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3話 犬の放し飼いは危険です

今回は犬が出てきます。

特大の犬です。

皆さんも犬の放し飼いだけはしないでくださいね。

ちなみに恋はメインヒロインではありません!

「おはよう爺ちゃん」


 昨日は小さなパーティーをして同級生は帰宅した。

 とは言え、別にビンゴ大会をする訳でもなく普通に食事をしただけである。

 現在は早朝の六時、俺は爺ちゃんに『剣の稽古をする』と言われて早起きをして道場にやって来た。

 マジで面倒くさい、まだ夢の中に居たい時間なのに…。


「さっさと木刀を取れ」


「了解」


 もう一度言うマジで面倒くさい。

 そうだ!


「爺ちゃん」


「何だ?」


「爺ちゃんがいつも観ている朝ドラって今日で最終回じゃない?」


 爺ちゃんの趣味は朝ドラ鑑賞である。

 そして今日は最終回なのだ。

 日曜放送で助かった。


「…何で早く言わんかった!」


 そしてよく時間帯を忘れる。

 朝ドラと立派に朝が付いてるのに。

 俺が早起きする理由は爺ちゃんを起こして朝ドラを観させるためでもある。

 俺はあんたのおかんてすか!


「稽古優先だろ」


「止めだ止めだ!待っておくれ朝ドラちゃ~ん!」


 爺ちゃんは真っ先にテレビの前に飛んでいった。

 良い年を過ぎた老人がそんなだらしない声出すなよ。


「しゃい!」


 これで稽古無し!


「…だが目も冴えて暇だ。…素振りでもするか」


 結局、俺は稽古と同じくらい素振りした。

 そして小時間ほど自室で適当に暇を持て余した。

 朝ドラは終わり朝の八時。

 

「おぉ~あの終わり方はないぞ~!」


 俺は自室から朝食を食べるために居間に移動した。

 そんで爺ちゃんが飯を食いながら泣いている。

 何があったんだ?


「何かあったんですか?」


 俺はとりあえず門下生に何があったのか訊いてみた。

 そして何故、早朝から居るのかというと住み込みで雑用をしてるから。

 一応、敷地は余るほどあるので宿舎的な物が建っている。

 もちろん、普段は山を下りて仕事に勤しんでいる。

 爺ちゃん曰く『雑用は家賃の代わり』だそうな。


「ずっと主人公の事を慕い愛していたヒロインの気持ちに気づかず主人公が武者修行の旅に出てしまったらしい。それがあまりにも悲しくて泣いてるんだとさ」


 また情が移ったのか。


「龍、昼に買い出しに行ってくれ」


 もう泣きやんでる…。


「良いけど、何処まで?」


「隣町のビデオレンタルショップに前の朝ドラ全巻借りてこい」


「はぁ!?何で俺が!自分で行け!断る!」


「何じゃと!ならデパートで米を三袋、買ってこい!」


「そっちの方がまだマシだ!」


 という訳で俺は昼頃に自転車で隣町のデパートに米を三袋、買いに来た。

 ビデオレンタルショップとは反対側の町である。

 何故、近所のを買わないかというと爺ちゃんのお気に入りがここにしかないからだ。

 無茶苦茶どうでもいい!

 何処で買っても同じだろ!


「さっきから誰かにつけられているような」


 隣町に入ってから誰かにつけられている、そんな感じがする。


「何してんの龍」


 恋かよ!


「俺の後をついて来たのか?」


「何、言ってんの?私はお母さんと一緒に車で来たけど?」


 なら、俺をつけていたのはいったい…。

 ただの気のせいっていう事にしておこう。


「それに私が龍の後をついて行く時は龍が外食をする時だけだ!」


「自慢するな食いしん坊大怪獣!」


「それが私の取り柄なり!…外食?」


「買い物だ!」


 はぁ、何か休日なのにどっと疲れが押し寄せた。

 じゃあ、さっさと買い物を済ますとしよう。

 …一応、恋に見つからないよう警戒しておくか。


「米売り場は…あった」


 えっと爺ちゃんのお気に入りは…ギリギリ三袋あるな。


「ありがとうございました!」


 さて、買い物も終えた事だし、昼飯を食べて帰りますか。


「昼、食べていくの?」


 売り物の陰から恋が現れた。

 神出鬼没か!


