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192話 聖霊と王の愉快な話④

演劇の中で演劇、『人生を貸した男』始まり始まり!

…まあ、書くこと特にないんですよねぇ。

「その男は裕福な者ではなく、何処にでも居るような男。先ほど申した通りに取り柄は力強さだけ。また、昼間から酒を飲む生活を送っている怠惰な男であった」

 

「まあ!外界の大人達は昼間は仕事をしていると聞きますが、その人はしていなかったのでしょうか?」


「いえいえ、この者が職を持っていたのは数ヶ月ほど前のこと。近頃、巷で良く見かける冒険家という仕事をしていたそうな。周りの者が自分よりも優っていたため、劣等感を抱き辞めたそうです。さて、そんな男の運命を変える出来事があった。それは三人の悪党に追われていた男を助けた事である」


 そう王様が言うと三人の悪党に追われている男が登場した。

 命からがら逃げる男は元冒険家の男に助けを求めた。

 元冒険家の男は誰かに救いの手を求められたら断れない性分のため三人の悪党を懲らしめた。

 そして助けられた男は煌々とした目を取り戻して、元冒険家の男にこう言いは放った。


「助けてくれてありがとうございます!それと一つ、その強さを見込んで私の頼みを聞いてはくれませんか?」

 

「ああ、別にこれから寝る所だったんで良いですよ」


「ありがとうございます!私はとある情報を山を五つ越えた先の国に住む王へ届けなければなりません。ですのであなた様に私めをその国まで護ってほしいのです」


 元冒険家が男の頼みを聞き遂げると舞台上の明かりが消えて、代わりに舞台横が照らされた。

 そこには辺りを花で囲まれた岩に座る聖霊と物語を話す王の姿があった。


「この男、確かに護衛の依頼を受けた事はあるが周りの者と比べてしまう性分をしております。そのためいささか自信がないようで数分ほど悩みに悩んだそうです」


「外の人は不憫ですね。周りと比較することに何の意味があるのですか?その人にはその人なりの価値があるのに」


「ええ、それは良い考えです。はてさて男は頼み事を引き受けたのかな?」


 再び王様が話を進めようとすると舞台に明かりが戻る。

 元冒険家は依頼を承諾していた。

 『自分はこの国に居ても何の役には立たない。ならば荷物を纏めて、この男が向かおうとしている国で職を探そう』と思っての行動である。

 そして元冒険家の男が荷物を纏めて男の所に戻ってきた場面から始まる。


「引き受けていただきありがとうございます」


「今更ですが俺はそこら辺の冒険家より弱い。あんたに怪我を負わすかもしれない。それでも俺に護衛を頼みますか?」


「確かに人数を増やすという手段もありますが、何の見返りも要求せずに見ず知らずの私を助けてくださったあなた様の優しさを見込んで頼んだのです。そのため引き受けてくれただけで充分ですよ」


「俺を強さではなく、性格で選んだと?…これは期待に応えないといけませんな!それでは参りましょう!」


 こうして男と元冒険家の男は山を五つ越えた先の国に向けて、出発した。

 王様の愉快な話を求めて城下に降り立った時のように男と元冒険家の男は観客席のそばを通る。

 そして観客に話しかけながら観客席を一通り回り、舞台に戻った。

 

「山を二つ越えましたがまだ刺客が襲ってきますね。それに顔であんたが標的だとバレているようだ。遅れが生じると思うが遠回りをするのはどうだ?」


「いえ、この情報は早い方が良いので遠回りは避けたいです。しかし、私が標的だと相手に理解されている以上は近道でも遅れそうですね…。そうだ!私の人生をあなた様に貸しましょう!」


「人生を貸す?要するにあんたに似るよう変装するって事か?」


「そうなりますね。あなた様を私に私をあなた様に変装させます。それが可能な魔法を私は使えるのです」


 依頼主の言葉通りに演じている役者の姿が入れ替わった。

 高度な幻術を用いて『場所を入れ替えた』のを『二人が変装した』と観客に思わせているのである。

 更に二人が変装したのと同時に聖霊は驚き、聖霊と王の所に明かりが照らされた。


「そんな魔法があるのですね!あなたはその魔法を使えるの?」


「アハハ!!使えたら使えたで使用人を引き連れずに愉快な話を求めて抜け出しますよ!」


「そういえば何故に依頼主は『人生を貸す』と言ったのかしら?何で普通に『変装しましょう』って言わないの?」


「さあ?話に夢中になりすぎて気になりませんでしたなぁ。そんな話をしているうちに二人は四つ目の山を越えましたぞ」


 王様の言うように二人は四つ目の山を越えて、残り一つで目的の国に着く場面であった。

 果たして二人は無事に五つ目の山を越えることができるのか?

 その様な事を言ってもキリがない。

 言えることはこれだけ『二人の旅はあまりにも順調すぎた』ということだ。

 そして物語にはハプニングが付き物である。

 そう二人は五つ目の山を越えて、もう少しで国に入れる所で大勢の刺客に囲まれていた。

キリが良いので次回に続きます!

それではまた次の話で!

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