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136話 人の感情ほど難解な問題はない

自分の感情の全てをわかってる人ってほとんどいませんよね。

ましてや相手の感情はわかるわけありません。

今回はそんな話です!

 洞窟の件以降、龍はまるで魂が抜けたかのように空を眺めていた。

 そしてフィアナと目が合うと顔を赤らめて背ける。

 これをフィアナもしていたのでまあ、気になる者はいない。

 それに二人っきりの空間に居たのだから尚更だ。

 という訳で寝る前に各々の部屋で問い詰められています。


「で?何があったの?」


 女子部屋では千草が


「何があったんだ龍!」


 男子部屋では陸斗が訊いている。


「…龍に告った」

「…フィアナに告られた」


「ええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「マジかあぁぁぁぁぁぁ!!」


 この様に二人とも大声を上げて驚いたので全員がそのことを確信した。

 そしてもう向こう側にも聞こえる覚悟で普通の声量で語る。

 女子部屋では千草が呆れ驚いたような口調で感想を述べていた。


「はぁ、勇気を出して告白したと。いやぁ、私も驚きましたわ!アピールしろと言ったけどまさか直接勝負でいくとわね。で、答えは?」


「まだ勝負の途中だから」


「そういうことね。さて、後なエレノアとレンだけだよ。というかエレノアとレンはどうなのよ?」


 千草はまだアピールをしてないエレノアとレンに本当の気持ちを訊こうとする。

 エレノアは困ったような顔をして考える。


「どうと言われましても私は龍と友達のままで」


「もしかしてエレノアって自分の気持ちわかってないでしょ?いや、わかってるけど()()()()()()()()()()()()()。違わない?」


 千草は時折、意味を捉えることが難しい言い回しをしてくる。

 それがこれだ。

 エレノアは自分の気持ちに正直になっていないと言いたいのだ。


「それは…」


「私はお姫様!しかも後継者は一人だけ!龍と結婚してたら国はどうなるの?龍も一人だけだしどうすれば?とか思ってない?」


「…確かに多少そう思うことがあります。私は龍のことが…これ以上は言えません。時々、『普通の家の人なら良かったのに』と思います。そうすればこの感情に正直になれたのかもしれません。前のように『龍のことだけしか考えれないようになりたい』と今でも思ってます」


「じゃあ、正直になりなよ。エレノアは自分の身分のせいでその気持ちを台無しにするの?好きでもない人と結婚するつもり?そんな不幸せを望むの?私はね結婚するなら陸斗がいい。だって好きだから。エレノアが今やってることは逃げてるだけ。例え普通の家の人でもエレノアは正直になってない。別に私は止めないよ。けど後悔するのはあんただけだから」


 千草はエレノアの言葉で興が冷めたのかレンに気持ちを訊こうとするとエレノアが叫んだ。

 まるで何かが溢れ出したかのように。


「ああもう!何でこんな気持ちにさせたのかなぁ!龍って本当に何の悪気もなく優しく接するんだから!しかも命張って知り合ったばっかの私を助けるし!そりゃあ自分で言うのもあれですけど!ガリ勉の私でも恋しちゃいますよーだ!あの鈍感野郎ー!!気づけよバカー!」


「エレノア?ごめん言いすぎだ」


「いえ、自分に怒っただけです。確かに私は千草の言う通り、逃げてました。自分の身分を言い訳にして。ここで宣言します!私、エレノア・ユルグレイトは龍のことが大好きです!ええ!死ぬほど大好きですよ!後のことはどうでもいい!というわけで誰にも譲りませんからね!」


 何かが吹っ切れたのかエレノアは堂々と宣言をした。

 いつものエレノアからは見れない荒れた口調で自分に言い聞かせるように宣言した。

 後悔したくないから自分に正直でありたいから。


「で、レンは?」


「エレノアの言葉で私も吹っ切れました。王の護剣という立場ですが私は主に恋をしてるのでしょう。いえ、してますねこの高鳴りは。…散々、守ってあげてるのです。主にもいつかは私を守ってもらいたいものです」


「よし!二人の気持ちも訊けたことだしそれじゃあ寝ましょうか!」


 そして女子部屋は静まった。

 先ほどまでの大声が嘘のように誰も一言も喋らずに寝静まった。


「さすが千草だ。見事に本当の気持ちへ誘導した。だってよ龍。フィアナちゃん以外の四人もお前のことが好きだとよ」


「自覚はないけどそうなのか?」


「で、お前はどうなんだ?」


「…わからん。まだあいつらの中の誰かを好きだとは言い切れない。友達としては好きだ。けど異性としてはわからん」


 何なんだろうな。

 まるで夢を見ている気分だ。

 五人が俺のことを好きなのに俺はどれにも応えることができない。

 これほどまで情けないことはない。


「とりあえずお前はあの五人と時間を共に過ごせ。そしていつかは言ってやれ。別に言わなくてもいい。お前の自由だからな」


「ああ、そうするよ」 


「ということでレイ、そろそろエイジの野郎を放していいぞ」


 この話に入ってからエイジはレイに口や腕などありとあらゆる動きを封じられていた。


「了解!」


「…祟ってやる!このモテ男が!少しはその運気をわけろ!」


「いや、まずは諸々のことを直さないと」


「「うんうん」」 

 

 龍は正論を言う。

 例えエイジが龍の恋愛運をわけてもらってもこのままでは意味がないであろう。

 そして二人共それに共感したのか頷く。


「何でだよー!」


 男子部屋もエイジ以外寝静まった。

 なおエイジは自分の性格などで後悔し悶え苦しんでいたそうな。

 そして疲れ果てて寝たのであった。

次回!青春会議します!

千草がいろいろとかき回していきます(´-ω-`)

それではまた次の話で!

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