23話 ハーフエルフと城下を散歩
今回は城下を散歩します。
それと疲れた(-ω-;)
俺は生徒会長に校門前に連れてこられた。
何でも城下を案内した後にマイホームである城に招待するらしい。
正直、案内してくれるのは助かるがまた腹の中で雷が鳴らないか心配だ。
なんせ例のヤツの元凶だからな!
「携帯と生徒手帳を出してください」
そして今は校門で外出時間の確認と本人証明を行ってる。
この学園に各国要人の子供や将来が約束されている人材が通ってるので、そういった確認が自然的に必要になってくる。
要するに『学園の外で誘拐されて誰にも気づかれてない』って状況を作らないためだ。
俺はポケットから携帯と生徒手帳を取り出す。
もちろん、生徒会長も。
「ユルグレイト女学園、エレノア・ユルグレイト、十六時二十分外出、帰りは二十一時、承認しました。ユルグレイト…女学園?」
ああ、そういえば俺って女学園に通っているんだった。
「まあ、気にしないでください」
「学園長の承認もあるので良いでしょう。ノボル・アケノ、以下前者と同じ、承認しました。行ってらっしゃいませ」
やっと出れる。
こんなに警備が良いのに何で侵入者が出るんだ?
不備でもあったんだろう。
「さあ!城下に行きますよ!初めに定番な噴水広場に行きましょう!」
それなら初めて王国に来た時に通ったぞ。
結構、活気に溢れていて何というか小さなマーケットみたいな感じだったな。
ってな訳で初めに噴水広場を訪れた。
「生徒会長、ここで何をするんですか?」
「名前で呼んでください」
「えっとエレノア様?」
「様付けは結構です。私はあなたと同級生ですよ」
身分のせいで誰かに様付けや敬語で話されるのを嫌うタイプなのか。
それに気楽に接しやすい人柄をしている。
大袈裟かもしれないがエレノアと居ても疲れない。
「わかった。エレノア、ここで何をするんだ?」
「満足です。それでは上を見てください」
俺は言われるまま上を見上げた。
「石像があるなんて気づかなかったな。とても立派だ」
急いでいて気づけなかったが噴水には六体の石像が置いてあった。
中央に玉座に座った石像が一体、その石像の傍らに一体、そして残りの四体は二体を囲むよう東西南北に置かれている。
「あれはこの世界の英雄、ルシフェル様とその忠実な家臣である五人の石像です」
「あれじ」
俺が『あれ爺ちゃんか!?』と言おうとしたら、エレノアが俺の口を塞いだ。
重大なミスを防いでくれたのは助かったが胸と腕で首を絞めてる!!
「あなたの正体は秘密なんですよ!」
周りに聞こえないよう龍の耳元でエレノアは言う。
しかし、苦しそうに抗っている龍はエレノアの腕を優しく叩いて周りを周りを指差す。
国民がこちらを見てたからだ。
人様から見たらその光景はお姫様が一般人に絞め殺そうとしてるように見えているのだろう。
しかし、エレノアは深く帽子を被って変装しているのでバレる心配はない。
「…すみません!何でもないですから~!」
助かった~。
「こほん、続きを話します。そのルシフェル様の隣に立ってるのが初代ベルブゼラ家の当主、バアル様」
今の皇帝代理の祖先か。
「またの名を知略のバアル、ルシフェル様の右腕で参謀でした。そして北側に立ってるのが初代ペオル家当主ディア様、またの名を英邁のディア」
「なあ、今更だけどもしかしてこの二人って何かの感情に当てはめられていない?」
ほら、向こうの世界の七つの大罪よ。
憤怒、強欲、怠惰、色欲、嫉妬、暴食、傲慢のあれ。
でも、石像は六体だよな?
「龍の言うとおり彼らは感情の王とも言われています。今、上げた名では憤怒と傲慢の王ルシフェル、暴食の王バアル、怠惰の王ディアと呼ばれたりします」
爺ちゃんは俺の世界で言うところのルシファーか。
ルシファーとサタンは同一視されてるから六体なんだ。
何かややこしいな。
「この世界と龍の世界は重ね合わさっているので影響がこっちにでているのでしょう。平行世界ではありませんがそんな感じです」
だから似たような名前がそこら中にあるのか。
例を上げるとユルグレイトとユグドラシルとかな。
そういえばルシファーはルシフェルとも呼ばれてるな。
…爺ちゃん、お忍びで向こうの世界に行ってる?
「他の方はディア様から右回りに初代ウィディア家当主メイ様、またの名を嫉妬の王メイ、羨望のメイ、初代ゴブリード家当主リティー様、またの名を強欲の王リティー、奪還のリティー、初代ルークス家当主ラスト様、またの名を色欲の王ラスト、再生のラストです」
「よくわからんがスゴいな」
「説明する必要はありませんが子孫がルシフェル大帝国に居ますよ」
爺ちゃんの家臣の子孫かぁ…。
一度、会ってみたいものだな。
この五名の名前は七つの大罪に関連する文字をちょこっといじったりして付けています!
例えば七つの大罪のラテン語での読み方とかから。
例:怠惰のラテン語読みのアケディアのアケを取ってディア
それではまた次の話で!




