129話 13と1
本当に今回で終わります!
ちなみにタイトルはトランプの数字です。
恋をサポートするにはレンの個力を把握しないといけない。
任意での属性付与と変換、時間経過での身体強化、当たれば即死級の超高火力のカウンター攻撃だったな。
そして敵はありえない速度で皮膚等を複製する化け物、もはやそれは再生に等しい。
いや、あいつも一応は生物なんだよな?
ならば奴を倒せるかもしれない!
「なあ親父!あの狐も生物だよな!」
「何を言ってる。妖怪という分類だが構成している物質は我々とたいして変わらん」
ならいける!
構造上、俺らと同じならあれが通用する!
恋のヒュドラ作戦も良いが恐らく複製できるのではないか?
ヒュドラは再生する部位を封じられただけだ。
そして、それは『首が生えなくなっただけ』とも言い換えれる。
それに根本的に奴の能力を恋は勘違いしている。
ヒュドラは再生、奴は複製だ!
生きてさえいれば火傷からでも複製できるだろう。
『治す』のではなく代わりの部位を『作る』だからな。
「恋!ヒュドラ作戦は無理だ!こいつ多分だけど火傷からも再生できる!」
「そうだ!結局、貴様らがやっていることは無意味!我に蹂躙されろ!」
意外に親切なことで。
普通なら自分の有利なことなバラさないんだけどな。
圧倒的立場で天狗になってるな。
「で、新たな作戦があるのですか?」
「ああ、今閃いた!というわけで時間稼ぎ頼む!」
「了解!」
何故なら一度も試したことがないやり方でな!
要領は鉄塔の温度を下げた時のと同じだ。
だがその時よりも絶対零度を下回る温度にする。
奴の細胞が機能できない状態にするんだ!
要するに氷付けにして凍死させる!
しかし、あいつは濡れてないから別の方法でやる。
強引に濡らしたら勘づいて乾かされるかもしれない。
(気温が下がってきた?なるほど氷付けにするのね!そうすれば生物としての機能を失わせることができる!けど濡れてないあいつをどうやって凍らせるの?)
だから別の方法で内部から凍らされる!
強引すぎだが騒ぎを立てずに穏便に始末するにはこれしかない!
「下がれ恋!」
「はい!」
龍が創り上げたのは無数の氷柱であった。
しかし、それでは九尾狐を氷付けにすることはできない。
それに氷柱は九尾狐の周りだけに創られている。
これでは攻撃ではなく妨害だ。
そして龍はそれを砕いて空気中に浮遊させる。
「こんなので我を倒せるとでも思ったのか!?」
「生憎だが正解なんでね」
それとゼロ、準備はできているよな!
『無論だ。別のやり方もあるが好きにしろ』
「その笑み、二度と浮かべないよう食い殺してやるわ!」
九尾狐は氷の欠片を気にせずに龍に突進する。
当然だが欠片は九尾狐に次々と付着していく。
それはたかが氷の欠片、触れようが避けようが大した影響はでない。
しかし、理が変化したこの状況では命取りとなる。
九尾狐が最後の一歩を踏み出した瞬間に何かが砕け散った。
それは氷柱ではなく九尾狐の右前足であった
更に右前足の崩壊と共に次々と残った足も砕けていく
「どうした?さっさと立てよ」
「…何をした貴様!!」
「俺の創った氷はもう一つの俺の能力で特別製になっていてね。触れた瞬間に完全に凍結するんだ」
「…そんなの複製すればよい!」
即座に九尾狐は複製を開始する。
だが複製と同時に足は再び砕け散った。
また、九本の尻尾も自重に耐えきれずに崩壊する。
「ガアァァァァァァ!!」
「複製の前にこの氷の対処を忘れるなよ」
「…溶かしてやる!…何故だ!?どうして溶けない!?」
「え?溶かすって何を?氷って溶けるの?」
「何を言うんだ!氷は溶けるものだろうが!」
ええ、常識ですよねそれは。
まあ、ゼロの能力で氷は溶けないようにしたんだよな。
更に這いつくばって逃げようにも零度を下回る温度で身体能力が低下している。
目視できない牢獄に貴様は捕らえられたんだよ。
「…そろそろ終わらせるか」
「止めろ!まだ我の復讐は成し遂げられていない!それ以上は止めろおぉぉぉぉ!!」
「これで狐の氷像の出来上がりだ」
谷山村の九尾狐は断末魔を上げながら氷像になる。
そして恋はそれを両断して魔石を破壊する。
九尾狐は塵になり跡形もなく消え去ったのだ。
「…あ、魔石を破壊すれば一撃で倒せたんじゃね?」
『今頃、気づいたか』
だって魔物の構造をまだ理解できてないし。
てか、あれって魔物に分類されるの?
普通に言語で意志疎通をしていたけど?
『魔物にも色々といるのだ。喋る魔物いれば喋らない魔物もいる。多種多様なのだよ』
魔物の世界も変わったことがあるんだな。
まあ、現在の俺の状況よりかは普通なのだろう。
「主、これから末永くお付き合いよろしくお願いたします」
「お、おお」
幼馴染みが最初から部下なんて誰が考えたのやら。
次回!てんやわんやの事後処理回です。
まあ、主に陸斗と千草の質問攻めですね。
それではまた次の話で!