「お前は帰れ!」


 今度から休日には恋に会わないように気をつけよっと。

 だって平日並みに疲れる。

 俺は定食屋で昼飯を食べていった。


「米は定食屋に持ち込んだから無事!さてと帰りますか。…近道しよっと」


 俺は人通りの少ない近道を通ることにした。

 後にこの選択が俺の運命を大いに変えることをこの時の俺はまだ知らなかった。


「昼間なのに暗いな…森の横を通っているからか?」


 この道を通って帰ると俺ん家の裏山に出る。

 そしてなぜか昼間なのに周りが暗い。

 森林による木陰だと思い込み、俺は気にせずペダルを漕ぐ。

 前から見覚えのある人が…。


「げっ!昨日の不良!」


 何か焦ってないか?


「げっ!明野龍!」


 真似するな!


「今日は何もしてねぇ!とにかく逃げろ!デッカいわんこが来るぞ!」


 デッカいわんこ?

 こいつら犬が苦手なんだ可愛い弱点だな。

 というか昨日の動物虐待で天罰を喰らったんだろ。


「俺、犬は怖くないから大丈夫」


 不良達が焦りながら説明していると曲がり角の向こうからアスファルトを叩く音が聞こえてきた。

 車の音でもないし何の音だ?

 近くで工事でもしてるのか?

 こいつらが来た事だし通れるだろう。


「そういう問題じゃねぇ!うわっ!きいぃぃぃたあぁぁぁ!!」


 まるで死に際みたいな顔してたな。

 さて、さっさと前向いて家に帰ろっと。


「そんなデカいわん…こなら…見て…みたい…ものだ…」


 家に帰ろうとしていた龍の前に不良達が追いかけられていたわんこが現れた。


「何かの突然変異か!!」


 それも龍の身長を遙かに越える特大わんこが。

 しかも、それに加えて理由はわからないが怒ってる。


「ワン!」


「落ち着け…平和的解決をしよう。そうだ話し合いだ。お座り!」


 俺は何を閃いたのかお座りの命令を下した。

 バカだろ!さっさと逃げんかい!


「ガアァァァァァ!!」


 特大わんこは龍に威嚇する。


「君は座らないのか…なら、お手!」


 よし、良いぞ前足を上げてそのまま俺の手…骨折するよな!?


「あぶねぇ!」


 間一髪セーフ!

 自転車から降りといて良かった~!

 危うく逃走手段を潰す所だったぞ。

 んなことよりお手でアスファルト叩き割った!


「じゃあ、おかわり」


 特大わんこはまた右前足を上げる。


 いや…その構えは!


「瓦割りな!」


 そんでまたアスファルト割るな!


「こういう時は…逃げるが勝ち!」


 俺は死ぬ気で自転車を漕ぎ山道に入った。

 三袋の米がとんでもないお荷物になってる!!

 特大わんこはもちろん、俺を追ってくる。


「…思ったより足が遅いな」


 特大わんこはそれほど脚力はなかった。


「今のうちに自転車と米を何処かに隠さないと」


 お、いい洞穴発見!

 あそこに隠すか。


「後は…警察に連絡?…いや、保健所に電話か?そもそもあれ犬なのか?」


「ガアァァァァ!!」


 犬の嗅覚が優れてるの忘れてた!


「何で俺を追いかけるんだー!」


 特大わんこは龍を追いかける。

 龍は全力で山を駆け上がり山頂付近に到達した。


「まあ、落ち着けよ」


 これかなりヤバいよな。 


「見つけた!」


 見つけた?

 こんなデカい犬の飼い主なんかいるのか? 


「一般人を巻き込んで魔物め覚悟しなさい!」


 この特大わんこ『魔物』っていう名前なんだ。

 飼い主はずいぶん中二ってるな。

 そんなことより何処の制服だ?


