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146話 バックアップ

ルシフェルがなぜ蘇った?のか説明します。

蘇ってはいませんが。

 地上で伝書鷹が報告書を持って縁側に止まった頃、地下室ではルシフェルが現れて龍がただ困惑していた。


「えっと本当に爺ちゃん?」


「本当に爺ちゃんだ。しっかし本物と問われると偽物と答えるな。けど『ルシフェルですか?』と問われると『ルシフェルです』と答える。この意味わかるな」


 いやいや!亡くなった爺ちゃんが現れただけでも頭が一杯なのに『この意味わかるな』と言われてもわかるわけねぇだろ!

 というか爺ちゃんだけど爺ちゃんじゃない!?

 本当に何を理解させようとしてんだよ!

 何なの今の状況は!


「わかんねぇか。…龍、お前はスマホの機種変更する際に元のスマホのデータを保存して、そのデータを新しいスマホに移すだろ。それと同じことだ。身体はルシフェルではないが記憶や人格といったものは全てルシフェルっうことよ」


 ああ、そういうこと。

 機種変更した人に『それって前のスマホ?』と訊くと当然『違うよ』と返ってくる。

 しかし、『前と同じデーターとアカウント?』と訊くとたいていは『そうだよ』と返ってくる。

 要するに爺ちゃんは人格や記憶だけを別の身体?に移したんだ。


「てか、何でスマホが出る前に死んだのにそんな用語知ってるの?」


「それはこの時代の知識を得られるからさ。魔法って便利だろ?」


 ああ、そうですね。

 たまに便利すぎて誰かに説明しようとすると自分でも理解できないことがある。

 そもそも言っちゃ悪いけど魔法って殆どイメージで作り出すものだし。


「さて、我が出てきたということは何をするかわかっておるな?」


「修行だろ?それは親父に聞いた」


「今度は理解しているようだな。そう!お前はこれから失ったほぼ百年間分の修行をしてもらう!弱音は吐かせん!強制だ!」


「…はい?」


「この空間は精神世界であって現実の世界ではない。しかし、体はこちらにあるため一年を十二分で経験できる。今からお前はこの空間に百八十年いてもらう」


 …ほぼ二百年間じゃねぇか!

 俺はまだ百十六歳ですよ!


「ちなみにこの世界では空腹、眠気、疲労はない!安心して修行できるぞ!休息は取るがな」


「一応、休みはくれるんだな」


「当然だ。…ところで後ろの馬鹿げた魔力量をしている奴は誰だ?」


 後ろの奴?

 俺以外に誰か居るのか?


 俺は後ろを振り向くが何となく答えはわかってる。

 爺ちゃんが言うにはこの空間は精神世界だ。

 要するに実体がなくても人格と記憶があれば体を得られる。

 だから俺の後ろに立っているのは…。


「ゼロなのか?」


 龍の後ろに立っていたのは深い灰色の髪をした青年だ。

 そして龍と同様に左目に眼帯を付けている。

 また、青年は己の体を思う存分に動かしていた。

 まるで初めてベッドから起き上がったかのように。

 それは青年が何万年ぶりに取り戻した己の肉体である。


「これは驚いた。我の体だ」


 彼はゼロ、向こうの世界を創りだした創造神の一柱にしてこの世のありとあらゆる理を司る神。

ルシフェルに続きゼロも実体を持って登場!

ゼロの見た目年齢は高校生か大学生辺りという設定です。

精神年齢は神様なのでちょっとお爺ちゃんよりですね。

それではまた次の話で!

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