144話 初代
新章開幕!
龍の修行!
そして田舎篇はこれで終わります!
昨夜の余韻が残っているのかフィアナ達は宴会場で昨夜のことをまだ話している。
「昨日は楽しかったね!」
「ええ、日本の風情とやらを感じられました」
「まあ、俺様の故郷は年がら年中あんな感じだけどな」
エイジの故郷、ベガスは年がら年中、観光客で賑わう町だ。
全ての店が年中無休であり町全体が輝いている。
「そういえば龍は?」
「確かに朝から見てないな。二番目に起きたけど居なかったぞ」
「レン、何か知ってる?」
王の護剣のリーダーのレンに千草は訊く。
龍の居場所を把握してると思ったからだ。
しかし、レンは首を横に振る。
何処に居るのか何をしているのか一切、知らないのだ。
更にレンおろか他の四人も居る。
つまり、龍の近くに王の護剣が一人も居ないということ。
「…王の護剣がここに居て良いの?」
「緊急事態だ!」
「何で誰もそばに居ないの!?どうしますかアヴェルさん!」
シエラの指摘に王の護剣は気づき慌てる。
レンが常に龍の近くに居ると思い気が抜けていたから。
「俺が何か?」
「龍様!?いったいどちらに!」
「いや、親父に連れ出されて滝行やらされた」
夏だから快く…いや、ちょっと抵抗して引き受けた。
今が冬だったら魔族の俺でも死んでたぞ。
「では龍、心の準備は良いな?」
「いつでも」
「てか、何か着てる服が魔族っぽい?」
龍は普段では着たことがない服を着用していた。
まるで王が公の前で着るような豪華な服だ。
そして日本刀を携えている。
「戦闘でもしに行くのか?」
「戦闘っていうより修行かな?地下で」
「地下?」
そういえば陸斗はあれを『防空壕』と教えられていたな。
「ほら、陸斗が見つけた防空壕に似せたあれだよ」
「ああ!あれね!」
陸斗は思い出して納得する。
「いつお戻りに?」
「長くて一日半じゃな。それと儂がするのではない」
「では何方が?」
「俺も知らん。行ってからのお楽しみの一点張りよ」
本当に誰が地下室で待っているんだ?
秘蔵の門下生?それとも母さんか?
まあ、そんなので驚きはしないけど。
「定刻だ。行くぞ」
「じゃあ、また一日半後に」
そう言って俺は手を振りながら笑みを浮かべて別れた。
そして親父の後に続いて地下室に入った。
地下室の階段は予想以上に長々と続いている。
だが数百段降りた所で鉄か何かの金属で構成された扉が出現した。
「当時は鉄が足りなくてな向こうの世界から取り寄せたアダマンタイトで造った部屋だ」
ああ、鉄を集めて兵器にするっていうあれか。
ということは戦時中に造られたのか。
てか、何でアダマンタイトで作った?
向こうの世界にも鉄はあるだろ。
「それじゃあ儂はここまでだ。部屋に入ったら中央に設置してある魔導具を起動しろ」
「魔力を流せばいいんだろ?」
「そうだ。…後、よろしく言っておいてくれ。元気でやってると」
…親父と仲が悪い人が待ってるのか?
別に今更になって余計な詮索はしないけど。
それにしても普通の扉よりも…重たいな!
翔龍は地上へと戻っていき龍は部屋に入っていく。
そして中央に置かれた大きな球体のような魔導具に魔力を流した。
「…ん?そういえば誰も居ないぞ。…って何だこれ!?」
部屋が屈折している。
いや、俺の体も!?
まるで空間そのものが曲げられているようだ!
いったい何が起きるんだ!?
マズい意識が朦朧と…。
魔導具を動かすと龍はその場に倒れ込んでしまう。
そして中央に置かれた球体は液体となり、龍を巻き込みながら空間全体を満たしていく。
そして空間に満たされ液体が消えると龍の意識は回復した。
さっきのはいったい何だったんだ?
別に怪我すらしてないけど心配だな。
ゼロ、何があったんだ?…ゼロ?
おーい、また無視ですかゼロさんやーい!
……もう二度とお前に話しかけねぇ。
「おお、似合っているな。我のお古の鎧服」
誰だ?暗闇でまだ目が慣れてないが誰かがそこに立っている。
更にシルエットのようにあやふやだが、その人の強さがわかる。
高身長でボディービルダー程ではないが全身無駄なく鍛え上げている。
そして向こうの世界では感じたことがない高魔力!
殺意を向けられてないだけまだマシだ!
「どちら様ですか!」
ヤバい威嚇しちまった!
相手が敵意ある存在ならば殺されるぞ!
「どちら様?ああ、我が生きていた頃はまだちっこかったからなぁ」
俺が小さい頃に知り合った人なのか?
確かに懐かしい感じがする。
というか生きていた頃とか言った!?
死んでるのこの人!?生きた屍ですか!?
「お前がよく知ってる御先祖様」
はい?えっと俺のよく知ってる御先祖様ってことは…。
まだ親父は死んでないだろ。
母方の先祖は知らないし、ということはということはだよ。
俺の先祖で唯一知っているのはあの人だよ。
うーん、ありえない。
絶対にあえないけどこれしかない。
「爺ちゃん!?」
「おお、爺ちゃんです」
龍の目の前に現れたのはルシフェル大帝国初代皇帝にして英雄魔王ルシフェル・インフェルノであった。
ルシフェル登場!
蘇っていません。
どういった状態なのか説明は次にします。
今、わかりやすく説明するとバックアップみたいなものですね。
それではまた次の話で!




