177話 突入という名の入城
はい、龍の所有物であるインフェルノ城に帰宅します。
さて、皇帝だとバレずに入城できるのか?
てなわけでレンが無茶します(´-ω-`)
帝都魔物園を去った俺とレンはインフェルノ城からそう遠くない馬車乗り場で降りた。
ここまでは一般人として見られるがこっからは慎重に行かなければならない。
当然だが城へと向かうことにより、入城できるほどの身分であると周囲に伝えているようになってしまう。
これをどう突破するかが今回の鬼門だ。
ところでレンは誰にもバレずに入城できる作戦を閃いたらしい。
信用したいがどうも嫌な予感がする。
何故なら路地裏に居るからだ。
「じゃあ、作戦開始するけど良い?」
「待った!その前に訊きたいことがある!何しでかす気?」
「心外だなぁ。少しは信じてよ」
「前科があるから訊いてんだよ」
悪いけど例え王の護剣のレンだとしても恋の時に出てた正義感から疑わさせてもらう。
お前が仮に毎月毎月、厄介な問題を持ち込まなかったら信じてたよ。
はっきり言うとレンって超完璧な女の子だし、問題ごとを起こさない性格っぽいからな。
「大丈夫だって死にはしないから!」
そう言うとレンは龍が反応できないほどの速さでお姫様抱っこをした。
そして抱かれた本人が気づく頃には空中、レンはお姫様抱っこをした瞬間に跳んだのである。
しかし、規定の高さ以上に居るとかえって目立ってしまう。
なのでレンは上昇の途中でまるでサッカーのシュート技、オーバーヘッドをするように仰向けの状態になって丸まった。
そして障壁を垂直に張り、それを足場にして頭の方からインフェルノ城に突入した!
「何やってんだお前!!まさかこのままの勢いで着地するんじゃ」
「舌噛むから喋んな!最後の切り札発動!!」
さらに門を越える寸前で個力を発動させ強引に体勢を立て直す。
龍の予想通り、レンはこのままの勢いで着地するつもりだ。
「…やるなら相談してからやれ!反転はするなよ!創造発動!!」
嫌な予感が的中した!
これなら堂々と正面から入った方がまだマシだ!
沈み込むように衝撃を吸収する物体を創る!
龍は着地点に大きな物体を創った。
レンは反転するのを止めて、背中からその物体に沈み込む。
そして龍は地面の近くまで沈み込んだのを感じて創った物体を消した。
「ああ~、上手くいって良かった~!」
「ほぼ俺のお陰だろ。故障したジェットコースターに乗っている気分だった…。っていうかさ」
「何事だ!」
「侵入者だ!早急に捕らえよ!」
正門を守っていた騎士が着地した二人に近づいてきた。
着地の音は出なかったが何かが門の上を通り過ぎて城内に侵入すればわかってしまう。
それに龍が創った物体を見れば誰だって駆け寄ってくる筈だ。
「こんなのしたら衛兵が来るだろ」
「御心配なく!あたしは王の護剣ですよ。衛兵であれ直ぐに気づきます」
「ほう?では何故、俺達は衛兵に槍を向けられているのかな?」
「怪しい奴め!逃がしはせぬぞ!」
「ありゃ?」
衛兵達がレンが王の護剣だと気づかないのは無理はない。
だってこいつが王の護剣に所属していることなど上層部の者にしか知らされてねぇからな!
同僚のキースやヘイス、ウルミナすら気づかない始末だぞ。
今のお前はルークス家や王の護剣のレンではなく、ただの侵入者だ。
まあ、この場に居る俺も同じだがな…。
「バカ…」
龍は手で顔を覆いながら溜め息混じりで呟いた。
とりあえずレンと龍はまだ二人のことを知らない衛兵達に捕まりましたσ(^◇^;)
…誤解は解けるのでしょうか?
それではまた次の話で!




