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169話 戴冠式に向けて

ファンタジー世界の街並みを考えるのが苦手だということに気づきました(^∀^;)

今回から九章、開幕です! 

ちなみにフィアナ達はもう少し後に登場します。

まあ、正装に着替えたりなんやかんやするためいったんユルグレイト王国に帰ってます。

 さて、異世界に戻ってきた俺だが説明しなくても何をやろうとしてるのかわかるよな?

 そう、戴冠式をするためにルシフェル大帝国に向かっているのである。

 なお、列車には俺の御世話をする執事やメイド、護衛として当然、王の護剣がそして実体を持って出てきたゼロと戴冠式の主役の俺しか乗っていない。

 フィアナ達とは飛び地でいったん別れた。

 ユルグレイト学園、一年生の招待者として先生方や学園長に引率されて来るからだ。

 二年と三年を招待しなかったのはあんまり接点がなかったからだ。

 シアン先輩は学園長の付き添いで来るけどな。

 それとエレノアはユルグレイト王国の来賓としてアレックス王と来る。

 確かレイもお父さんと一緒にフィースベル新聞社として来るとか言ってたな。

 で、かれこれ飛び地を出てから一週間が経過した。

 ルシフェル大帝国ってユルグレイト王国よりも遠い所にあるんだな。

 ユルグレイト王国から飛び地まで五日もかかったがこっちの方が長くなるとは…。

 そしてアヴェル曰わく『もう直ぐで帝都に到着いたします』だそうな。

 要はもうここってルシフェル大帝国領なんだ。

 また、肝心の俺だが旅の最中、ずっとルシフェル大帝国についてアヴェルから聞かされたり、直接、本を読んだりして調べた。

 まあ、法律は思ったよりちゃんとしていて普通に向こうの世界でも通用しそうだった。

 特に刑法がしっかりしていた。

 やっぱり、武器や魔法、また危険が雑草のようにそこら辺に転がっているせいなのかな?

 とりあえずまあ俺が手を加える必要はないってことだな。

 ただまあ、政治体制が民主制ではなく君主制というのは変えなくてはならないが…。

 これは予想通りの結果だから良いとして、スラム街はやっぱりあるわなぁ。

 こりゃあ問題が山積みだわ。


「龍様、お休みの所、失礼いたします」


 アヴェルが隣の車両から移ってきた。

 そして何故か異世界に戻っても人族の姿で過ごしている。

 アヴェル曰く『魔族の姿ではなく普通に人の姿として生活している魔族も居ます』だそうな。

 なので街で見かける魔族は殆ど人に似た姿をしてある程度、自分が何の種類か相手に伝えるように異形の部位をさらけ出しているとさ。

 …うーん、これは当然とかそういう問題ではなく単純に気に入ったから、この姿で過ごしてるな。


「どうしたアヴェル?」


「窓の外を御覧ください。これから龍様が治める国、ルシフェル大帝国の帝都インフェルノです」


 俺はチラ見する程度に見ようとしたが窓を開けて乗り出してしまった。

 驚きのあまりどう説明したらいいかわからない。

 戦争の遺産か巨大な壁がそびえ立っており、大きな門がある。

 いや、門というよりかは一種の境界だ。

 五階ぐらいの高さがある壁と門、これが帝都インフェルノの入り口かぁ。


列車が門へと近づくに連れてその全貌が目視できるようになってきた。

 現在、列車は門の右側を走っているので見えるのは右の扉だ。

 右門には何かの魔法陣、もしくは荒れ狂う大自然を表現したかのような絵が描かれている。

 左門もおそらくこれと同じ絵が描かれているのだろう。


「速度が落ちてきた。そろそろ終着駅か?」


「いえ、歩行者の近くを走るので速度を落としたのです。それと」

 

「他の列車が門から出てきた」


「ええ、他の列車との接触を避けるため遅れて入るようなっております。なので基本、通れるのは一本だけです」


 はぁ、目の前に信号機のような物を置いて運転手がちゃんと確認できるようなってるのか。

 

「まぁ、出れるのも基本、一本ですが」


「えっ?」


 信号機のような物が赤色から青に変わって列車は進んだ。

 皇帝専用列車のせいか歩行者が立ち止まって、こっちを見ている。

 こういうのって手を振った方が良いのかなぁ。

 窓から顔を出してるのが恥ずかしくなってきた。


「この門を右に曲がりましたら終着駅です。また、出る時は自動で方向転換されます」

 

「間もなく一番ホームに列車が参ります!危険ですので黄色い線までお下がりください!」


 自動で方向転換?

 はぁ、門の先からは歩行者と列車の間に壁を置いているんだ。

 これで曲がる際にぶつかる心配はないな。

 …それはさて置き。


「ちょっと目の前!行き止まりだぞ!」


「いえ、ご心配なく」


 …列車が前方から消えてっている?

 

 列車は前方から徐々に消えていった。

 そして龍が乗車している車両が消え始めると龍に何処かで体験した感覚が表れる。

 しかし、今回は前回の時のように不快な気持ちにはならず至って平常であった。


「もしかして転移門を置いたな…」


「ええ、設置されています。そして短い距離の移動ですので嫌悪感は起きません。一つの転移門からは一本の列車のみが出入りできます。なお、二十両編成までの列車ならこの駅には入れます」

 

「そういえば自動で方向転換ってどういうことだ?」

 

 何か大きな魔導具を動かして列車の方向を変えてるのならユルグレイト王国で見たあれか?

 けどそんな大掛かりなことをするような魔導具は見あたらないけど。


「まあ、降りればわかります」


 アヴェルは龍に説明するために龍と一緒に列車を降りた。

 そして列車の先頭に移動する。


「この転移門を通ると出現先で自動で方向転換されています」


 なるほど転移門を通ると向きが変わっているのか。


「なお、移動先を変えることにより、北駅、東駅、西駅、南駅と変更することができます。ああ、どの駅からどの方面への列車が出るのか時刻表に表示されますので御安心を。あれがその時刻表です」


 アヴェルはホームの出口に設置されている時刻表を指した。


「この時刻表は帝都のありとあらゆる所に設置されてます。向こうの世界風に言いますと電光掲示板ですね。次の列車が到着する度、発車する度に表示が変わります」


「魔法ってすげぇな」


「はい。魔法が日常風景に自然と溶け込んでいますが流石にこれを初めて見た時は度肝を抜かれました。まさか転移門をこの様な便利な代物に仕上げるとは」


 アヴェルにも驚く物ってあるんだな。

 てっきり何でも知っているものだと思ってた。

 さてさて、ルシフェル大帝国の帝都の街並みはいったいどんなのだろう。


 


  

戴冠式にはまだ少し時間があるのでプチ観光します!

それではまた次の話で!

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