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32話 剥がされる仮面、崩れゆく信頼、外れる理

アイザックの目的を露わにします!

 闘技場に降り立ったレイは何処から持ってきたのか大きな機械を闘技場の中央に置いた。

 見るからに高そうな機械だな。


「皆様、このノートを見てください。アイザック君、このノートは君のだよね?」


「そうだ。だけどお前、僕の部屋に不法侵入してるじゃないか!」


「それは後で説明するから今は…黙ってろ」


 出たレイの脅し専用のイケボ。

 普段からその声で喋ったら?


「そんでこのノートをプロジェクターに入れて」


 ああ、入れた物を大きく映像化して見せるヤツね。

 スゴいな空中に映されてる。

 空中投影ってヤツか?


「そして見てほしいところはここ!」


 レイはノートを三十ページぐらい開いて一段落目を指した。

 すると闘技場に集まっていた生徒達がどよめき始めた。


「『今夜、ユルグレイトの姫様の許嫁にされた。マジで嫌だがこの機を逃すわけにはいかない。これを利用して国のトップになってやる。』さてどういうことかな?更に十ページ!『流石に国のトップにはなれない。だが、あの女に事故とかが起こったらとうだ?残った俺がトップになる。俺は晴れて王様だ!ついでに母国も侵略してやろう。待つのは嫌だし結婚したら徐々に毒を盛るとするか。明日から毒の研究を始めよう。』随分と几帳面なんだね。てか、これ何?そういえばアイザック君って魔物の毒の研究をしてるよね?」


 更に生徒達はどよめいた。

 エレノアに毒を盛るって結婚したら逆に一生、浴びる羽目になるぞ。


「こんなのデタラメだ!きっとお前達が細工をしたんだ!」


「そう言うと思って重要な証人を連れてきた。出てきていいよ」


 レイが指差した入り口から男子生徒が出てきた。

 ああ、この顔は完璧な証拠を掴んできたな。

 さすがジャーナリストの息子。


「アイザック君の相部屋の生徒です!」


「こんにちは」


 面白いことになってきた。


「僕がアイザック君のノートを取れた理由は彼が部屋に入れてくれたおかげなんだ。実は彼、アイザック君から暴力を受けているんだ」


「…証拠を見せろ!僕が彼に暴力を振るった証拠を!」


「汝、真の姿を我が前に現せ解明(クラリファイ)


 男子生徒の体が光ったすると出るわ出るわ、おそらく魔法で隠蔽されていた傷痕が出てきた。

 何かで切られた後や最近できたような傷もある。


「どういうことかな?」


「知るか。どうせあいつが勝手にどこかで転んでつけてきたのだろう」


「転んだら擦り傷ですむ。刃物で切られたような痕はできない」


 俺が追撃を加える。

 何もしないのは癪だからだ。

 それに言葉でならどうとでも攻めれる。

 何せこっちはテメェの心臓を握ってるからな。


「ねえ、君、その傷痕は誰がつけたのかなぁ?」


 レイはアイザックの相部屋の生徒に聞く。

 そしてアイザックはその生徒を睨んで口を動かしてる。


「えっと…自分でつけました」


 そういう答えが出るのはわかっていた。


「ほらみろ!」


「黙れ!」

 

 だが助けを求めないのは気に食わない!


「…真実を話してくれないか?もしもこのまま嘘を付き続けたらきっと後悔するぞ。大丈夫だ。俺達が守ってやるよ」 


 龍の言葉でやっと安心したのか生徒は遂に真実の口を開く。

 これは勘だが洗脳状態に陥ってる人を安心させるには『守る』という言葉が最もいいと思う。


「…アイザックがつけました。…この傷痕は全てアイザックにつけられました!毎日毎日、僕に八つ当たりして傷がつくと『俺の名前に傷がつくから言うんじゃねぇ』って脅されていました!」


「ありがとうよく言ってくれた。さてさて、もう言い逃れはできないぞ」


 でも、これじゃあアイザックがユルグレイト王国を侵略しようとしている証拠にはならない。

 なのでレイには悪いことをしたがアイザックを尾行させた。


「さあ?何のことやら」


「あっそ。とどめを刺すぞレイ!」


「もちろん!皆さん、これを聞いてください」


 レイはポケットから小さな魔導具を取り出して電源を入れた。


『作戦は順調に進んでいるか?』


 俺の世界で言うところの録音機だ。

 これには昨日、アイザックがある男と話していた内容が録音されている。


『そう焦るな。夏休みに入ったら結婚式は執り行われるんだ。それまで辛抱しろ』


「僕の声?」


「気づかなかったのか?レイは昨日からずっとお前の後をつけていたんだぞ」


(じゃあ、まさかあの会話の内容が)


 アイザックの予想が現実のモノになる。

 何でもこの録音機にどんな状況下でも大逆転できる切り札が録音されているそうだ。

 つまり、俺は録音した内容を聞いていない。


『頼りにしてるぞ』


『ありがたきお言葉』


 口調からして目上の人と話してるようだ。

 でも、こいつは王族、それよりも上の身分ってあるのか?


『それではまた会おう我らが同胞よ』


『はっ、我ら貪狼騎士団(どんろうきしだん)の名にかけて』」


 貪狼騎士団?

 アイザックの国にある騎士団なのか?

 だけど騎士団なら王族より身分は下なので余計におかしい。

 となると何かの団体の名前でアイザックはそこに入ってるとか?


「貪狼騎士団だと!」


 学園長が大声を出し立ち上がった。

 そんなに有名なのか?


「なぁレイ、貪狼騎士団ってなんだ?」


「貪狼騎士団は世界規模で動く犯罪シンジケートだよ。騎士団って名乗ってるけど凶悪犯の集まり。今は他の世界規模の犯罪シンジケートと連携していて国際問題になっているんだけど知らないの?」


「田舎に籠もってたから」


「なるほど」


 今度からこの言い訳、使っていくとするか。


「決闘は中止だ!アイザック・シュトルツ!貴様を退学処分とする!そして騎士団本部に連行する!そこを動くな!」


「ああ、作戦が台無しだ…!(スモーク)!」


 煙幕で逃げる気かよ!

 名前通りの魔法だな!

 そう簡単に逃げれると思うな!


創造(クリエイト)!」


 龍は風を創って煙を払ったがアイザックは既に闘技場から姿を消していた。

 しかし、龍は(スモーク)の後に出された音を思い出してアイザックの逃げた方向を解き明かす。

 

 さっき聞こえた靴音からして…俺が入場してきた入り口だ!

 

 俺はアイザックを捕まえるため闘技場を後にした。

 俺がこんなにも焦っているのには理由がある。

 アイザックのノートにこんな文があったからだ。

 『ユルグレイト王国、侵略の暁にはルシフェル大帝国を攻め落とす』と。

世界規模で動く犯罪シンジケートの団員だったアイザックを追って次回、龍とエレノアが命をかけた戦いをします!

それではまた次の話で!


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