195話 油断禁物
主人公組、戻ってきま~す。
さてさて、演劇鑑賞を終えた龍は次、どこに向こうのでしょうか?
ところで油断していると脱出したことバレちゃいますよ(-ω-;)
ああ、時間を忘れてしまうほどいい演劇だったなぁ。
映画を観る時もそうだが体が固まってしまった。
それはそうとあいつらに遭遇する前に撤退しないと…。
龍は偶々、劇場で見かけてしまったフィアナ達と鉢合わせしないように劇場を後にしようとした。
しかし、出入り口の演劇が始まるまで暇を潰す広間で聞き慣れた声が聞こえた。
「龍?独りで何をしているの?」
「…ダレノコトカナ?」
うおーい!何でエレノアがここに居るんだよ!
確かエレノアは公務で来れないとか言ってなかったか!?
ちょっとヤバいってもんじゃないぞ!
鬼の形相をしたアヴェルが説教しに飛んでくる!
というか説教の前に色々とマズい!
「いや、他人の振りをしても無駄ですよ」
「…頼む!アヴェルには黙っていてくれ!」
「息抜きしたい気持ちはわかりますが流石に護衛もなしというのは…。私だって遠目からですが居ますよ」
…こりゃあ打つ手なしか?
大人しく城に戻るしかないのか!
何でも良い何か使える手はないのか!?
何としても観光を続けたい龍は振り絞れるだけアイデアを出そうとする。
だが、今は子供がイタズラをして親にバレたような状況である。
要するに何かで誤魔化す事すら不可能なのだ。
「あわわ、エレノア様と会ってしまったよ。どうするのヘイス!?」
「助け船を出そうにも無理だろ!アヴェル様は『龍様に独りだと錯覚させろ。そうでなければあの人は我々に気を使って楽しめなくなる』って言ってたんだぜ!助け船を出した時点で詰みなんだよ!」
「はぁ、要するに助け船を出さずにあたかも付き添い人として振る舞えば良いって事だろ?そして脱け出したのを知らない風に装えば良い」
「…えっ?お前って今は仕事中だろ?」
「長めの休息だ。それと古き仲だが私の方が立場は上、敬語を使え」
戸惑いを隠せないウルミナとヘイスの側に現れたのは本来は仕事中のとある人物であった。
龍を助けるためにその者は襟を正して堂々と靴音を鳴らして龍とエレノアに近づきこう言った。
「待たせて悪いな龍様。次の観光地に、ってユルグレイトのお姫様じゃん。どうかしましたか?」
「ペオル家当主のヴィクトリア様!?えっと私はお友達とここで合流する約束をしてまして…。あのヴィクトリア様は龍の付き添い人ですか?」
「ん?そうだけど?アヴェルさんに許可とって私が付き添いしてる。けどこの事はお友達にも内密に。許可はとってるけど公表はしてないからさ」
「はい。それなら大丈夫ですね!ごめんね龍、疑っちゃって。じゃあね」
「ああ、またな」
何とか助かった~。
まさかヴィクトリアが助けてくれ…。
いやいや!!ヴィクトリアに助けてもらっても結果は変わらなくないか!?
「さてとこっから離れるようか。他のお友達にも見つかったら余計な言い訳を捻り出さねぇといけないからな」
「アヴェルに引き渡さないんですか?」
「こんな大事な時に城から脱け出した事を普通は説教しないといけない立場なんだが私も隙を付いては脱け出してたからなぁ。何か説教すると自分にしているみたいに感じるんだわ。だから引き渡さない。私が今も昔も悪ガキって事に感謝しろよ~」
これは龍に脱出がバレている事を気づかせないために付いた嘘ではなく事実である。
何を隠そうヴィクトリアも幼少期の頃は習い事や学校からしょっちゅう脱け出していた悪ガキなのだ。
そして今はある程度、仕事に余裕ができると脱け出している。
なお、この事で社員からはどうこう言われたりはしない。
何故なら業績は落ちるどころか脱け出した先で練ったアイデアで業績を伸ばしてしまう程だからだ。
「ありがとうございます!」
「その代わりに観光はこれでお終い。今からは社会科見学の時間だ」
「社会科見学?」
「そう社会科見学~」
っう事で次回はヴィクトリアと一緒に社会科見学!
ペオル家とあんまり関わりがなかったので交流させようという魂胆です!
それではまた次の話で!




