんだろう。


「…男女共に全員集合したので緊急会議を始めます。じゃあ、お願いね副会長」


「了解しました。件の元生徒アイザックが引き起こしたユルグレイト王国転覆事件により複数の貪狼騎士団の下っ端がこの王都に潜伏している情報が王国騎士団より伝えられました。王国騎士団も全精力を持って捜索しているのですが未だ発見されてきません。ですので当学園の生徒会、風紀委員会に協力要請がきました」


 それは確かに緊急会議を行う価値はあるな。

 貪狼騎士団が何かをしでかす前に捕まえないと。

 というかアイザックめ変な置き土産をしていったな。

 ありがた迷惑だ。


「貪狼騎士団という世界規模で動く犯罪シンジケートなので強制参加ではありません。自分の力と相談して良く考えてください。参加する方はこの名簿にサインを」


 …言われずとも貪狼騎士団の恐ろしさは闘技場でのレイとの会話で理解している。

 だが俺は考えなくても答えは決まっている。

 あの事件の後始末、まだ事件の幕は下りていない。


「龍はやっぱり参加するんだね」


「ああ、必ず捕まえてみせる」


 爺ちゃんの創った国のために貪狼騎士団を捕まえる。 


 結局、女子生徒会からはエレノアと副委員長が二名、男子生徒会からは全員、女子風紀委員会はシアン先輩と他の先輩三名、そして性別は男子だが俺、男子風紀委員会からは参加者は居なかった。

 まあ、自分の命を大切にするのは大事だ。

 けれど少しは根性を見せろよ男子風紀委員会。


「ある程度の武器は支給されるから校門前に集合ね」


 日本刀、二本と拳銃一丁で大丈夫かな?

 いざという時は創造(クリエイト)で創れるし。

 それとアイザックが使った俺の銃は何とか取り返すことができた。

 アイザックを捕縛した際にエレノアが盗品として学園長に渡して俺に返ってきた。


「わかりました」


「それとフィアナに気づかれないように」


「ああ、わかっていますよ」


 バレたら絶対についてきそうだからな。

 ということで俺は日本刀と拳銃を取りに行った。


「そういえばシアン先輩」


「どうしたの?質問なら今のうちにしときなさい」


 俺は緊急会議で渡された資料の初めのページを開いてある段を指した。

 明らかに関係のない内容が書かれていたからだ。


「この『アリスを見つけたら報告しろ』と書いてあるのですが何ですかこれ」


「アリス・フラメル、一年A組所属の問題児よ。ある事情を抱えていて先生が手出しできないの」


「事情?」


 一応、風紀委員だし訊いとくか。


「親や兄弟、姉妹、親戚すら居ない。しかも出身地、今まで何処で何をしていたのかすら不明、気づいた頃には学園に在籍しており、何故か生徒として完璧に登録されている。成績も入学当初からつけられている」


「だったら先生が何かで忘れていたのでは?」


「わからないの?親や兄弟、姉妹、親戚すら居ないのよ」


 親や兄弟、姉妹、親戚すら居ない?

 それは要するにその者の存在がなければ矛盾が生じるってことだ。

 そういえば学籍を登録する際には住所の他に緊急用の連絡先として…あ!

「そうか!保護者になれる人が誰も居ないんだ!」


「そう。教会で育ったのなら保護者としてシスターや神父様がやってくれるけど居ない。それに本人に訊いても何故、学園に居るのすらわからないの一点張り。知っているのは名前と苗字だけ」


 おいおい、それってつまり。


「彼女は記憶喪失なの」


「魔法で解決できないんですか?」


「無理ね。魔法でやってみたけど記憶は戻らなかった。理由としては彼女が体につけている物に関係しているの」


 何か呪いのアクセサリーとか?

 ファンタジーな世界だしそういうのありそう。


「超古代文明の遺産で神が作ったとされる武器または道具、神器、渇望と消滅の神球かつぼうとしょうめつのしんきゅうによってね」


「じゃあ、それを外せば」


「外したら彼女は死ぬ。彼女は事故により右足、左手、胸部、腹部の一部を失っているの。それを神器によりつなぎ止めている。要は義手や義足のような役割をその神器がしている。そして彼女が記憶喪失となった原因はこれにある。この神器を説明する文献にこう記されている。『汝は何を欲する。それはどんなモノが代償となっても欲するものか?汝、それを欲するのなら我を使え。我は汝が欲するものの変わりに汝のあるモノを代価として貰う。それでも汝は渇望するのなら消滅を顧みず我を使え』と」


 何か詠唱文みたいだな。

 というか誰がその文献を書いたんだよ。

 神器って呼ばれてるから神様が書いたのか?

 

「おそらく、彼女の家族の誰かがこれを使用して家族は全員、彼女に関する記憶を失った。いや、誰も彼女を知らないのなら彼女はこの世界から消されたに等しいわ」


「まるで悪魔が作ったような神器だな」


 家族を救いたいと想い神器を使用して彼女の記憶を失ってしまった。

 代価としては大きすぎだ。


「でも、希望はあるよ。いくら何でも神器とはいえ失った体の部位の代わりをするのは無理なの。故にそれを繋ぎ止めるために錬金術が関係している」


 錬金術ってファンタジー寄りの科学のようなものだよな。

 この世界にはそれが当たり前として存在しているのか。

 それはそうと確かにシアン先輩が言うように希望はある。


「それじゃあ錬金術師を捜せば」


「うん、だから彼女と同じフラメルという苗字を持つ錬金術師を捜索しているわ」


「見つかると良いですね」


「ええ。集合場所、覚えてるよね?」


 シアンはアリスの事での長話で龍が集合場所を覚えているか念のために訊いてみた。

 しかし、逆に物忘れをしやすいシアンが忘れていないか心配だ。


「校門前です」


「よろしい!」


 俺はシアン先輩と別れて自分の部屋に荷物を取りに行った。

 ゆっくりとドアを開けて忍び込むように入る。


「…あれ?フィアナが居ない」


 何処に出かけたのかな?

 …そういえば友達と遊ぶとか昼休みに言ってたな。

 フィアナが居ないのならはチャンスだ。


「えっと…刀はどこに置いたっけ…」


「龍君のクローゼットの中だよ!」


「ああ、思い出した。…っておたく誰?」


 鍵をかけた筈なのに身に覚えのない小柄で金髪の少女が後ろに立っていた。


「アリス・フラメル!」


 アリス・フラメルですか『見つけたら報告しろ』って資料に書いてあったアリス・フラメルですか…。

 フィアナは居なかったけどその子に不法侵入されてたな…。

 ……居たああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!





ということで貪狼騎士団の下っ端を捕まえに行きます!

それではまた次の話で!

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