 俺の目の前にこの辺では見たことのない制服を着た長い青髪の少女が現れた。

 …銃刀法違反ですよ!

 剣を持ち歩くな!


「お宅、この特大わんこの飼い主か?」


「こんな大きい犬、飼いませんよ」


「おい!前!」


 特大わんこはお手の体制になり右前足を振り下ろした。


(シールド)展開!」


 おい!そんな事、言ってる場合か!

 あれ?何か前にガラスみたいな物ないか?


「マジですか…」


「あとで記憶消さなくちゃいけないわね」


 なんか物騒なこと言ってるな!

 しかも特大わんこの攻撃止めてるし!

 おい、ミシミシいってないか?


「ミシミシいってますが大丈夫ですか?」


「え?そんな事は…押されてる!?」


 やっぱしそれ単なるガラスなんじゃないの!

 どうやって取り出したのはわからんけどさ。


 特大わんこの攻撃はガラス?を割った。


「危ない!」


 俺はとっさに横に落ちていた太い枝を取り特大わんこの攻撃を受け止める。

 わかり切っていたが攻撃が重い!!


「ちょっ!」


「悪いけど文句は受け付けねぇぞ!!」


 使用した枝は限界を超えて真っ二つに折れた。

 俺は直ぐに枝を捨てて、特大わんこの右前足を掴む。

 そして攻撃の勢いを利用して特大わんこを山頂目掛けて投げた。

 まさか上手くいくとは火事場の馬鹿力ってヤツ?


「魔物を投げた!?」


「しゃあ!」


 特大わんこは背中から地面に落ちた。


「あれ倒すのにはどうしたら良いんだ!てかあれ倒して良いの!?」


「基本は体力を削るけど一番早いのは魔石の破壊。それと倒すべきよ!」 


 魔石ってファンタジーに出てくる魔物が落とす金になる石だろ?

 そんなのある筈ないから、


「心臓の事か?」


「そう!魔物にとって脳と心臓の次に大事な部位、つまりは急所です!」 


 じゃあ、急所ってはっきり言え。

 中二病の言語の翻訳はめんどくさいんだよ。


「なら俺に手を貸せ!」


「何する気!」


「その魔石って奴を破壊する!」


「どうやって!あれは犬じゃない!」


 あれ犬じゃないんだ。

 じゃあ、何だろう?

 犬科って事はあってるよな?


「急所ならさっきわかった」


「冗談は…後ろ!」


「アブねぇ!」


 特大わんこが飛びかかる体勢になり俺の頭上を通り過ぎた。


「魔法がくる!」


 魔法なんてこの世にありません!

 特大わんこの口、なんか光ってないか?


「私の後ろに隠れて!」


「魔法なんてそんなの」


 『魔法なんてそんなのない』と俺は少女に言おうとした。

 だが言い切れずに俺は地面に倒れてしまう。

 力を抜いて、自分から倒れたのではない。


「あれ…俺の下半身は?」


 俺の体は上半身だけを残して消えていた。

 意外と冷静に物事を考えられるものだな。

 いや、非現実的なこの状況で思考を放棄しているのか…。


「あんたの仇はちゃんととるから!」


「俺、死ぬのか…血、出てるな…。ハハハハ、ここで死ぬのか」


 嫌だな…まだやりたいことあるのにこんな訳のわからない死に方したくないな。

 てか、マジであの犬なんだよ。


 少女は龍の仇をとるために特大わんこに連続で斬りつける。

 それを朧気な目付きで眺めている龍は自分の唇を噛み締めた。

 そして眼光鋭く見開いて、無い筈の下半身に力を入れて立ち上がろうとする。


 死ねるかよこんなとこで!!

 神様!!奇跡というものがあるのならば今すぐ寄越せ!!俺はまだ死ねない!!

 こんなとこで死ぬ訳にはいかない!

 こんな理不尽な運命で俺を死なせるなあぁぁぁぁ!!


