28話 異世界初の男友達(?)
龍にとうとう男友達ができます!ヾ(o´∀`o)ノ
アイザックは友達でも何でもありません( -_-)
俺はアイザックに放送で呼び出されたので昇降口前に居る。
当の本人は俺よりかなり遅れてやってきた。
男学園の方なのに遅れるとか随分と長い便所をしていたんだな。
「何の用ですか?」
「龍君、何度、言えば君は理解してくれるのかなぁ~」
苛立ちが隠せてないのが見え見えだ。
それと一回しか忠告されてねぇぞ。
お前の方こそ大丈夫か?
…だがあえて理解してない振りをして挑発するか。
「いや、何のことだ?」
「何のことって僕のエレノアに近づくなって事だよ!」
僕のエレノアねぇはいはい。
独占欲の強い奴の典型的なパターンね。
「そんなの俺の勝手だろ?それともあれか?エレノアはアイザックの所有物かのか?」
「だからエレノアは僕の物なんだって!」
わかっていた事だがアイザックは気に入ったモノは何でも所有物として扱う性格だな。
何かザ貴族みたい性格してんな。
ああ、ヤダヤダ。
「エレノアの気持ちを考えた事があるか?」
「そんなの相思相愛に」
「じゃねぇよ。どう見ても嫌がってるだろ。それぐらいのこと気づけよ」
俺の言葉が癪に障ったのかアイザックは目を見開き俺の腕を力強く握ってきた。
別に痛くないけど。
「うるせぇなぁ…。あいつは僕のことが好きに決まってるだろ。地位、容姿、金もあるこんな僕のことを嫌う理由はないだろ」
少しは我慢しようと思っていたが…。
堪忍袋の尾が切れた、もう我慢の限界だ!
こいつ何もわかってないな!
言うのを黙っておいてあげたが言ってやる!
「うるさいのはテメェの方だ!地位、容姿、金!そんなもんで愛を語るな!確かにその三点で決める奴もいる!だが真実の愛ってのは心で決めるもんだ!テメェはエレノアを心から愛してるのか!違うよな!心から愛してたらエレノアを物扱いしない!テメェにとってエレノアはなんだ!」
「ハハハ、君ってそういうタイプなの?冷めたわぁ」
「おい!待ちやがれ!」
立ち去るアイザックを止めるが、それを無視して振り向きもせず今の事がなかったかのように男子寮に戻っていった。
…周りから変な目で見られているな。
はぁ、キレて損した気分だ。
「マジでムカつく奴だな」
帰ろうとした時に誰かが後ろから肩を叩いてきた。
エレノアか?
「やるね君!」
違う全く身に覚えのない知らない奴だ。
何か俺以上に女っぽいな。
「すみませんどちら様ですか?」
「僕のことを知らないのか!?ということは君が転校生のノボル・アケノ君だね!」
「そうですけど」
というか放送を聞いてなかったのかね君は。
あの野郎に呼ばれたのはノボル・アケノだけですよ。
「僕の名前はレイ・フィースベル!ユルグレイト男学園の新聞部所属!そして彼の有名なフィースベル新聞社の跡取り息子だよ!よ・ろ・し・く・ね!」
何かオネェ臭が漂ってきた~!
「えっとレイ君は」
「のんのん!レイちゃんと呼んで!」
ビンゴ!リーチ吹っ飛ばしてビンゴしましたよ!
「大丈夫だ。今のでわかったぞ。レイちゃんの性格が」
「あらそう。それで龍君はアイザックとどういった関係?」
「どういった関係って言われてもなぁ」
あいつとの関係だろ…。
単純に憎いだけだ!
それ以上でもそれ以下でもない!
この世に法がなかったら殴ってた!
「よくわからないのね」
「そうそう」
負の感情面ではわかってると思うよ。
というか断言しよう!
それしかない!
「でも、気をつけた方がいいよ」
「何に?」
「アイザックって結構、黒い噂が絶えないから」
逆にあんなドス黒野郎なのに黒い噂がない方が不自然だろ。
『週に一度はボランティアしてる』って噂があるのなら情報源を問い詰めて嘘だと自白させてやる。
「例えば?」
「龍君のように放送で呼び出された男子は皆、精神が崩壊するの」
精神が崩壊!?
おいおい、黒い嘘っつうよりかはヤバい嘘だろそれは。
呼ばれた人は何か物騒なことをされたのか?
「どういうことだよ!」
「どういうことって言われてもねぇ。一説には彼の個力」
「アイザックって個力使いなのか!?」
「ええ、彼の個力は常識外れよ」
常識外れ、名前からして攻撃とかを無効化する個力か?
「でもぉ、名前でわかる通り彼の個力は精神崩壊系の個力じゃないの」
「じゃあ、他の方法でやってるとか?」
「やっぱりそう思う?他の説では徐々に精神を崩壊させてるとか」
会って数日しか経ってないけどあいつならやりそうだとわかる。
「ありえそうだな。で、レイちゃんは放送で俺が呼び出されたのを知ってここに来たと」
「あら、勘がいいのね」
じゃあ、最初の知らない振り的な挨拶は何だったんだ!
まあ、会話の内容を引き出す手としては合格だな。
「まあ、気をつけるよ。それと俺のことは呼び捨てでいいぞ」
「じゃあ、僕も呼び捨てでいいよ」
ちゃん付けなのか呼び捨てなのかはっきりしてくれ。
「じゃあ」
「マジで気をつけろよ。困ったら呼べ」
「お、おう」
「実はこんなダンディーな声も出せるの」
いきなり男らしい声を出してきたからビビった!
「今度からやらないでくれ!…レイは個力使いなのか?」
「そうよ!名前は教えないけど」
「まあ、誰かに教えてもらうけどな」
こうして俺はアイザックの黒い噂を知るのと同時に初めての男友達ができたのであった。
新キャラ、レイ登場!
アイザックと違って龍と仲良くしていく男(?)です!
それではまた次の話で!




