268話 騎士団本部巡りの旅
10.5章開幕!!
なんですけど前の間章よりも長くなりそうです。
まあ、長くなればそれはそれで11章に変更すると思いますが…。
当分の予定はこのままで行きます!
さて、最初に訪れる場所は第二騎士団本部!
別に数字が近いからって意味はなく単純に帝都、イスカ地方から近い場所にあるからです。
今回も後書きなしです!
戴冠式後、俺はいつものメンバーとは別行動をすることになった。
理由は公務でルシフェル大帝国領の各地に点在する騎士団本部を訪れるためだ。
まあ、それは建前で本当の理由は純粋にルシフェル大帝国を旅したいため。
それに皇帝なのにルシフェル大帝国がどんな場所なのか知らないと話にならないだろ?
なので公務もしつつ観光も楽しみます!
長旅ということもあってか色々な準備もあり出発が戴冠式の四日後になったが夏休み残り日数はまだまだ余裕がある。
そうでなければ長旅なんて思い付かない。
ちなみに最初の行き先は近場の第二騎士団本部、初日だけは列車移動で残りは転移の館だ…。
なるべく負担を減らすために各地の館を経由するが果たしてどうなることやら…。
それはそうとパーティー終了間近にゼロが帰ってきた。
神妙な面持ちで帰ってきたので何があったのか訊ねたところ『暫く独り旅に出るが問題ないか?』と逆に訪ねられた。
俺はゼロを束縛するつもりはないし、このまま自由気ままに過ごしてほしいと思っているので快く承諾した。
当然、それが原因であんな顔をしていたとは思っていない。
神様も神様なりに深刻な悩みとかあるんだろう。
そのため戴冠式の二日後にはある程度の荷物を受け取って旅しに出掛けていった。
いつか悩みを明かしてくれるといいのだが。
「…今更なんですけど何でレンのお父さんが付き添いをしているんですか?」
今回の第二騎士団本部への旅のメンバーにはジェームズさんとレン、フレイヤ、アレキサンダーが加わっている。
アレキサンダーはフレイヤからの説明で『戴冠式に遅れた罰です。全ての旅に団長が護衛として同行します』と言われた。
なお、そのフレイヤはアレキサンダーの見張り役だそう。
要するに保護者の保護者を彼女はしていることになる。
レンは王の護剣代表で同行しているのだがジェームズさんが同行した理由はレンが行くからなのか?
ちなみにレンが代表に名乗りを上げたのは王の護剣年上メンバーを実家で休憩させたいからだそうな。
故に今回の旅にはレン以外の王の護剣は参加しない。
アヴェルは私用で途中参加するとか聞いてるけど…。
「いや、私が第二騎士団の元団長だからだ。別に君が娘に手を出さないか見張るためではないぞ」
…おっといきなり背筋が凍りついた。
「そういえば主はフレイヤ副団長と一戦交えたんですよね?そこでかなり成長したとか…」
「戦闘の最中に我流の技をいくつか編み出した。けどフレイヤの言う通り改善点がかなりある。例えばアレキサンダー、これを受け取ってくれ」
そう言うと龍は創造で創ったナイフをアレキサンダーに手渡した。
それを受けるとアレキサンダーはすぐに改善点を察したのか周囲の安全を確認して振り回す。
そして何度か指で剣先を弾くと片手で真っ二つにへし折った。
「なっ!?そんな枝を折るように容易く!?」
「そう。俄雨・刃で創った刃は枝みたいに簡単に折れてしまう。感触はどうでしたか?」
「あれでは相手に直撃させたとしても接触した瞬間に崩壊するぞ」
「普段の刃雨よりも強度がかなり低くなるってこと?」
「結論を言うとそれだよ」
中には刃雨の半分程の強度がある刃も出てくるが殆どがアレキサンダーに渡したヤツと同様の強度をしている。
それを改善せずに放つよりも、小石を投げた方がダメージを与えられる。
そういう意味では俄雨・刃はまだまだ未完の技なんだ。
「だから本来はこれか以上の強度で放ちたい」
そう言うと龍は鉄壁を創り、それに刃を放った。
すると鉄壁の中心に大きなひび割れが生じて今にも鉄壁は崩壊しそうになっている。
「これなら障壁を壊せる。例え迎撃されようとも武器にある程度、ダメージを与えられる」
「完成するとあれを無尽蔵に射てるのか」
「ま、基本的にこれを改良していくつもりです」
「仮に私との戦闘で完成していたら…」
「武器ぐらいはへし折れたんじゃないですかね?」
だとしても今度は命中率が低下する。
これに関しては『強度を上げて命中させるように集中して放つ』が問題になってくると思う。
で解決策としては『集中せずに放つ』かな?
他でも言えることだが集中せずに自然とやれだ。
その解決策に導くには戦闘経験を積み重ねるぐらいか?
後はひたすら努力して経験を積むか…。
「して皇帝陛下よ。俺と一勝負しないか?」
「口を慎めアレキサンダー!皇帝陛下相手に勝負を挑む、その意味を理解して申し出のか!!」
ジェームズは物凄い剣幕でアレキサンダーに怒号を浴びせる。
確かにフレイヤの一件は龍から申し出た勝負である。
しかし、アレキサンダーは自身の好奇心から申し出た勝負だ。
いくら龍が臣下と気軽に接していても、こちらは限度を弁えなければならない。
それ故にジェームズは怒りを露にしたのだ。
「大丈夫ですよジェームズさん。俺もアレキサンダーの力に興味があるので」
一方で勝負を申し込まれた龍も好奇心に逆らえていない。
躊躇ない承諾にアレキサンダーは思わず笑みが零れてしまう。
けど次の一言でアレキサンダーは肩から力を抜いてしまう。
「でも、瞬殺されそうなので止めときます。戦っても得るものは無さそうですしね」
「そうか…」
「何で団長が落ち込むんですか…。愚者にも限度がありますよ。放浪中に何処かに常識を落としてきましたか?一人で今から拾いに行きます?」
当然だが水面下に怒りを抑えているだけでフレイヤもジェームズなみにキレている。
アレキサンダーを叱らない理由は単純に御前で怒りを撒き散らすのは畏れ多いからだ。
それ故にやや罵倒を込めた怒りに切り替えたのだ。
「そこまで言うかお前は」
「言いますよ。常識ぐらいは身に付けろバカ」
「レン、二人って本当は仲良いのか?」
「んー、それなりに良好な関係だと思います」
『当列車は定刻通り間もなくクリメリア駅に到着します。忘れ物がないようお気をつけください』
車内アナウンスでクリメリア駅に到着する事が知らされた。
まあ、別に後程わかることだったが第二騎士団本部はシエラの故郷であるクリメリア地方にあったのだ。
「それでは龍君、降りる準備をしようか」
「はい!」




