134話 嫌いになるには理由がいるが好きになるには理由はいらない
さて、今回はとりあえずエイジが埋められます。
その後、シエラが満足するまで二人はそのままの状態であった。
何故、フィアナが割って入ってこなかったのかは単に譲ったという感覚で良いだろう。
フィアナもシエラが龍のことが好きだとわかっており、ライバルだと認めているのだ。
「ああ~、疲れた~」
そして龍は精神的な疲れでシートの上に転がっている。
「お疲れ~」
「お疲れ~って言うなら助けろよお前ら。何でグッドサインして見守ってんだ」
たまにこの二人は意気投合して俺を見捨てたりする。
だいたいその時は恋に何かされそうな時だ。
何でこの二人、こんなことするんだろうな。
「ええ~、自覚ないんだ~」
「何の?」
見捨ててるって自覚をお前らは持て。
「はっきり言って俺様は羨ましかった!レイにシバかれてなかったら殴ってたからな!」
俺の気持ちを理解せずに良く言えたな!
何かイラついたから、
「創造」
龍は砂を盛り上げてエイジを埋めた。
まるで砂でできた雪だるまのように。
「何で埋めるんだよ!」
「イラついたから」
「この状態で居たら?面白いわよ」
「断る!…硬った!」
当たり前だ。
岩になる途中の段階で止めたからな。
生半可な力では砕けんぞ。
「他の奴らは?」
「あっちでビーチバレーしてるよ。人間離れした」
ああ、さっきから聞こえていた爆発音はあれが原因だったのか。
フィアナが打ってるわけじゃないのにスゴい音だな。
ここがプライベートビーチでよかったな。
フィアナは休んでるのか。
(アリスとシエラは多分もうアピールは終わってる筈。…四人ともあたしと同じで龍のこと好きなんだろうなぁ。…というかいつの間にあたし龍はこと好きになったんだろう?好きになるのに理由はいらないかな?…よし!)
「ごめん!四人で遊んでて!」
「わかりました!アリスさん、ナイスです!」
ビーチバレーを抜けてフィアナはゆっくりと龍が休んでいる場所に歩いてくる。
「ねえ龍、あっちに遊びに行かない?」
「くたばれ」
フィアナはそう言ってビーチの端の方を指す。
そしてフィアナの誘いを妬んだエイジは憎しみを込めて言った。
…岩にしてやる!
当分、もがき苦しめ!
「げっ!?岩になった!」
「余計なこと言うから」
「別に構わないが目の前じゃダメなのか?」
「だーめ」
フィアナってこんな相手を誘って遊ぶような性格だったか?
…何か口調からして先ほどの報復をやられそうで怖いな。
こりゃあ違ってたら天変地異が起こるぞ。
次回!ついにフィアナが動き出す!
恋する乙女は猪突猛進の如く止まらない!
それではまた次の話で!




