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135話 ばーか

フィアナの番です。

まあ、そんだけですね。

 さて、こんな隅っこに連れ出して何がしたいのやら。

 …ゼロ、腹の硬化はできないか?

 …おーい、ゼロさんやーい。

 …無視ですか!?

 最近のお前しょっちゅう無視するよな!

 ああ、そうですか!

 俺だけで解決しますよ!


「ねえ何か穴、空いてない?」


「ああ、浸食作用だ」


 見ないうちに入り口、広くなったな。

 大自然は偉大ですこと。


「浸食作用って何?」


「ざっと説明すると水の流れで岩とかが削れることだ」


「龍って物知りだね。入ってみない?」


「良いけどお前の望むものはねぇぞ」


 こういう所に誘う時点でますます恐ろしくなってきた。

 そう思ってる俺も悪気があると思ってるのか?

 別に俺はフィアナの事をただの友達だと思っている。

 フィアナだってそう思っている筈だ。

 初日から本気の戦いをして自分の寝床を貸す。

 俺に対して言いたいことは山程あるだろう。


 二人は海水の浸食作用によりできた洞窟の中に入っていく。

 しかし、数十メートル行った所で道は途絶えていた。

 要するに行き止まりだ。

 なお、明かりは光属性魔法で照らしている。


「ほらな」


「うう寒い」


 日光はないし海風が入ってくるからな。

 外より気温が低いのだろう。

 それに先ほどまで泳いでいたからな。

 こりゃあ長くは居られないぞ。


「着ろよ」


「どうしたのこれ?」


「俺が羽織ってた上着だ。文句あるか?風邪引く前に着とけ」


「…ありがと」


 お、ちょうど座りやすいように削れた岩がある。

 …これ以上は浸食しないと思うがスゴいな自然の力は。

 まあ、この上に建物はないから大丈夫なんだけど。


「ねえ龍、何か言うことないの?」


 そう言うとフィアナはその場でクルッと回る。


「似合ってる似合ってる」


「もっと感情を込めて」


「…お前は俺に何を求めてんだ?てか最初に言っただろ」


「…龍はあたしのことどう思ってるの?」

 

 いきなり何を言い出すのかと思ったら。

 返答には困らない。

 こいつは相部屋で異世界でできた初めての友達だ。

 それ以上でもそれ以下でもない。

 そしてこれからもそれは変わらないだろう。


「友達だと思ってる」


「…そうだよね。確かに龍はそう思っている。けどあたしはもっとそれ以上の存在になりたい」

 

「いや、何言ってんの?もう少ししたら帰るぞ」


「ああ、本当に鈍感!ちょっと大人しくしてた自分が馬鹿らしくなってきた。何でこんな気持ちが芽生えたのだろ?あの決闘の時からかな?それとも龍と過ごしてきたからかな?」


 何一人で自問自答してんだ?

 上着を貸したから、ちょっと寒くなってきたぁ…。

 さっさと戻らないとガチで風邪、引くぞ。


「いいよく聞きなさい!あたしはね!龍と友達以上の関係になりたいの!…つまり…ええっと…察しなさい!」


「親友になりたいのか?」


「…じれったいわね!」


 フィアナは顔を赤くして龍に近づいていき龍が逃げ出さないように両手で肩を掴みしっかりと固定した。

 そして躊躇いながら顔を近づける。


「フィフィフィアナ?」


「一度しか言わないから!あたしは胸が締め付けられるほどあんたのことが好きなの!家族や友達に向ける好きじゃなくて…たった一人の異性に向ける好きなの!そんな気持ちにさせるぐらいずっとそばに居たのなら気づけ!」


 そして目を逸らさせないように顔を押さえる。

 そして照れ隠しのためか笑いながらこう言った。


「…ばーか」


「…!?」


 この瞬間、龍の頭は真っ白にいやグラグラとまるで自分の世界が揺れるような感覚に陥った。

 初めての異性からの告白により龍の頭は追い付けれずにショートしかけた。

 しかし、龍は必死でそれが真実か考える。

 目の前で顔を赤らめて照れるフィアナを見ればそれは確信にいたる。

 だが非現実すぎて理解できない。

 

 今、俺のこと馬鹿って言ったか!?

 いや、それはどうでもいい!

 …フィアナにあのフィアナに告白された!

 好きって言われた好きって言われた!?

 どう返したらいいんだこれ!?

 出会ってまだ数ヶ月たぞ!

 そんなに早く返答できるか!

 というか暑い!

 照れてるのか俺は!?

 告白された側なのに何で照れてんだ!?

 よくわかんねぇ何だこの気持ちは!?

 言葉を発したいけど頭がテンパってうまく言えねぇ!


「…返答はまだいいから。他の四人も同じ気持ちだし。…じゃあ、先に戻る!」 


「お、おう」


 やっと出た。


 ノボル・インフェルノ、初めての告白を味わったのであった。

 そして鈍感な龍の青春が幕を開ける。

 また、龍はしばらくぼけーっと洞窟の天井を見上げていた。


『人って面倒臭い生物だな』

次回!ある意味再起不能状態?になった龍は立ち上がることができるのか!?

それではまた次の話で!

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