(シールド)展開!この魔物強い!」


「ガルルル!!」


(マズい殺される…)


「させるかあぁぁぁ!!」


「え、嘘!?」


 少女は驚き声を上げた。

 先ほど確実に死んだ少年が自分の前に飛んできて魔物を殴ったからだ。


「一発返したぞ!ワン公が!!」


「何であなた生きてるの!?」


「生きてて悪いか!ようわからんが何か下半身元通りなった!夢オチって事にしといてくれ!」


 じゃないと俺が色々と困る!

 クソみたいに足掻いてたら何故か戻ってた!

 これを夢オチと言わずに何と言う?奇跡か!?

 まあ、一応はマジで神様、サンキューな!


「まあ、良いです。それよりさっきの続きを話して!」


「君はあの特大わんこを翻弄させてくれ。そしたら俺がその魔石という部分にこの鉄の棒を差し込むから」


 龍は当たり前のように鉄製の棒を少女に見せる。


「どっから出したのそれ!」


「何か落ちてた」


 昨日の高台といい何で物騒な物がこんなに落ちてんだよ。


「でも、場所わかってるの?」


「あいつの行動で場所はだいたい把握した!」


「じゃあ任せました!」


 少女は再び特大わんこに立ち向かっていく。


 チャンスは一度きり、集中しろ!

 これをミスれば俺は確実に潰れる。

 必ずチャンスは訪れる。

 彼女に攻撃する瞬間だけそこはがら空きになる!


「やあぁぁぁ!!」


「グルラァァァ!!」


 今だ!

 ここで決める!


「ぶち抜けぇぇぇ!」


 龍は特大わんこの左前足に鉄の棒を突き刺してそれに体重を掛けて押し込んだ。


「さっきから疑問に思ってた!何でこの特大わんこは左前足で攻撃しないのか!右前足で攻撃した後、また同じ足で攻撃すると時間が掛かる!なのにこいつはずっと右前足だけで攻撃していた。要は左前足を攻撃されてほしくないんだろ!テメェの急所は初手からバレバレなんだよ!さっさとくたばれ!!」


「ガアアアァァァァァ!!」


 特大わんこの体は崩れていった。


「本当に魔石を破壊した!」


 体が灰みたいになって崩れた!?

 マジで何の動物だよ!


「どうなってんだこれ!体が崩れたぞ!」 


「そんな事より、どうやって魔石の場所を探し当てたの?」


「先ほど言った通り、あいつの行動パターンでな。あいつは攻撃するとき右前足しか使わなかった。連続攻撃の際も時間が掛かるのに。じゃあなぜ左前足は使わない?」


「左前足にケガを負っていたから?」


「それはない。ケガをしている獣は生存本能でそれに構わず攻撃する。手負いの獣ほど恐ろしいって言うしな。なら可能性はとして左前足に脳のように()()()()()()()()()()()()()()()()()()がある」


 爺ちゃんが熊とタイマンしている時に学んだ事だ。

 改めて思うと爺ちゃん何やってんだ?

 そして俺も何を見せられていたんだ?


「どういう事?」


「あの獣は君と会う前に右前足でアスファルトを一撃で破壊した。けど左前足では地面や俺達にすら攻撃してない。アスファルトより柔らかいのに。という事は?」


 まあ、アスファルトと人間の皮膚を比べたら人間の皮膚なんて豆腐みたいなもんだからな。


「左前足が急所、または魔石がある」


「その通り」


 石というぐらいだから強い衝撃には弱いだろう。


「…よくわからないんだけど」


「わからなくていい」


 言っちゃ悪いけど単なる勘だし。

 それにそうしないと俺が納得できない。

 

「討伐の御協力に感謝します!」


 少女は俺にお礼をして去っていった。


「…記憶消されなくて良かった~」


 てか、記憶を消すってどうやるつもりなんだ?

 まさか物理か?

 さて、自転車取りに行くか。

 洞穴に隠してあった自転車と米はなんとか無事だった。

 これで爺ちゃんには怒られない!


犬といえば小学校の頃に友達の家に行って友達が飼っている犬に尻を噛まれて天井まで飛び上がったことが記憶にあります。

あれ本当に痛かった(´;ω;`)

それではまた次の話で!

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