171話 二人っきりの観光
ということでレンと二人っきりで観光します!
まあ、デートですね(≧∀≦)
二人はこの状況に全くそういう感情を抱いていませんがσ(^◇^;)
『皇帝通りで昼食を取りたい』と龍にお願いされてレンは近くのレストランを探しに龍のそばを離れた。
理由は候補は上がっているもののどのレストランで昼食を取るか決めれないから。
なので一度、メニューを見にその候補の店に行ったのだ。
そして龍は近くのベンチに腰を下ろして、人々の往来を観察している。
ユルグレイト王国と同様に移動手段は徒歩と馬車のみか。
魔法使いらしき人は箒で空を飛んでいる。
もちろん、魔族も飛んでいるな。
高度の制限として五メートルから八メートルまでと立て札に書かれている。
…お、あれは初めて見る移動手段だな。
「あのすみません。尋ねたいことがあるんですがよろしいでしょうか?」
「良いぜ。どうかしたか?」
俺は冒険家らしき男性に声を掛けた。
「ありがとうございます。先ほど通っていった馬車らしき乗り物は何でしょうか?」
「ああ、あれのことか。竜車、馬の代わりに飼い慣らした竜に引かせるヤツ。たいていは貴族が乗ってて今のは…紋章からしてペオル家の竜車だな」
ああ、やはり見た目からして竜車って呼ぶのか。
しかも五王家、ペオル家の竜車だったんだ。
ペオル家の魔族にはまだ会ってないんだよなぁ。
「帝都の移動手段って歩行か馬車と竜車、または飛行だけなんですか?」
「それぐらいだな。ティマーなら使役した魔物や召喚獣に乗って移動することがあるけどな」
「お忙しい所、ありがとうございました」
「おお、良いってことよ。田舎から上京してきたのか?というか礼儀正しいな坊主。またな」
尋ねたのに安心するぐらい優しい人だったなぁ。
それよりも多分、戴冠式で見かけるよ主役だし。
「…向こう側で露店をやってる。行きたいけどどうやって渡れば…。普通に横断して良いんだ」
龍は向こう側でやってる露店が気になったのか向こう側へ渡った。
露店には初めて見る鉱物で作られたアクセサリーが売っていた。
どうやら露店の後ろにある工房で作ったのを販売しているらしい。
当然だが工房が経営している露店だ。
「いらっしゃい。親方が無意識に作ったちゃんと効果のあるアクセサリーだよ」
こんな立派な物を無意識に作る親方って何者だよ…。
それはさて置き、美しいなこのアクセサリー。
日頃の感謝として王の護剣にプレゼントしよう。
アクセサリーの横に置いてある札に効果が書いてあるのか。
「従者に日頃の感謝としてプレゼントしたいのですが何かオススメってありますか?」
「貴族様でしたか!こんなチンケな物を買わず是非とも工房で注文してください」
「いや、これが良いんです」
「ああ、そうですかぁ。従者が戦闘しているのなら右側、それ以外なら左側ですね。この首飾りなんか重い物を運ぶ時につけたら便利ですよ。少量の筋力増強が付与されてます」
王の護剣は戦闘面だから右側だな。
てか、無意識で作ったのに付与までしてあるとかマジで何者なんだよ、この工房の親方。
「筋力増強って戦闘面では?」
「少量なので戦闘では役に立たないんですよ。だから少量でも困らない左側に置いてあるのです。まあ、メイドにプレゼントするのが良さそうですねこれは。で、その従者の戦闘スタイルと使用武器は?」
「二人は全距離対応型でもう二人は近距離型、一人が遠距離型ですね。武器は全距離対応型の一人はどんな武器でも使います。もう一人はだいたい魔法、近距離は二人とも剣、たまに一人は素手です。で、遠距離型のが弓矢です」
「はぁ、変わった方々ですね。それなら」
商人はオススメのアクセサリーを五つに分類した。
「こんなもんですね。仰ったように並べましたよ。サイズ違いが出るといけませんので指輪は除外しました。ああ、ピアスは一般的な穴なら対応してます」
おお、これはわかりやすい。
じゃあ、アヴェルには魔力消費軽減と接触攻撃耐性が付与されたメンズのブレスレット。
ヘイスには確かあいつ、片耳ピアスをしてたから接触攻撃強化と攻撃力上昇が付与された片耳ピアス。
ウルミナは遠距離攻撃耐性と防御力上昇が付与された花形のブローチ。
キースは…というかあいつってこういうのに興味あるのか?
まあ、受け取ってくれることを願おう。
接触攻撃耐性、魔力攻撃耐性が付与されたブレスレット…。
何か直ぐに壊しそうだなぁ。
で、レンは移動速度強化と回復力上昇が付与されたペンダントだな。
「これでお願いします」
「お買い上げありがとうございます。二万五千フェルです」
「そんだけ!?安くないですか?」
財布からお金を取り出しながら俺は驚いた。
てっきり五万か八万は超えるものかと思っていたからだ。
「ですよね。なのに親方は『できが悪い。こんなの一個、五千で構わん』と言って仕舞いには『むしろ無意識に作った物だ。タダで配れ』と言うんですよ。商売になりません」
アハハ、やっぱり親方が値段を決めてたかぁ。
別に構わずに高額で売れば良いのに。
意識高い系なのかな?
「それで左側の方はまさかの二千五百フェルですよ。こんなの下手したら普通のアクセサリーより安いです。では、ちょうど頂きますね。ちなみに包装はいつもタダです。ありがとうございました」
龍は買った商品を受け取って元居た場所に戻り、レンの帰りを待つことにした。
そして数分後に店が決まったのか急いで戻ってきた。
「ごめんね。結構、迷って遅れちゃった」
「いや、急に昼食が取りたいって言った俺の方が悪いし、大丈夫だよ。それよりちょっと良いか?」
「うん、良いけど」
「目、瞑ってくれ」
サプライズがしたいのか龍は目を瞑るよう命じる。
レンは突然の命令に戸惑いながら目を瞑り、少しだけ頬を赤らめさせながら背伸びをする。
けれど龍の手が自分の首に当たったことに気づいて、背伸びを止めた。
「開けていいよ」
「…これは?」
レンの首には龍が先ほど買ったペンダントがかけられていた。
ハート型に作られた紅色の鉱石が黒色の世界に投じられて目立っている。
そしてそれを身につけているレンはとても可愛らしくなった。
「さっき買ってきた。日頃の感謝だ。…よし、似合ってる似合ってる」
「あ、あの、ありがとうございます。…初めてされたこんなこと」
「うん?日本でも普通にプレゼントはしてるだろ?」
「それとこれとは別!…一生、大切にするね。じゃあ、混むと時間がかかるし行こ!」
レンは龍の手を引っ張って、昼食を取ることにしたレストランに連れて行った。
(さっきの貴族様、もうプレゼントしたのかぁ。微笑ましい光景だな。というか本当に従者か?どう見ても彼女だろ?デートだろあれ)
次の目的地はレストランです!
それとフィアナ達は戴冠式前日には現地到着します。
それではまた次の話で!




