172話 騎士団長との出会い
堅い敬語ってムズい(´-ω-`)
誰かの親戚登場!
メニューにパスタしかないが専門店なのかな?
後は副食としてサラダやスープがあるだけだ。
「この店ってパスタ専門店?」
「そうだけど嫌だった?」
「いや、好きだ。それに最近、食べてなかったからな。決まったからいつでも店員を呼んでもいいぞ」
「わかった」
レンはテーブルに置いてある卓上ベルを鳴らした。
ああ、こっちもその仕組みなのね。
というか何かメカみたいな店員が来たな。
「御注文を受けに参りました」
「はい、竜の薫製肉入りのトマトソースパスタと採れたて野菜のサラダ、星屑の実のジュースをお願いします。龍は?」
おお、吸血鬼だけあってトマトは好きなのかな?
そしてドラゴンが薫製肉にされてる…。
星屑の実っていうのも気になるな。
てか、名前を呼ばれたけど偽名にした方が良いのでは?
「海鮮パスタと同じく採れたて野菜のサラダ、星屑の実のジュースで。以上です」
「御注文、承諾」
「…あの店員、人?」
「自動人形よ。人件費削減にもなるから便利でしょ。それに名前を言ってもわからないしね」
だから俺の名前を聞いても表情を変えなかったのか。
というか表情なんてなかったけどな。
その後、俺とレンが注文した物は運ばれてきた。
…これが星屑の実のジュース、まるでカラフルな炭酸水のようだ。
味は…甘いのだがどことなく酸味がある。
シュワシュワと口の中で弾ける、それがクセになりそうだ。
そして海鮮パスタは言うまでもなく美味しい。
香辛料も良く効いており、味だけではなく香りも楽しめる。
程よい塩気もあって食欲をそそる。
…サラダも瑞々しいな。
近くに農場でもあるのか?
「…そういえば自分で頼んであれだけど海が近くにあるのか?」
「そうだよ。インフェルノ城が見えたでしょ?その後ろにまだ街があってそこに海があるの。この国の帝都は中央に王の城がある造りなの。円錐を思い浮かべればわかりやすいかな?…なんなら食べ終わったら見に行く?」
「うん、次の目的地はそこにしよう」
つまり、四方八方から帝都が見渡せることが可能なのか。
…海が近くにあるのはユルグレイト王国の王都と同じ造りだから良いな。
「会計をするがもう良いか?」
「ゴチになりま~す」
会計をしに行こうとしたら料理人の声が聞こえた。
何故、料理人なのかは給仕が自動人形なのと聞こえてきた言葉からして店の関係者しか言わない言葉だったからだ。
「困りますよお客さん。こんな所で寝られたら」
「酔っ払いか?」
「お酒は提供されてないわよ」
「じゃあ、ただ疲れてるだけか」
身なりからして貴族かな?
けど、貴族ながらまるでスポーツマンのような体格で魔力量が段違いだ。
そしてあの雰囲気、料理人は普通に話しかけているが俺なら躊躇する。
先ほど貴族と思ったがあれは貴族ではない戦場に身を置く戦士だ。
予想だが力量はアヴェルと同クラス、机に立て掛けてある槍が奴の武器だな。
それにしては態度ためか強そうに思えない…。
「…入店してから何か知っている気配があると思ったらやっぱり」
「知り合いなのかレン?」
「知り合いっていうか…」
レンは机に顔を伏せて寝ている男に近づき睨んだ後に頭を鷲掴みして、顔を強引に持ち上げた。
「レン!?」
「公共の場で他人に迷惑をかけるとはそれでもルークス家の次期当主ですか!!いくら任務で疲れていようが関係ありません!さっさと起きて謝罪しろバカ兄貴!!」
「兄貴!?」
ってことはあの人、レンのお兄さん!?
マジかあいつ、兄がいたのか。
…確かに目とかが似ている。
「…うん?人の頭を鷲掴みするとはいい度胸…レン!!いつ帰ったんだ!?」
「数時間前です」
「そうかそうか!ならば帰って皆に報告だ!今すぐ行くぞレン!」
「断ります。今は任務中です」
レンは現在、龍に帝都を案内しているとはいえ護衛をしなければならない。
つまり、食事や観光をしているが任務中なのである。
それを放り出して家族の元に帰るなど職務怠慢だ。
「任務中?」
「そう任務中です。王の護剣としてこの場に居るのです。要するにあの方は」
レンは兄に目線で龍の存在を知らせる。
そして兄は瞬時に槍を目の前の床に置き自分は跪いた。
貴族だからやったのではない。
彼は絶対に龍に跪かなければならない地位に居るからだ。
「大変、お見苦しい所を晒してしまい誠に申し訳ございません!!我らが主、皇帝ノボル・インフェルノ様!!陛下がこの場にいらっしゃったのにも拘わらず、休暇のの身であれ陛下に御挨拶もせずに私めは机に伏せ居眠りに耽ており、仕舞いには妹に起こされ気づかされる始末!どうかこの私めに厳重な処分を与えてくださいませ!如何様なる処分でも私めは受けます!」
「えっええ!?ちょっとレン!お前の兄ちゃん何者!?説明してくれ!」
「ルークス家次期当主にしてルシフェル大帝国第六騎士団の団長よ。つまり、龍の部下」
道理で強そうな雰囲気を醸し出している筈だ。
まさか第六騎士団の団長だなんて…。
「ちなみにあたしの方が地位は上です」
多分、戴冠式までに出てくる団長は彼だけだと思います。
なお、レンは皇帝直属精鋭部隊、通称、王の護剣に所属しているので騎士団長の兄より地位は上になっております。
それではまた次の話で!




