137話 青春会議
五人抜きでいろんな話し合いしま~す。
俺は今、千草と陸斗、エイジとレイに何故か睨まれている。
何かしたというわけでもないのだが何かされたという点ではあっているのか?
ちなみに他の五人は敷地内を散歩中。
そして王の護剣は部屋の外に居る。
何の用があって俺はこんなことをされているのであろうか?
千草曰わく『青春会議をするから!』だそうな。
青春会議とは何ぞや?
俺は明日にちょっとした用事を控えているのだが。
明日の用事というのは親父の修行だそうな。
親父自身がするのではなく、あるサプライズゲストがすると。
どうせクラウスさん当たりだろ。
「…で、何の用?」
「唐突だけど五人のことどう思ってる?」
五人のことをどう思ってる?
「フィアナは脳筋でちょっと危なっかしい所がある。エレノアは逆に知的で冷静さがあるけど何かを背負いやすい性格だから多少の心配はある。アリスは好奇心旺盛だから直ぐに何処かに行くから一緒に居る時は見張ってないと気がすまない。シエラは物静かで人見知りだが状況把握能力に長けている。恋は…まだよくわからん。でも、感謝している」
「ああ、言い方が悪かった。五人のこと好き嫌いどっち?」
「異性としてな」
千草の質問で友達としての好き嫌いを訊かれたのかと思い『どちらかというと好き』と答えようとした龍だった。
だが陸斗のトドメの質問により顔を赤らめて言葉が出なかった。
昨夜、五人が自分のことを異性として好きだと知ってどんな気持ちになったらいいのかわからなくなっているからだ。
龍は『異性としての好き』を一度も感じたことがない。
それ故にこの気持ちの正体も知らない。
自分はいったいどのように五人に接したらいいのかすらわからない。
「…わからない」
「あらあらウブなお爺ちゃまですね」
うるさい!
俺はまだ若い方だ!
「それはさて置き。アヴェルさーん」
「何でしょうか?」
廊下で待機していたアヴェルは障子を少しだけ開けて顔を見せる。
「エレノアとレンが龍と付き合ったとして将来、龍と結婚できるよね?」
「レン様は結婚できますがエレノア様は王族ですので国によります。まあ、ユルグレイト王国なら大丈夫でしょう。アレックス様なら快く送り出してくれるでしょう」
ユルグレイト王国は比較的に治安がいい国なので王族の国境を越えた結婚は許させるであろう。
しかもエレノアの種族はハーフエルフのため暫くは父親のアレックスが国王として王座に座っていることも可能だ。
まあ、言わなくても次の継承権は龍とエレノアの子供になるが。
「だとさ龍。良かったじゃん」
「まだ決まってねぇし」
「あら?そんなこと一言も言ってないわよ。付き合う気なの?」
こういう話をしている千草は何故か言葉が達者になる!
小馬鹿な言い方と誘導尋問みたいな言い方を引き連れてな!
「まあ僕は普通に祝ってスクープとして取り上げるだけだから。エイジは?」
「とりあえず死ねと思って…痛い痛い!関節外そうとすんなレイ!」
「この大馬鹿の言うことは気にしないでね~」
「…昨夜も言ったがいつかは言ってやれよ。断ってもいいし『好きだ』と言ってもいい。けど他の四人との関係だけは絶対に変えるな。それは優しさとかそういうもんではなく拒絶だ」
陸斗の言うことはよくわかる。
例えば五人の中の一人を選んだとして残りの四人との関係はどうなるのか?
変わってほしくない。
今まで通りとはいかないが友達でいてほしい。
どう接することになるんだろうなぁ。
「はぁ。俺の将来ってどうなっているんだろうな」
次回!夏の定番イベントやります!
その後は龍の修行です。
それではまた次の話で!




