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165話 皇帝VS国主 決着

決着!

そして…

まあ、これ以上はネタバレになるので本編で(≧∀≦)

 アヴェルのお陰なのか龍の動きが変化した。

 攻撃に緩急をつけるのは当たり前だったが自由自在になった。

 急激に攻撃を行ったと思いきやスレスレで中断して背後に回る。

 そして距離を取った筈なのに目の前に現れて攻撃を喰らっている。

 これを進化と言わず何と呼ぶか?


(こいつの個力を甘く見ていた!これほどまで近接戦闘に特化しているなんて!腕を動かすだけ!それだけでありとあらゆる距離に対応できる!本当に!)


「めんどい個力ねぇ!!」


 首をはねる気か!

 まだ槍の突きで前に出ている。

 ならば!


(壁を出して防いだ!?こいつと創造(クリエイト)の相性抜群過ぎでしょ!しかも)


 ルナが居た場所に刃が突き刺さる。

 防御ができないのなら牽制して引かせる。

 創造(クリエイト)の効果範囲に居る限り、龍の間合いだ。

 言葉通り、どこからでも狙える。


「残り後、何人だ?」 


「さぁ?数えるのが飽きたから」


「そうかなら教えよう。十五人だ」


「あっそ」


 数えるのは簡単、立っている敵を数えるだけ。

 …あの男がいつの間にか消えたのは妙だが警戒は怠りない。


「けれどもあんたを殺す障害にはならない!例え一人になっても私はあんたを殺す!身体能力上昇(フィジカルブースト)!!防御破り(ガードブレイカー)!!雷属性付与(サンダーエンチャント)!!…ぜぇはぁこれであんたは終わりよ」


 おいおい、ずいぶんとバテとるが大丈夫か?

 それはそうと全身体能力の強化と、防御に使った物を一撃で十回まで破壊する魔法、そして雷属性の付与、金属製の武器を封じて防御も封じてきたか。

 というか付与してしまえば暴発せずに魔法を使えるのか。

 体の外に出せば暴発するが内側に留めれば問題ないと…。

 …魔法はまだ温存したいから使用しない。

 だが武器は全て木製に変換しておく。

 鉄の重さに慣れてしまったから木刀は一本のみにしておこう。

 さて、奴は準備を終えてどう動く。

 …そっちからは動かないと。

 だったら攻撃させてもらう!


 龍は全力で踏み出した。

 そして確実にルナを斬って一人を倒す。

 だがルナは動揺せずに先ほどとは打って変わり、龍と同等の速さで斬りかかる。

 

 やっぱり誘っていたか!

 だけどそう簡単には斬れないぞ!


 龍は素早く木刀をルナが振ってきた剣に当てて弾く。

 しかし、まだ攻撃を加えていない左の剣が龍に襲いかかる。

 まだ攻撃の余韻が残るなか龍は無理矢理、下半身を動かして交わす。

 

「やったとでも思ったか!?」


 更にに回避で生じたスペースから岩を伸ばして攻撃する。

 それはルナの腹に直撃して上半身が前へと落ちる。

 龍は岩を消して、体を捻って跳び上がりルナを遠くに蹴飛ばす。

 ルナは瞬時に立ち上がり、反撃しようとするが龍の方が早かった。


「少し痣ができるだけだ」


 細長い木片を複数、放って攻撃した。

 斬るや突きの目的ではなく殴打だ。

 続いて殴打によって、よろけるルナを斬る。

 ダメージを肩代わりさせると言えど所詮はダメージの肩代わり、攻撃により生じた衝撃は肩代わりされていない。

 龍が最初に当てた風は『風が当たった』という事象だけ肩代わりされていただけだ。

 つまり、『風に吹かれた』という事象は肩代わりされていない。

 龍はそれに気づいて斬撃の弾丸ではなく打撃の弾丸へと切り替えたのだ。


「これで全員、倒したぞ!もう、万策尽きたか!!ディルフェアン連合!!」


成り代わりの幻影(ドッペルゲンガー)!!」

 

 ルナは成り代わりの幻影(ドッペルゲンガー)を発動させて黒い塊を出す。

 盾の代わりに使ったのかルナは攻撃する動作を見せずに距離を取る。

 しかし、黒い塊は一瞬でルナの後方に吹き飛ばされた。


「一瞬で倒した…?」


 当然の如く二の半分は一だ

 だが百の半分は五十、千の半分は五百と数値が上がれば上がるほどに差は急速に大きくなる。

 所詮は半分の強さを付与された分身体だ。

 強さのレベルは五十歩百歩では片付けれない!


「潔く降参しろ」


「まだよ!」


 降参しないのなら少し痛い目に遭ってもらうぞ!

 試験の時に使おうと思っていた技を試させてもらう!


「ちょっと何なのこれ!?」


「四方に壁を出してそこから鎖を放って拘束した。鎖は巻きついた瞬間にその部分だけ円柱に変えたから例え解こうとしても不可能だ」


「まだ諦めるかあぁぁぁ!!」


「無駄だ」


 鎖はまだ拘束されていない左腕を拘束する。

 ルナは拘束される寸前で剣を龍に投げるが弾かれて届かなかった。

 まだ諦めずにルナは歩み出すが両足も鎖で拘束される。


「あああぁぁぁぁ!!」


 ルナはまるで檻に閉じ込められ身動きが取れなくなった獣のように叫んで、龍に威嚇する。


「その執念だけは称賛するよ」


「私はまだあの方の役に立っていない!この拘束を解いたら後ろに居る奴らから八つ裂きにしてやる!そしてあの方のためにお前を殺してやる!近寄れインフェルノ!ビビっているのか!こんなのでしか私を倒せないならビビって近づけないのか!どこかに潜んでいるのでしょ!この拘束を解きなさいグリューゲル!…グリューゲル?早く拘束を解きなさいグリューゲル!…聞いてるのグリューゲル!良いからさっさと来いよアルター・グリューゲル!!」


 さっきの男が消えたのはルナの命令じゃないのか!?

 何で消えたんだ?

 倒れていないし、ルナの言葉からしてグリューゲルは生贄を写す鏡(エスケープミラー)の対象ではない。

 仮にも部下なら隊長を助けるだろ普通。

 じゃあ、何であいつは消えたんだ?


「まさかテメェ…裏切ったのか!?不問にしてやるから出てこいグリューゲル!あの方の野望を叶える気はないのか!?グリューゲル!あの方が黙っちゃいないぞ!私が捕まったと知られてみろ!のこのこと逃げ帰ったテメェの命はないと思え!呪ってやるグリューゲル!私を…あの方を裏切ったテメェをテメェが死ぬまで呪ってやる!!グリューゲルー!!」

 

 こうして一人の男の前触れのない消失により、ディルフェアン連合、国主、ルナ・ファナティアとの戦いは終わった。

 そしてその男は既に向こうの世界に帰っていたのだ。

 

「やあ、お疲れグリューゲル。君のお陰で厄介な奴を消せたよ。僕のため僕のためと吠えるは暴走するは扱えきれないバカをね。長年のお仕事、ご苦労様。国主、アルター・グリューゲル」


「いえ、もったいない御言葉です連合王様」


「君が慕う者に、君の知らない所で、君が運命だと勘違いしていたあの瞬間から裏切られていた気分はどうだい?ルナ」



まだ、次の章には移りません。

後半日あるのでσ(^◇^;)

それとお別れ会的なヤツもやります。

それではまた次の話で!

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