176話 再会
ヒプノーシスオウルを観るために帝都魔物園を訪れた龍ですがヒプノーシスオウル以外のある魔物と再会します。
まあ、その魔物はとっくに塵になっているので再会ではありませんが(^∀^;)
ヒプノーシスオウルの様子を確認するために魔物園というまあ、動物園に似たような施設を訪れた。
動物と魔物の違いは魔石を持っていないかどうかだ。
また、魔獣は動物が魔力を体内に蓄積しすぎた結果、体内に魔石が形成されて現れる存在らしい。
なので体のどこかにある魔石さえ破壊すれば元の動物に戻る。
なお、特大わんこの件でわかっているが魔物は魔石を破壊されると灰になる。
そのため素材を採取するには魔石の破壊は厳禁である。
さて、そんなどうでもいい豆知識はほっといてヒプノーシスオウルはどの檻に入れられているんだ?
地図によるとこの辺りなんだけど…。
「ねえ、龍」
「おお、見つかったのか?」
「いや、そうじゃなくて前に龍が言ってた特大わんこってこの魔物でしょ?」
えっ!?特大わんこがこの魔物園に居るの!?
ほんの二ヶ月前に下半身が消し飛んだトラウマが蘇ってくる~。
…さて、特大わんこの本当の名は何だ?
最初に二代目皇帝を屠った者として勲章を与えよう。
まあ、その特大わんこは返り討ちにしてやったがな。
「…ジャイアントパピー。どこか子犬だよ、こんな仔犬が存在してたまるか」
「ワン!」
「別にお前のことを悪く言ったんじゃねぇよ」
というかあまり鳴かないでくれ。
聞くだけで何か下半身が痛くなる。
「しょうがないよ。だって子供の名称だもん」
「うり坊みたいな?ってこいつまだ、大きくなるのか!?…ヘルハウンド、地獄から来たとされる状態異常攻撃を得意とする犬型の魔物。ある地方ではこの魔物が現れた時、不吉が周囲一帯に降り注ぐと伝えられている。はぁ、お前って成犬になると強くなるんだな」
状態異常攻撃が得意って書いてあるけど俺とシアン先輩が戦った奴はバリバリの武闘派だったぞ。
何度も踏み潰そうとしてきたり、光線をぶっ放すしさ。
「感心してるのは良いけど当初の目的を忘れたの?」
「ああ、そうだったな」
さてさて、ヒプノーシスオウルは何処に居るのか…。
「龍、見つけたよ。ほら、あそこの大きな鳥籠に入れられているよ」
「本当だ。止まり木で休んでる。…飛び回れないのか?」
「ある程度したら異空間を出すそうよ。催眠術も鳥籠が防いでくれるって」
こんな危ないのを展示するだけあって対策にも抜かりないな。
…ヒプノーシスオウル、獲物を催眠状態にさせて巣に持ち帰り食らう習性がある。
しかし、催眠状態にかかっているか確認するため暫くその場に止まり続ける。
だからショッピングモールに現れた時に直ぐに飛び去らなかったのか。
…ってか余計な説明まで付いてるな。
「『このヒプノーシスオウルは生きた状態では魔物園には輸送できないとされる展示価値の高い魔物です。帝都魔物園は皇帝陛下に感謝いたします』だってさ」
「言うな。そんなの全く知らなかった」
「ホウホウ」
ヒプノーシスオウルは首を回転させながら龍を見つめる。
もしかしたら『あの時、戦った二足歩行の生物なのでは?』と思っているのかもしれない。
「…俺はお前のこと知らない。お前も俺のこと知らないオッケー?」
「ホウ?」
「何話しての…。ちょっと怖い」
「レンが知らなくて良い俺の黒歴史をもみ消そうとしてるの」
何で魔物園に来るだけで一つのトラウマと黒歴史を思い出さないといけないんだ。
二度とあんな状態になりたくないし、あんな事をしたくない!
あの日、ショッピングモールの屋上に現れた逢魔仮面の正体は墓場まで持って行く。
「…うわっ、何で良いムードの時にあの人は。申し訳ございません主。少々、御側を離れます」
「どうした?いきなり王の護剣モードになって」
「アヴェルから遠隔念話が来ましたので。遠隔念話とは簡単に説明しますと電話です」
そう俺に遠隔念話について説明するとレンは電話をするように利き手で右耳を押さえて、俺から少し離れていった。
恐らく耳に手を当てることで通話ができるのかただのマナーのどちらかだ。
アヴェルからの遠隔念話かぁ、何か自由時間が終わりそうな予感がする。
だって食事会って五王家とのだろ?
結構、準備に手間暇がかかりそうだしな。
それに正装にも着替えないといえないし。
「お待たせ龍。さっきアヴェルが」
「そろそろ城に戻ってこい。だろ?」
「何でわかったの?正解よ」
「ハハ、俺も正解したくなかったよ…」
まだそんなに日は沈んでないと思うんだけどなぁ。
やっぱり早めに準備をする必要があるからか?
ああ、また今度、機会があったら来よ。
何故ってジャイアントパピーとヒプノーシスオウルしか見てないから。
今度は入園料、二千六百フェルかぁ。
今回はレンとカップル割で二千三百フェルだったからな。
…何で受付の人、信じたんだろ?
流石にバレると思っていたのに。
ルシフェル大帝国帝都魔物園の入園料は大人十六歳以上五十九歳以下で二千六百フェル、シニア六十歳以上で千九百フェル、小人十五歳以下五歳以上で千四百フェル、幼児四歳以下は無料である。
また、龍とレンのようにカップル割や団体割、誕生日割もあります。
なお、受付の人は信じたのではない。
龍の隣で『カップル割、お願いします』と照れながらチケットを買うレンの乙女心を応援したからである。
仮に龍が他の四人と二人っきりで来たらその受付は勢い良くチケットをカウンターの上に叩きつけるだろう。
こうして龍は渋々、魔物園を後にするのであった。
ということで自由時間は終わり、インフェルノ城(龍の家)に向かいます!ε=ε=(ノ≧∇≦)ノ
五王家との食事会はもう少し先です。
それではまた次の話で!
ああそうそう、代理皇帝であったクラウスは当然、ベルブゼラ家の現当主です。




