14話 決闘前夜
決闘前夜の話となっております!
龍はフィアナに勝てるのか!
三日間の猛特訓は最終日を迎え明日の昼はフィアナと決闘だ。
正直、女子とは戦いたくないのだが…やってしまったものはしょうがない!
全力で戦ってやる!
特訓は初日に俺がどれだけ戦えるのか確認し、二日目に魔法を教えてもらったがなかなか成長しないので急遽、三日目はとにかく個力を鍛える特訓となった。
そして今朝の特訓の休憩中に学園長から決闘のルールを聞いた。
決闘では武器の類の使用は禁止、使用可能なのは魔法と個力だけである。
ただし魔法で作り上げた武器は使用可能。
要するにこの学園の決闘は『決闘者の努力を証明する場』ってことだ。
なので魔法で作り上げた武器は『その魔法は本人が努力した証拠』として使用可能となっている。
で、肝心の勝敗の決め方は相手の魔力切れか戦闘不能、また学園長がこれ以上は危険だと判断したら終了となる。
更に制限時間があるらしい。
制限時間まで決着がつかないと引き分けで終了だ。
ちなみにこの制服は鎧並みの強度を誇っているらしい。
故に怪我は掠り傷程度でほとんどしないようだ。
時は経って夜中の零時過ぎ頃に学園長が寝静まったのを確認して俺は音を立てぬよう森の中に入った。
学園には多くの樹木が生い茂っているので森もある。
それとフィアナに部屋を占領されているので俺は部屋がない。
だから学園長が住んでいる家の空き部屋で寝泊まりしている。
「この辺なら迷惑はかからないかな?」
学園長には『明日の決闘のために体をちゃんと休めなさい』と言われているがそうはいかない。
流石にこのままでは勝敗は目に見えている。
それ故に夜練でもしようとこうして抜け出してきたのだ。
「創造発動!さて、手始めに…」
三日間でわかったことが一つある。
創造は作ったモノが自動的に何処に現れるのではなく、腕を伸ばした場所に出現する。
試しに腕を伸ばして意識せずにやってみるとランダムに出現した。
それとこの個力を扱う都合上、一番重要になってくる距離も設定できる。
もちろん、創る物は考えないといけない。
発動のトリガーは二つ、出したい場所の方に手を伸ばすことそこに『創る』という意識を持つことだ。
「できたのは良いがどれぐらいの強度だ?」
龍は十五歩ぐらい先に岩壁を創った。
「大砲でぶち抜く…は迷惑になるし…何かあんましデカい音が出ない方法は…そうだ!」
この二本の木を利用して間に鉄の棒をセットして縄でつなぎ止める。
イメージはブランコだ。
それを上げて落とす!
二本の木の間に鉄の棒が現れそれが縄で二本の木に結ばれた。
除夜の鐘のようなブランコのような謎の兵器が完成した。
もちろん、これを実戦で使用しない。
壁の強度を確認するための装置だ。
まあ、工事現場で見かける鉄球をつけてる車みたいなヤツを創った
これなら寮までは響かないだろう。
「後は離すだけだ」
龍は鉄の棒を限界まで上げて離した。
鉄の棒は勢い良く壁にぶつかり壁は砕け散った。
「…脆いな」
ただの岩壁だからあんまし強度がないのかなぁ?
…もしかして硬さとか調整できたりして?
案の定、便利なことに硬さの調整ができた。
試しに鉄パイプを作って強度を最大にして壁を殴ったら壁は粉々に砕けた。
もちろん、同じ強度でぶつけてみたが衝撃が伝わってくるだけで何にも変化はなかった。
うん?人の気配がする。
「窓から姿が見えたと思ったら、こんな所に居たんですか」
「シアン先輩…」
学園長じゃないだけまだマシな方かな。
風紀委員長だし怒るだろう。
「全くお父さんに叱られるよ。私はいいけど」
あれ怒らないんだ。
結構、意外だったな。
「何か物足りなくて」
「あれで物足りないんだ。普段はどんな特訓をしてたの?」
「小一の時に山に放り投げられました」
もちろん、家の山である。
「え…」
「それと毎日のように大人と組み手してました」
「随分と変な教育ね」
「いえ、馬鹿なだけです」
本当にあの親父は何を考えてあんなことをしたのか今でも理解できない。
組み手はまだ理解できるが山に放り出すのはどうだ?
今の状況を見据えていたと言えば解決する疑問だが…。
「休憩したら?」
「そうですね」
龍とシアンは腰をかけた。
「言っとくけどフィアナは強いよ」
「まあ、あんなパンチ打ってきたら誰でもわかりますよ」
本番はあのパンチを受けないようにしなければ。
「…ちょっと左目、見せて」
「あ、はい」
俺は眼帯を外してシアン先輩に左目を見せた。
シアン先輩はじっくりと左目を見つめてブツブツ何かを言っている。
あの言いにくいんですがかなり近いです。
「どうかしました?」
「うんうん、綺麗な目だなと思ってまるで宇宙みたい」
「そういえばこの世界にロケットとかあるんですか?」
「ないよ。天体望遠鏡ならあるけどそんなに科学は発展してないの。龍の世界が羨ましいわ」
俺からしたらこの世界の方が羨ましいがな。
何でも魔法で解決できる便利な世界。
しかし、それなりに闇も深そうだ。
それはあちらの世界も同じだから言えた義理ではないか。
「なるべく早く部屋に戻ってね」
「了解です」
さて、後もう少しだけやりますか!
そして鶏が鳴いて朝日が昇り、あっという間に昼過ぎになると闘技場には生徒がぞくぞくと集まってきた。
「龍君、準備はいいですか?」
「はい、いつでも行けますよ先生」
控え室には龍とフィアナがスタンバイしている。
そして最終確認を終えた龍は闘技場に繋がっている廊下を深呼吸しながら進んでいる。
「両者、入場してください」
さてと死なないように努力しますか!
「言っとくけど手加減しないから」
「手加減無用!全力でかかってこい!」
本音を言うと手加減してほしい。
「審判は学園長のジェイス・ケイスフォルンが執り行う。決闘するのはユルグレイト女学園、一年B組、フィアナ・ケイスフォルン対同じくユルグレイト女学園、一年B組、転校生のノボル・アケノだ。それでは決闘始め!」
闘技場に取り付けられた鐘が大きな音を出して決闘は始まった。
所属紹介もそうなるのね。
次回は当たり前ですが決闘しま~す!
フィアナはゲームでいうところのパワー型です!
それではまた次の話で!




